「永山くんって部活一筋って感じでカッコ良すぎるよね…」
わざわざ拓を見に来る人がいるくらい、拓の人気は上がっていた。
サッカーも次の大きな試合が決まり、応援に同行することとなった。
これが終わればテスト休み…
試合当日は拓の誕生日でもあって、私はサッカーに顔を書いたマスコットをあげた。
「俺これサッカーくんって名付けてずっと大事にするよ!!」
嬉しそうに握って部活に行く姿を見て、彼に負けず私も頑張ろうと部活に精を入れた。
試合当日、初めて拓のサッカー姿を見る日。
ドキドキと緊張でなんだか気持ち悪くなってきた…
「大丈夫か??俺今日はヨーグルト持ってないや…プロテインならあるぞ!」
「窓の外を眺めるといいらしい!」
バスの中でLINEのやり取りをしていたら、会場にはあっという間に着いた。
いざ試合が始まると、初っ端から拓のゴール。
誰?あの子…と言わんばかりにザワザワしていた。
あの日、一緒に桜を見て手を繋いで、彼女になって…
そんな思い出がまるで別世界のようなものだった。
遠くに行ってしまうような気がして寂しい私に大丈夫!と言わんばかりに、ゴールを決めるたびに手を振ってくれた。
結果は圧勝!!!
うち、3点も拓が決めた。
「萌が見てるって思ったら頑張らなきゃって思ってさ。勝てる気しかしなかったよ!」
「ありがとう、大好きだぞー。」
着替えやミーティングが終わってLINEを見たら、そう送られてきていた。
初めての拓からの大好き…
私は胸が苦しくなった。本当に勝てて良かったと心から泣いた。
「誕生日、おめでとう!良い思い出作っていこうね」
もう1日が終わる直前に、拓の誕生日をお祝いした。
「やっべー、忘れてた!プレゼントはキスがいいな!!なんてね。早く寝るんだぞ!」
疲れてしまっていた私は、この返信を朝に見て大きな声で叫んでしまった。
キスとか、恥ずかしいことばっかり言って!
拓のそんな無邪気な姿に今日も元気をもらえた。