テラーノベル
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〈kiriyan side〉
雨音が鳴る静かな教室。
まだみんなが揃わない中、窓の外を眺めては変わらぬ景色を見てぼーっと時間を過ごす。
室内から見る雨模様は不気味で、吸い込まれるみたいで、それでもなんだか好きだった。
ブーッ、ブーッ
kr 「はいはい、もしもーし」
ーーーちょっと話したいことあるんだけど
kr 「あ、なかむじゃん。なんか相談事?」
ーーー結構大事なことでさ今日の放課後いい?
kr 「あ、もしかして俺だけの方がいい感じだよねこれ」
ーーー察しがよくて助かるよ笑
kr 「おっけー!じゃあ帰りにモクド寄ろうぜ」
ーーー今からそっち行くわ
電話越しの感じ、すごく緊張してたみたいだけど、 なんかあったかな?
それかシャーくんとのことについてかも?
sm 「なかむ?」
kr 「そうそう、なんか話したいことあるらしい」
sm 「話したいこと?」
kr 「スマイルなんか知ってる?」
sm 「いや。」
スマイルはどうやらシャーくんとなかむの喧嘩については知らないみたいだし、他のことについても知らないよな。
kr 「二人がいいって言われたからさ、スマイル今日ぶるーく達と帰って」
kr 「あ、図書館残る?」
sm 「そうしようかな、」
kr 「、、、拗ねてる?」
〈nakamu side〉
タッタッタッタッ
ガラガラッ
nk 「ごめん、遅くなった!」
kr 「拗ねんなよぉ、 」
sm 「やめろ引っ付くなっ」
nk 「、、」
sm 「ほら、なかむ来たんだから早く帰れ」
kr 「お、ほんとだ」
じゃあねースマイル!と明るく手を振る彼の手を、どれだけ掴みたかったか。
俺に横顔を見せて、彼に笑顔を見せる彼の瞳を二粒、どれだけこちらに振り向かせたかったか
やっぱり俺は勝てっこないんだよ
…………………………………………………*
kr 「ーーーかむ、、なかむ?」
nk「あぇ、」
kr 「注文どうするって、俺まとめて買ってくるから」
nk 「あーー、、」
kr 「いつものでいい?笑」
nk 「うん、ありがと」
負け試合に挑むのは好きじゃない。
だって勝てるわけがないから、負けるか勝てるかのラインに立てるならまだしも、あの目はもう勝てるわけがないんだよ、、。
ーーーでも俺諦めないから
はぁ。本当にムカつく。
なんでいつもいつも勇気をくれるのは、俺の背中を支えるのは、お前なんだよ。
kr 「持ってきましたー」
nk 「あのさ、」
…………………………………………………*
〈shake side〉
この学園の雨は止まない。
耳にこびりつくような雨音はいつしか心音のように意識しないものとなっていた。
俺はなかむと前のように友達には戻れないんだろうな。ずっと俺の気持ちが壁になって彼の間合いに入らないんだろうな。
sh 「何しちゃったんだよ俺」
ガラガラッ
sm 「やっぱここにいた。」
sh 「俺今一人になりたいの」
sm 「わかってる」
わかってるってなんだよ、お前にわかるわけないじゃん。
それでも少し心が軽くなったのは気のせいだろうか。
sm 「なかむがきりやんに相談事あるって言ってモクドいったよ」
sh 「だから何。俺に関係ないでしょ」
sm 「雨が降るだろうな」
sm 「ちなみにただの独り言だから」
パタンッ
何言ってんだ?雨なんてとっくに降ってるし二人とも傘は持ってるだろ。
きりやんと2人、相談事、、、、
sh 「は、そういうことかよ」
ガタガタッ
ハアッ、ハアッ、、、
走り続けて肺が痛くなってもそんなの嫌じゃない。水たまりで足がびしょびしょになってもそんなの嫌じゃない。俺には輝いた瞳を見せなくても我慢するし。
、、でもお前が雨の中にいるのは、嫌だ。
ザアアーーーーーーーー
sh 「なかむっ!!」
nk 「は、、しゃけ?なんで」
nk 「ちょ、おまぇ濡れてるって。離れろよ」
nk 「離れろってば、、、」グスッ
sh 「雨、うるさいから
傘で顔なんて見えないから。 」
nk 「ゔぅっ、、、ぅ」
nk 「ムガづくっ、、!なんでいつも、」
nk 「俺が体調悪い時も、元気ない時も、困った時も、甘いもの食べる時も、、なんで」
nk 「なんでお前がいるんだよっ、 さっきだって、、、んでっ、俺の背中を押すのは」
nk 「シャークんなんだよっ、」
それがどれだけ、俺にとって嬉しい言葉なのか彼には伝わらないだろうな。
俺はただ黙って彼を抱きしめて、その恍惚感に浸るしかしなかった。
sh 「落ち着いた?」
nk 「ん、」
窓越しに雨の足音を聞く。時計の針は小さくもしっかりと動いていて、俺たちを2人きりだけだと再認識させる。
sh 「話、聞いてもいいの?」
nk 「だから連れてきたんだろ」
sh 「風邪引かれたら困るからだってば」
nk 「あいつ、優しいからさ、」
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