今日は夢学園演劇部の初めて劇場での演劇。
沢山のお客様が来てくれる特別な日だ。
披露するお話は『銀河鉄道の夜』か『はだしのゲン』どっちかにする事になっていて、今回は多数決の結果、『はだしのゲン』に決まった。
「あー緊張してきた…」
いるまがぼそっと呟く
「らんらん足震えてるよ?」
「えっまじっすか?」
「マニキの場合はなんか電話かかってきたスマホみたいに震えてる」
いるまに合わせて皆んな口々に喋り出す。全員緊張しているのを抑えられていなかった。一年生組のらんこさはウキウキを隠せていなかったのかずっと目をキラキラさせていた。その中冷静な表情で台本を見返している暇那津と少し昼寝をしている翠河須知。須知の場合は冷静というより、昼寝しているだけだった。
「すっちー…そろそろ起きないと」
「ん…んぅ…あと…15分」
「あと10分で始まっちゃうよぉ!」
「んぅ…スヤァ」
「すっちー(泣)」
「すち先輩、」
なつがすちに近づき耳元でそっと呟く
「…ーー、ーーー。…ーー、ー。」
「えぇ!?」
すちがびっくりして起き上がる。驚いた氷上で口をあんぐりと開けている
「そ…それは…本当?」
「うん」
「えっ……⁉︎」
「どうしたんですか?」
「えぁ…その…えっと」
「あとで伝えときましょう、今伝えるともっと緊張するはずです」
「あっはい」
すちが後輩への敬語はめずらしく、2年組は少し驚いた
「いやぁ…いいねぇ」
帽子を深く被り、サングラスをかけている男性が笑い、綺麗な八重歯が見える。
「バレへんとええんやけど…」
「大丈夫×2!俺たちは特等席だから、関係者としか思われないよ笑」
「てか…珍しいなぁ…“ないこ”が学生の演劇見に行くの」
「あれ?そう…?」
「劇団に知り合いでも居るん?」
「あ〜まあこの前…知り合った感じ?」
「へぇ…陰キャのないこが…」
「そうそう俺は大の陰キャって…こら!」
「本番3分前でーす!」
「わかりました!」
すちが大きい声で返事をした後、こさめが十分前に皆んなに提案した事を実践しようとらんにそろりそろりと近づき肩をくんだ、皆んなもそれに合わせて肩を組んだ。
「掛け声は誰が言うん?」
「勿論すち先輩でしょ!部長だし!れ
「俺?」
「アンタ意外に誰がいるんだよ、皆んな文句はねえよ。ほら掛け声」
「分かったよ(笑)……よし!絶対成功させるぞぉぉ!
「おおぉぉ!」
掛け声はステージ裏から客席まで聞こえてきた
「すみません💦もう少し声抑えてください」
「あ」
「ーーー、ーーーー!」
「……ッ!ーーー、ーーー!」
はだしのゲンとは
はだしのゲンは、6歳の時に広島の爆心地から1・3キロで被爆し、父や姉、弟、妹を亡くした漫画家の中沢啓治さん(昨年12月に死去)が自身をモデルにして描いた作品。 物語の始まりは終戦直前の広島。食糧難に苦しみながらも、家族で助け合いながら明るく生きる姿が描かれる作品だ。一部の問題シーンから子供には見せられないと言う。
『 主は幼稚園でこの劇をやりましたあと主人公のゲン役やりました。タノシカッタ(ᐛ)』
「!…なんだこれは!おいッ!誰だッ!こんな張り紙を貼った愚か者はッ!」
らんは警察訳、主人公のゲンの父の戦争を反対意見に対し、暴力的な罰を与える役である。
「ッ…」
「お前かッ!反対とはどう言う意味だッ!
「そのまんまの意味だッ!戦争は人の命を消す、最悪なものだ!こんなのやめるべきだ!」
父役はすち、戦争反対の意見を警察役のらんだけではなく、観客の人に伝わるような迫力のある演技を会場に見せつけた
「アンタもッ!人の命を守る仕事だろッ?それなのに人を殺す側につくのかよッ!おいッ警察!」
すちがらんの胸ぐらを詰みらんに訴える
「ッッ……黙れ!お前のような愚か者には罰を与える!来いッ!」
「ぐあっ」
「父さんッ!」
主人公、ゲン役はこさめだ。
こさめの中性的な声は少年感を引き出している。泣く演技は上手く、まるで本当に父親、家族を無くしたような表情で演技する。
いよいよ、ラストの1番観客の感情を揺らすところ。父親が火の海に囲まれるシーンだ。
「…ぁ…うぁ…父…さん…」
みことが声を振るわせる表情は絶望的な顔だ。
「父さんッ!父さんッ!父さぁぁん!」
「だめっ!ゲン!」
火に飛び込もうとしようとするゲンを抱きしめ必死に抑える母《みこと》の表情は涙で顔がボロボロだった。父を失ってしまうという辛さとこれ以上誰かを失う事をしたくなく息子を必死に止める母親として、自分が1番出来る精一杯の行動が分かる。その様子はまさに地獄絵図だった。
「父さん!父さんッ!とうさぁぁん!」
そうして、幕が閉じた
「えー…せーの…お疲れ様でしたぁ!」
「お疲れ様ー!」
打ち上げ会、場所はみことの家皆んなが好きなお菓子、好きなジュースを持ってきた。
「今日は頑張ったね〜皆んな、演技うまかったよぉ〜」
すちがそう言いながららんのコップにジュースを注ぎまくる
「溢れる!×2」
「あははっ笑」
「すち先輩、ハイテンションっすね〜笑」
「え〜?笑…そう?」
「お酒飲んじゃったんすか〜?うりうり〜!」
「んなわけ無いでしょ〜」
会話は楽しく、皆んなの顔は笑顔だった
「……?いるまセンセー?どうしてそんなに固まっt.……」
「…助けて」
「おわぁ…いちゃついてる」
「べっ別にいちゃついてるわけじゃないし//」
「どしたの〜?…oh…」
暇なつは食べてお腹がいっぱいになった為、眠くなり、いるまの膝で寝ているいわゆる…
である…
「まじ…心臓持たん…」
「そういえば…あの時すち先輩が驚いた理由って?」
「あー…あれね?実はさ…イレギュラーダイスっていう演劇団が…来てたらしい…」
「え……」
「えぇぇぇぇぇぇ!?」
「…いやぁ良かったなぁ…あの演劇…どうやった?ないこは」
「うーん…皆んな、迫真の演技だったけど…俺ちょっと不思議な点がある」
「不思議な点?」
「……暇那津って居るじゃん?」
「あーそういえばおったな…」
「あの子の演技…少し抑えてるみたい」
「…だろうな…元人気子役や…トラウマくらいはある…それにこの前こんな投稿見つけて」
青髪の青年がないこに一つの投稿を見せる
「ん?……うわっ最悪だね…こんなの見たら誰だって追い込むでしょ…」
「演技を抑えるなんてもったいないなぁ」
と言いながらパソコンを閉じる
「……欲しいな…暇那津」
「うちにはもう十分人材はおるやろ?」
「…彼の演劇をもっともっと…成長させたいんだよね〜」
(あかん…ないこがモード入ってもうた…こうなったら…)
「ないこ…寿司食べに行くか」
「!行く!」
「ほとけも誘うわ…」
スマホでメッセージ器用に打つ。その様子を見てないこが
「あーたらやっぱり仲良しだな…」
とつぶやいた
今回マジ頑張った
コメント
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毎回思うけど出す情報,正確に書いててすごいしちゃんと🍍ちゃん忘れへんのがぐっときますは てか調べたとしてもあんなに話とまっちさせられるのは普通にすごいでしょ。感情とか言葉使いとかこっち側もちゃんと分かって読んでもらえるよう書き過ぎず書かな過ぎず安牌選んで来るのが凄いよね あ、やべぇもうこの話えのコメじゃねえw
はだしのゲンの劇、、、原作で話は知ってるけど劇って面白いですね! 僕の学校劇とかなかったから楽しそう、、、