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王都の空に、柔らかな朝の光が差し込んだ。 瓦礫と黒霧が消え去り、廃墟だった街は静かな再生の気配に包まれている。
セレナは王宮跡の高台に立ち、黒薔薇の心臓を胸に抱きながら、遠くを見渡した。
ルシアンが隣に立ち、剣を地面に突き、深く息をつく。
「やっと……静かになったわね」
セレナの瞳に映るのは、廃墟の中でも確かに生き残った人々の姿。
「これからが、本当の再建の始まりだ」
ルシアンの声には決意が込められていた。
イザベルもその隣に立ち、力を落ち着けながら微笑む。
「私たちの戦いは終わった……でも、未来を守る責任はこれからだわ」
王都の人々は、瓦礫の下から立ち上がり、再び歩き始める。
黒薔薇の花弁が舞い落ちる中、子どもたちの笑い声が聞こえる。
戦いの傷跡は残るが、希望の芽が確かに息を吹き返していた。
セレナは思う。
(私が戦ったのは、ただ力を示すためじゃない。
守りたい人々のために、国の未来のために……)
黒薔薇の力はもはや恐怖の象徴ではなく、希望の象徴になっていた。
ルシアンが手を差し伸べ、セレナはその手を取る。
イザベルもその隣で微笑む。
「これからも一緒ね」
セレナは静かに言った。
「もちろん。どんな未来でも、君と共に歩む」
ルシアンの誓いは、言葉以上の力を持ってセレナに伝わる。
黒薔薇の花弁が三人の周囲で舞い上がり、
新しい王国の夜明けを祝福しているかのようだった。
セレナは黒薔薇の心臓を高く掲げる。
「私の力は、恐怖ではなく守るために使う。
二度と、誰かを傷つけるために振るうことはしない」
ルシアンとイザベルも、静かにその誓いに頷いた。
黒薔薇の光は、今や王国の希望そのもの。
破壊の中から生まれた強さと絆は、王国を新たな未来へと導く。
空が徐々に明るくなり、瓦礫の上に草花が芽吹き始める。
王国には再び命が戻り、人々の希望が息づく。
セレナ、ルシアン、イザベル――三人の力と絆は、
新たなる王国の礎となった。
──そして、黒薔薇の王女たちは、未来を照らす光として歩み始めたのだった。