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「助け」なくちゃ、「救わ」なくちゃ、「幸せ」にしなくちゃ。
だけど名前は?顔は?どんな人なの?どうして分からないの?
僕は誰を「助け」るの?どうやって見つけるの?どうしたらいいの?
分からないなら探さなくちゃ、僕が持ってる情報はどこ?
床に落ちていた3冊のアルバムを見つけ、手に取ろうとするがするりと抜けた。手を見てやっと自分が透けていることがわかった。どうにか取れないかと試行錯誤し若干の感覚を捉える。それだけでかなり疲れて、目標の達成が遠い先にあると理解した。
1冊目は印字を見るに兄くらいの子供のアルバムだった。なぜだかとても神聖なものに思えた。
2冊目のアルバムには産まれたての子供の写真が並んでいて、子供は真っ赤だった。嬉しさの滲んだ顔をした男女、男の方は1冊目の子供を連れていて子供の眠っている部屋のガラス窓越しに「お兄ちゃんだぞ」と書かれた紙を見せていた。
直感だがわかった、僕が「助け」なければならないのはこの男だ。枯渇していた力が湧き上がってくる。この男の名前を必死で探すが3冊のどこにも彼の名前が記されていなかった。しかし、3冊目にて2冊目の子供の弟の名前を見つけることが出来た。
アンドレアス・マティアス・シュワイツ
どっと疲れてしまって、ただただそこで呼吸の真似をするしか出来なくなった。だが、あの男の名前を知らなければならない。一体どこにならあるのか。
免許証。アルバムには男が車を運転している姿も映されていた。ならば探さねば、もう一度。でも今は眠りたい、あの赤子の写真のように。