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※この作品には全体的に不快と思わせる部分や、ショッキングな表現がされています。検索してはいけない言葉オールスターと合コンしてる様な感覚になるので合コンが苦手な方は逃げて下さい。
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私は死体とその娘を背にした。
娘は部屋を出ていった。
私がこの屋敷を出ていったとて、
きっともう、あの男達は居ないだろう。
結局あいつ等はどうして私にこんな事をさせたのか
判らず終いだった。
今でも判る事は無い。
死体の臭う広い部屋、血の染み込んだ畳の上、
立ち上がろうとしたその時だった。
ソレは現れた。
…自然に、まるで初めからそこに居たかのように、
落ちてきた花弁のように、女が佇んでいた。
室内なのに日傘を差している。
見た目はとても不気味であり、
酷く秀麗な女性。きっと人では無い。
人であって欲しく無い。そう思いたくない。
それ程人離れした雰囲気だった。
薄暗いこの部屋で、
ソレは私を見て、目を、瞳を、その奥をも
見据えて、こう言い放った。
「罪から逃れる方法を知りたい?
…生きたい?」
……その人外らしさと相まって、
私には皮肉の様にも聞こえた。
彼女は生きてすらいなそうな程、
透明で、まさに高嶺の花と言うべきか。
紅い瞳が私の全てを見ては、探られる。
気持ち悪い。何なんだコイツは……
「…………生きて、良いこと、ありますか。」
2つ
生きて良いこと、ありますか
生きて、良いことありますか
彼女はどちらも判った上で、こう言った。
「在りますわ。
貴方の存在意義も、
…それは素敵な善行。」
……善行?善行だと?今更私がそんな事をして
帳消しになる訳か?…そんな訳、
「巫女。
ご存知?
たった今、“先代”が死にまして。
貴方には適任だと思いますの。」
……!!
適任…?私が?何故?
そもそも、
そうも簡単に決めるものなのか?
同様する私を見て、彼女は
扇子で顔を覆い、微笑した。
「クスクスッ…
理解し難いのも無理は有りませんわ。
貴方の性格と強さ、そして何よりも『才能』を、 私は見込みました。」
…?…そんな事だけで此処全体の管理が
務まるのか?
「私なんかに、出来る事ですか?」
「……あら、謙虚ね?
貴方は才能の塊ですの。
何故なら貴方はあの家系共の…
一番上の名前ですから、。
もしも貴方が巫女ならば、
とても心強いですわ。
それに、貴方はこれから背負っていくのですよ。
四月一日あの人が紡いだ人生を。
貴方が死ぬ事、彼は望まないわ。」
………そう、なのか?
ならば、…………生きる…のか。
あの人という言葉で、昨日から
取り返せない程に騙されたが、
また、何か誘導されている様な気はする。
それくらいは判っている。
…それでも
どうしたって私は、自分の希望を裏切りたくはない。
嘘でも本当かもしれない、
いっそ嘘でもいい。
…本当なら、いいのだろう。
という自己満足で不確定な夢想に委ねて。
あぁ。『当たって砕けろ』と云う言葉が似つかわしい。
当たって紅く、溶けてしまえ。
「………分かり…ました。」
「クスクス……ありがとう。
おいでなさい。『邱玖牡譛郁庄』。
貴方は今日から『##』よ。」
私は彼女の手を取った。
佇む姿は氷像のように美しく冷たく見えるが
手袋越しの彼女の手は、温かかった。
「齢九つの人間が負うには、
少し大きすぎますからね。
今はまだ、“譛郁庄”と呼んであげましょうね。
神社に入ったら、「##」ですからね。」
そう言って、私を抱き締めた。
あの人とはまた違った、優しさ。
温かい。いい匂いがする。
とても懐かしく、ひどく悲しい。
あぁ、
…あぁ…!
「ぅ…あぁ…っぐ…ひぐっ……
うぅううううぅ……!」
「あら、よしよし…
頑張りましたね。」
視界がぐちゃぐちゃになる。
ごめんなさい
ごめんなさい
私が全て、背負います。
人殺しは………今や巫女らしい。
────あぁ────
未だ未だ、白昼夢に溶ける。
七月末。
暑さで頭がイカれそうな時に、
“遠く”を視た。
傍から見たら、熱中症のようにも見える。
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