「ほんとは、よっしーって俺のこと羨ましかったりすんのかな?」
「は?いきなりどした?」
撮影の合間の柔太朗との待ち時間。
隣でぼやく柔太朗に聞き返す。
「いやさ、この前EBiDAN大運動会あったじゃん」
「あー俺が出れなかったやつな」
「そうそう。勇ちゃんが欠席だった」
第1回以降参加出来てないやつ。
出たい気持ちはあるのよ。俺も。運動会もダンエビも。
「あんときのハーフタイムショーでテレパシーやったんだけどね」
「らしいな」
マネージャーから聞くには聞いた。
「そ、でね、勇ちゃんいつも俺の頬にキスするじゃん」
するけども。
「んでさ、ま、勇ちゃんいないからどうするとかなるわけじゃん」
たしかに…いや、別にしねぇといけないわけじゃねぇぞ?
俺が勝手にしてるだけだし。
「せっかくだから、新しいぬいサプライズでそれ出してキスするんてどう?って太ちゃんが言い出していいじゃんってなったのよ」
へー。
「そしたらさ、本番ね、吉田さんが俺からぬいとってめっちゃキスしてたんよ。1回とかじゃないめっちゃ」
「……は?」
聞き間違いかと柔太朗を凝視する。
「さすがにびっくりするよね。俺もびっくりしすぎて笑い止まんなかったもん。吉田さんに佐野さんには内緒って言われたんだけどね」
柔太朗が笑ってるのなんて常だろなんて思わなくもないが驚きすぎて声が出ない。
「…じんとが?」
「そ、吉田さんが。だから、羨ましいのかなって」
そういうわけじゃないと思うがその事実にどう反応するのが正解かわからない。
「どっかでさやってみてよ」
「…なにを」
なにをなんて聞かなくたってわかってるけど聞かずにはいれない。
「キス」
何言ってんだ?こいつ?
顔がいいからって言っていいことと悪いことあんだろ。
「どの曲でやんだよ」
「HIKARIがあんじゃん」
「HIKARIって、そんなんもう口にすることになんぞ」
「たしかに」
楽しそうに一人でけらけら笑う柔太朗につられて笑う。
【12/22 I CAN DRINK!大阪公演】
「今日のあれなによ」
「なにが?」
ライブ終わりに仁人につめられてすっとぼけてみる。
「HIKARIんとき後頭部おさえてさ…」
「ガチでされると思った?」
「はぁ?思ってねぇわ!!」
ぷんすか怒りながら帰って行く仁人について行く。
冗談半分、本気半分なんつったらお前は怒っかな。
本人目の前にしてやりにいって素直にキスさせてくれるわけないってわかってる。だって、あの仁人だぜ?
ダメ元の行動くらい許せ。
【12/28 ファンミ岐阜】
「さのじん推しが多いみたいだから…今日はお前がいなくて寂しかったよ!早く元気になってな」
なんて言いながら、ステージ上に置かれた仁人の抱き枕にキスをしてはける。
「勇ちゃんやってんね~」
「最後の最後に佐野さんぶっこんできた」
「仁ちゃん知ったらどない反応しやんやろ」
袖に入ればニマニマと楽しそうな年下組に迎え入れられて恥ずかしさに謎のどや顔で対抗してみる。
「勇斗なんよーその顔」
「勇ちゃんって照れてるときその顔するよね」
「するする!!」
はやし立ててくる年下組を仁人の抱き枕でぼふぼふと叩いていく。
「佐野さん、照れてるからって暴力はあかんよぉ~!」
「ちょ、勇ちゃん、ガチはあかんて」
太智と舜太から抗議の声が上がる。
「いや、俺にもちょっとはしてよ」
「ははっ、姫にはさすがにできんわな」
なんて言いながらことの発端の柔太朗に仁人の抱き枕を押し付ける。
結局、仁人本人になんて無理な話で。しかも、仁人がいないときにみ!るきーずを言い訳にしてさ。
みんなが思ってるより、だっせぇな俺。
ま、いつかね。いつかちゃんと奪ってやるよ。
仁人の頬。
END
おまけ
「仁ちゃんも勇ちゃんも大概やな」
「ほんとにいつになったら本人たちは素直になんのかね」
「俺、10年一緒やけどほんとに変わらんくてじれったいで。ほんまに」
「良い意味でも悪い意味でもほんとに変わってないんだね」
「変わらん変わらん。俺はもう諦めてんで?」
「太ちゃんが諦めたら終わりやて!俺らも協力してんからもちょっと頑張ろや」
「今日はちょっとした進歩だったんじゃない?」
「舜太とぉ〜柔太朗がぁ〜言うならぁ~まぁ~もうちょっとだけ頑張るぅ~」
「ふははははっ」
「んふふっ、太ちゃんしゃべり方変やて~」
年下組の苦悩はまだまだ続く……?
END
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