「おはよぉございますぅ♡トントン書記長♡」
「あ”?
……チッ、ローズか。書類は?今週提出の奴、ちゃんと終わっとんのやろな?」
「もちろん!鬱先生のも持ってきましたよぉ♡」
「…ならええわ。そこ置いといて。」
「はぁい♡」
パタンと扉を閉じ、誰もいない早朝の廊下を鼻歌を歌いながら歩く女。
本当なら、
軍のNo.2である書記長に媚を売るような態度を取るのも、
幹部である人間の名前を呼び捨てにするのも、
即刻処刑されておかしくないのである。
しかし、それが許されているのは、ひとえに彼女の業績によるものだった。
最年少で幹部に上り詰め、
書類仕事は毎回完璧で期限前提出、
内ゲバを止めた回数は数えられないほどで、
何より戦場に出せばあり得ない戦績を引っ提げて帰ってきた。
そんな、最強の名を冠するに相応しい彼女のその正体とは______
俺だよ〜!おれ、おれ!
8度目の人生を繰り返している主人公こと、
女装して我々軍に勤めている幹部、
ローズちゃんでぇ〜っす★
因みにローズは偽名な。
本名は 呼ぶ人がもういないので無いも同然!
さて、なんであの暗いプロローグからこんな奇妙な展開になっているか。
そう、俺は繰り返す内にある事に気付いた。
俺、ぶりっ子女になれば良くね!?
ってことに。
何故その思考に至ったかをお聞かせしよう。
まず、彼らは基本的に女が嫌いだ。
特に立場や顔だけ見て擦り寄るような奴が大っ嫌い。
1回目のときはお近づきになろうとするメイドや、舞い込んでくる見合い話に、ナイフを持ち出そうとする彼らをどれだけ俺が必死に止めたことか。
そして次に、俺は彼らを守りたい。
その為には側にいなきゃいけないし、でも庇われないようにしなきゃいけない。
でもってまたその為には彼らに嫌われなきゃいけない…けど、彼らの仕事の負担になるような事はしたくない。
そうして導き出した結論が、
「ぶりっ子女になる」
だったのだ。
そう、これならいくら有能でも好感度はマイナスを保つことができ、庇われない、という最大のミッションをクリア出来るのだ!
いやー、最初思いついたときは天才だと思ったね。
そうして俺は女装して軍に入り3年という短い単位で見事幹部に上り詰めたのだった。
ぱちぱち。
ついでに女装なのでまともな戸籍もないからスパイの疑いもかけられやすいね!
わーいわーい(涙目)