テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
あめ猫@絵チャ依存症マン
8,549
一般通過モブ
1,013
#bl注意
ゆ♨️
3,722
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
FORSAKENのサバイバーロビー。
ノスフェラトゥ戦以来、サバイバーたちはすっかり慣れてしまっていた。
シェドレツキーの影から突然1xが出てくることにも。
試合中に助けられることにも。
「……あれって味方?」
「いや元キラー。」
「でも助けてくれるし。」
「結局なんなんだろ。」
誰にも答えは分からない。
ただ一つ確かなのは。
ものすごく頼りになる、ということだった。
その日もロビーでは、発電機の練習会が開かれていた。
ヴェロニカが配線を繋ぎ直し。
ビルダーマンが工具を握り。
みんなで悪戦苦闘している。
ガシャッ。
「うわっ、また失敗!」
「難しいなぁ……」
その瞬間だった。
ニュッ。
シェドレツキーの影から半透明の頭が飛び出す。
「お前らぁぁぁ!!」
ロビー中に怒鳴り声が響いた。
「発電機修理、遅すぎるんだよ!!」
「うわぁ!」
「出た!」
「1xコーチ!」
「誰がコーチだ!!」
影から上半身まで現れた1xは、腕を組んで全員を睨みつける。
「この前の試合見たぞ!」
「ガチャガチャ!」
「ガチャガチャ!」
「何回失敗してんだ!」
「俺がキラーだったら、その音聞いた瞬間にヴェノムシャンク後頭部に叩き込むからな!」
「ご、ごめんなさい……」
ビルダーマンが苦笑いする。
「発電機って意外と難しくてさ。」
「言い訳すんな!」
1xは影から腕を伸ばし、練習用の発電機を引き寄せた。
「貸せ。」
ガチャ。
カチャ。
カチン。
ものすごい速さで配線を組み替えていく。
「いいか。」
「一個ずつ見んな。」
「全体見ろ。」
「流れを考えろ。」
「システムは素直なんだよ。」
「癖さえ分かれば勝手に繋がる。」
ヴェロニカが目を丸くする。
「えっ。(O_O)」
「そんな見方あるんだ。」
「ほら。」
「やってみろ。」
「は、はい。」
恐る恐る触る。
カチッ。
ブゥゥゥン。
発電機が綺麗に起動した。
「あっ!」
「できた!」
「すごい!」
「引っ掛からない!」
1xはドヤ顔になる。
「当然。」
「元祖バグの帝王だぞ。」
「システムなんか全部知ってる。」
影の中で胸を張る。
「次!」
「チェイス!」
ビルダーマンが肩を震わせた。
「えっ、俺?」
「お前だ!」
「直線逃げるな!」
「真っ直ぐ走るな!」
「障害物使え!」
「角をインで曲がれ!」
「外に膨らむな!」
「攻撃判定知らねぇのか!」
怒涛のダメ出しである。
ビルダーマンは必死にメモを取る。
「なるほど……!」
「そこまで考えてなかった!」
「あと待ち伏せ!」
「キラー見てから行くな!」
「足音聞け!」
「踏み込む瞬間読め!」
「タイミングだ!」
「感覚覚えろ!」
ヴェロニカが感心する。
「めちゃくちゃ分かりやすい……。(°▽°)」
「さすが元キラー。」
「当然。」
「何百人追い回したと思ってんだ。」
少し誇らしそうだった。
「よし!」
「実践!」
1xが指差す。
「シェドレツキー!」
「お前キラー役!」
「えっ、俺!?」
「早く!」
「はい……。」
木刀を持って構えるシェドレツキー。
「じゃあ行くよー。」
ゆっくり近付く。
「ヴェロニカ!」
「まだ!」
「まだ!」
「……今!」
ドン!!
「ぐえっ!」
見事な体当たりが決まった。
シェドレツキーが吹っ飛ぶ。
ゴロゴロ転がって壁へ激突。
「痛っ!」
1xは満足そうに頷いた。
「よし。」
「今の。」
「百点。」
「覚えとけ。」
サバイバーたちが一斉に拍手する。
「すごーい!」
「分かりやすい!」
「ありがとう1x!」
「次の試合勝てそう!」
遠くで見ていたデュセッカーが腕を組む。
「……不思議なものだ。」
「かつて最凶と恐れられたキラーが。」
「今では最高の教官とは。」
隣では、頭に大きなたんこぶを作ったシェドレツキーが肩を落としていた。
「デュセッカー……。」
「なんだ。」
「みんな強くなるのは嬉しいんだけどさ……。」
「うむ。」
「なんで毎回、俺だけ殴られる役なの?」
デュセッカーは一瞬だけ考えたあと、小さく笑った。
「愛情表現だろう。」
「諦めろ、兄弟。」
「そんなぁ……。」
その時だった。
「おーい!(*゚▽゚)ノ」
ヴェロニカが手を振る。
「1xコーチ!」
「今度もよろしくね!」
1xは顔を真っ赤にして怒鳴った。
「だからコーチじゃねぇ!!」
「次ヘボい逃げ方したら!」
「影から足引っ張って転ばせるからな!」
「はいはい!」
「ありがとうございます!」
「誰も聞いてねぇ!」
照れ隠しのように叫ぶと、1xはそのままシェドレツキーの影へと潜り込んだ。
「……ったく。」
影の中から聞こえる小さなぼやきに、シェドレツキーは苦笑する。
「なんだかんだで面倒見いいよな、お前。」
「うるさい。」
「勘違いすんな。」
「下手くそばっか見てるとイライラするだけだ。」
「だから教えてる。」
「はいはい。」
その返事に、影の中の1xは少しだけ照れくさそうに鼻を鳴らした。
こうして元・最凶キラーによる熱血特訓は毎日のように続き、FORSAKENのサバイバーたちは、かつてないほど生存率の高いチームへと成長していくのだった。