私、各国の建国記念日をカレンダーに入力しているんですが、スウェーデン含め北欧の皆様方の記念日の保存ができていなかったことに先日主ちゃまさんの投稿を拝見させていただいて初めて気付けたんですよね。
感謝も含め主ちゃまさんに捧げます(←口実を得たと喜ぶ変態。おまわりさんこいつです)。
まぁ認知してくださるかは運試しということで。
付き合いたての頃のスウェ日です。
まぶたを走る血管がうっすらと見える。
薄いレース越しに差し込む柔らかな光にいざなわれるように、じんわりと意識が覚醒していく。
朝食でも作ろうかと身を起こすと、体…特に腰から背中にかけて…に鋭い痛みが走った。
「い゛っ………」
短く呻いた喉も痛い。
咄嗟についた左手が、何かふにゃりとした物に当たった。
「…ん゛ん…?……ふふっ…にほんだぁ……。」
物ではなく、人だったらしい。
整った顔をふにゃりと幸せそうに崩して、スウェーデンさんはそう言った。
「…あれ?まだいらっしゃったんですか?」
ちゅんちゅん、とスズメの声が、酷く部屋に反響している。
「……は?」
部屋に充満していたふんわりとした空気が、一瞬で凍る。
寝起きだという状況だけが理由でなさそうな低い声。
身を起こしたスウェーデンさんにガシリと肩を掴まれた。
「何?あんな善がってた癖に昨日の気に入らなかったわけ?僕の顔も見たくないくらい?」
朝にそぐわない、冬の月のように冷たい眼差し。
その目に灯る危険な光に、昨夜の彼を連想する。
味わい尽くすように喉奥まで詰められた舌、彼の形が浮き出た腹を撫でる手。
体内を穿つモノは止まることを知らず、休む暇も与えてくれない。
「あんなんじゃ満足できないって?」
「ちっ、違いますっ!」
未だにベットから出ることすら叶っていないのは、彼の言う『昨日の』が原因なのだ。
あれ以上激しくされたら、僕の四肢は間違いなく断裂する。
「…だって、やることやったらさっさとお帰りになってたじゃないですか、前まで。」
思わず溢れた言葉にハッとする。
自分の失言を相手のせいにするなんて最低だ。
慌てて口を開く。
「あのっ…!」
「だって、カッコつけたかったんだもん……。」
スウェーデンさんがぷくりと頬を膨らませ、そっぽを向いている。
「…へっ……?」
珍しい照れ顔にポカンとする。
「…僕ら、付き合い始めてまだちょっとでしょ?」
「…まだ『カッコいいスウェーデンさん』がよかったの。」
少し不貞腐れたような物言い。少しの空白の後、その言葉の意味を理解して、頬が熱くなった。
「…その、すみません……。…あの…。僕も別に、あなたのせいにしたかったとかいうわけじゃなくて、その……。」
朝、仲良く囀る鳥たちをぼんやりと眺める。
昨夜の熱さもあいまって、やけに冷えた体を抱きすくめる。
隣を見ても、しわくちゃになったスーツが彼の存在を『夢じゃない』と肯定してくれるだけ。
「…寂しかったんです…。」
ばっ、と長い腕に閉じ込められた。
そのまますりすりと頬を合わせられる。
くすぐったさから逃れようと身を捩ると、逃さないとでも言うように顎を掴まれた。
「ねぇ日本、好き。愛してる。」
日本は、と形の良い唇が動く。
「好き、です……」
「ちゃんと『俺』の目見て。」
砂糖を煮詰めたように甘い声。吸い寄せられるように熱のこもった瞳を見返す。
「…愛、して、ます……。」
途切れ途切れな上、尻すぼみになってしまったが、彼は満足したようだ。
ぎゅっ、と優しく背中に腕を回された。耳から犯すように、湿っぽい吐息の混じった声で囁かれる。
「…ね、もういっかいだけシよ?」
(終)
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