「もう、いいや。いっそのこと………全部」
諦めよう。そう、覚悟出来た。ベットの上で。
何をしても、されても、言われても、何も変わらなかった。いや、変われなかった。
そんな俺の存在価値なんて、皆無に等しい。全く変われない俺に生きる意味は、ない。
さっさと終わらせよう。これで、過去にも今にも、片がつく。全てを終わらす事が出来る。
「嬉しいな、あともう少しで全てが終わるんだから」
そんな事言ってるが、心の奥底では、何か分からないが感情がある。
なんだろうか……この感情は。どこか悲しい、?様な………“今”の俺には分からないな。
さて、ちょっと部屋の整理でもしようかな。遺品整理か。いや死ぬ前に遺品って言うか?
まぁいいや。えっと……色々あるな。アルバムや……アルバムしかないな。本がちらほらぐらい。
本当に何もないな……整理始めた意味無くなるな。元々そこまで物とか持たなかったからなぁ。
思ったよりない。写真が多めだな。思い出はこうやってしまっておきたい。風化しない様に。
あ、これは……ノート?あぁ、暇な時に日付書いてここに落書きしてたっけ。最近やってないな。
後で描くかな。何描くかは決めておこ。って半年やってない。死ぬ前に少しでもやっておくか。
後、どっかに手紙と封筒があった気がする…………お、あったあった。
とりあえず、これに遺書をっと。ギリギリまで書かないからな。絶対。その方がいいかな。
さて終わった。やる事ないし、落書きでもしてよっと。何描こっかな、考えてなかった。いっか。
「ん……?これは……?」
机に上にあったのは、埃被った写真と片方しかない耳飾りだった。
確か3、4年前に封魔がくれたような。二つで一つになるやつ。それの片方か。
「ちょうどいい、かな」
いつの間に口にしていた言葉。その時、俺が思いついたのは一つ。
“人生最期の日、この耳飾りをつけよう”
そういえば、自殺日まで後4、5週間か。相変わらず時間っていうのは早い。
あっという間、だったな。この日々《人生》。本当に、楽しかった………?のか、?
今の俺には全く分からないな。ま、いいや。俺はともかく封魔達には長生きしてもらおう。
じゃないと俺が死ぬ意味がない。封魔達が俺の為にって言って後を追ってほしくない。
俺の代わりに生きてほしい。俺が感じる事の出来なかったシアワセと感情を、 感じてほしい。
まだ、生きていてほしいから。アイツらが、シアワセなら。俺は、それでいい。
「………………………あれ、?」
いつの間にか、頬に温かいものが流れていた。
久々だな。最低でも、5年前だ。あれ以来、こんな事は無かった。
「なんで…………“泣いて”………、?」
どうして、泣いているんだろう。そんなカンジョウは、とっくに捨てたはず。
あの日、5年前に全てのカンジョウを、捨てたはずだ。喜怒哀楽も、全て。どうして、?
「どう、して…………なんで……………、?」
“聞いたって、答えは返ってこない“
その時だった。
「封悪………、?」
澄んでいるが掠れていて、でもどこか優しい、そんな声だった。
月桜だ。コイツは耳がいいからドア越しから聞こえてきたんだろう。
「………………?」
月桜は少し驚いていた。深く息をつくと、 俺に、抱きついてきた。
「月、桜………、?」
「何も、言わないで」
そう言われて、暫く黙っていた。
沈黙の間も、涙は止まらなかった。
体感だと1時間近くだったが、実際には10分程度たった時。俺から離れて月桜は言った。
「無理、しないでね。封悪」
そう、言われた。でも……………いや、ちゃんと返そう。
「あぁ……………“ありがとう”」
そう言うと、月桜は満足したかのような笑顔で部屋を後にした。
涙は、収まっていた。あんなに泣いたのは5年ぶりだった。少し、心が軽くなった気がする。
「嬉しい…………のかもな」
今の俺には分からない。でも、心の奥底が少し、暖かかった。
泣き疲れたせいか、いつもより眠い。今日は早めに寝ようかな。
さっさと風呂に入って栄養食を食って薬飲んで寝よ。そうするか。
〜お風呂入浴中〜
ポカポカだな。途中、母さんが連写してたからシバいたけど。
ほんっとにヤバいにもほどがある。せめて娘の風呂時間くらいは欲を抑えてほしい。
なんか封魔も乗っかって連写してたけどガーレとレーレイにより撃沈してたぜww
いやーあれは笑いかけた。後で母さんと封魔は説教祭りだな。楽しみだ本当。
てか、さっさと髪乾かさないと。髪長いから時間かかるけど………やるか。
〜ドライヤー中〜
やっと終わった。長かった。
さて、栄養食という名のカロリーメイト食って寝るか。
〜カロリーメイト食事中〜
美味かったぜ。めっちゃ眠いし、さっさと寝るか。
あ、リビングから声が。ガーレとレーレイと月桜か。大変だなアイツらも。
「おやすみ」
誰もいないが、ガーレ達の怒りの声の中、俺は眠りについた。
封悪の消滅まで、後、3週間と6日