ある報告が入った。
サーガラは俺の姿だからか暴れているらしい。
終いにはヨーロッパで病を流行らせたとのこと。
黒死病だ。ペストとも呼ばれるその病は
恐ろしいそうだが、流行らせた理由があるらしい。
それは、皆が防具服を着たり
ペストマスク(鳥の面のようなもの)を着けるからである。
それに紛れて身を隠し
少しずつ俺の故郷を破壊していった。
正直いい気味だ。あんだけ虐めたんだから…。
悪魔だなんて酷いものだ。外見だけにも程がある。
悪い竜が居たとしても、それは一部だし
そもそも差別行為は神話時代からあった。
人類は神類(じんるい)とも書くから
元々傲慢なのかもしれない。哀れなものだ。
そう思ったとしても報告の最後にこう言われた。
「止めに行ってはくれないだろうか。」
普通に嫌だ…けど格が落ちたら悪い。
サーガラならどうするだろうか。
考えてみたがおそらく引き受けるだろうな。
奴なら面白いと感じるだろう。
「あ〜引き受ける。面白そうだし?」
俺は少し笑った。
俺をいじめた所に炎でも吹かせてやろう…
いや、水か。そして大雨に竜巻だな。
考えれば考えるほど記憶が蘇る。
俺は足を急がせて
宮を出た。カニ軍やサメの戦士なんかが
後ろをついてくる。
海を出てから雲に飛び乗り
ヨーロッパまで飛んでいった。
俺が歩くところは雨になり、ただ雨粒に打ちつけられた。
霧がかった山を見ながら
ヨーロッパの地を踏むと、そこには自分の姿があった。
「やぁグーロ。ここで会うとは奇遇だねぇ〜」
「いや、サーガラか。ははは!」
豪快に笑うと、サーガラは
俺の腰にある刀を抜いた。
刀は青みがかっててサーガラが手に持つと
キリッとしたような空気になって
周りのカニ軍なんかは消えた。
椿のように紅い血が鱗に掛かり、ベッタリとする。
生暖かさが不気味で嫌になった。
サーガラはそれでも笑いながら
刀を俺に向けてこう言った。
「己見ずに世は変わらぬ。
己のことを知る者は己しか居ぬ。
故に汝(なんじ)のことも我は分からぬものよ。
他人を知り切ることに及ばず。」
(自分を見ないで此の世は変わらない。
自分のことを知るのは自分しか居ない。
だからお前のことも私には分からないものだ。
他人を知り切ることに及ばない)
聞いてハッとした。
全て知った気になっていたが
そんなことあるはずがない。
自分のことは自分しか分からないと
改めて心に刻まれ俺の注意を引いた。
サーガラは刀を下ろすと
翼を上下に動かせて
その場から去った。
無論、俺も追いかけて霧のかかった山へ入った。
コメント
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待て、入ったらなんか怖い状況とかねぇよな???