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〜 side ローレン 〜
俺は最近おかしい
昨日だってそうだ
片側が空いたベッドを眺めているうちに、帰ってこない事が悪い事の様に思い大人気ない事を言ってしまった
何故だかずっと俺の元に居ないと不安になってしまう
なんならこの部屋から出したくない気持ちにまでなっている
この相反する気持ちは何なのだろう
ずっと優しく包んで守りたい
なのに目の前に現れると傷付けてしまいそうな言葉が溢れ出してくる
自分で自分を制御出来ないことにイラついてくる
もう居ない空のベッドを見つめて俺も署へ向かった
署に着くとまだ数人しか出勤していない机を見る
そこにはロウの荷物が置かれ、ロウの姿は無い
もうパトロールにでも出たのか‥‥
俺も仕事をしなくては‥‥
そう言えば共通の冷蔵庫の食べ物が無いって言ってたな
どの程度買えば良いか見てから行くか
そう思い、冷蔵庫の扉を開ける
「あ?‥‥入ってる。エクスさんか」
さすが副所長だな
仕事が早い
でも待てよ
武器庫も足りてなかったな
もうエクスさんがやってるかもしれないけど
武器庫に向かうと静かで誰も居なかった
俺は棚の中を見て必要な個数をブツブツ言いながら補充を始める
「アーマーは結構な数ないと困るから‥‥」
「あ、ローレン。おはよう」
「エクスさんおはようございます」
「どれから入れてる?ライト?」
「そうね、エクスさんヘビー頼める?」
「OK」
2人で手分けして補充をしていく
「そう言えば、冷蔵庫の補充もありがとね」
「あ、それ俺じゃないよ。朝にここ来たら小柳が入れ終わるとこだった。昨日のうちに店に注文して朝イチで持って来てもらったみたい。小柳って要領良いよね」
「そうだな‥‥」
「後から小柳に経費渡しといて下さいね」
「あぁ、分かった」
俺が1人ロウの事考えてる時、アイツは仕事をしっかりこなしている
まるで俺が取り残されてる感覚だ
仕事が落ち着いた時間に無線を取る
“小柳、今無線取れる?”
返事がない
“‥‥小柳、いる?”
“あ、ローレンさんすいません。榊ですけど、今ロウさん貨物船のヘリバトルで爆散してて‥‥救急隊待ちで時間かかりそうです”
“あ‥‥了解。ありがとう”
爆散したなら相当痛かったろう
病院に運ばれて来るだろうから、少ししたら顔を出そう
車を回し病院に向かう
病院に着くと救急隊も事件対応で忙しいらしく、パタパタと走り回っている
「ローレンどうした?怪我してる?」
「星川さん‥‥うちの小柳が運ばれて来てると思うんだけど」
「あ、ロウくん。現場蘇生で復帰してたよ?私もダメだって言ったんだけど人数が足りないからって。薬飲んでそのまま行っちゃったよ」
「え、あ、ありがとう。俺からも言っとくよ」
「それにさぁ、近頃ロウくんの治療回数多いかも。頑張りすぎじゃない?休みも必要だよ」
俺だって分かってる
分かってるけど‥‥
仕事を終えてマンションへ向かう
部屋のある場所を見ると電気が付いている
部屋に入るとロウが夕飯を作っていた
「おかえりなさい、ローレンさん」
「‥‥ただいま。‥‥どうしたの?」
「たまにはこういうのも良いかなって‥‥」
ご飯
お味噌汁に生姜焼き
どれも美味しそうだ
それなのに‥‥
「なに‥‥機嫌でも取ってんの?」
「え‥‥違います‥‥けど‥‥」
ロウの顔が曇る
俺はロウの手を掴み抱きしめる
「どうせ取るならこっちの機嫌取りが良い」
「わっ!‥‥」
ソファーの上に押し倒す
背中を付けた途端、ロウの顔が苦痛に歪む
「痛っ‥‥っ‥‥」
「あ、ごめ‥‥」
咄嗟に肩を掴み、座り直させる
そうだ
今日ヘリ落下の怪我でまだ辛いはずなのに‥‥
肩を掴んだ俺の手をロウが掴み、笑みを作る
「大丈夫です。このくらい‥‥平気です」
自分の服に手を掛け俺の腕を掴む
無理をさせてるのは俺だ
ロウを縛り付けてるのは‥‥俺だ
翌朝
出勤しようとした足が止まる
一度部屋に戻り辺りを見渡す
ロウの部屋も確認する
変わった様子は無い
なら‥‥
玄関の上り口の真ん中
こんなところに指輪
昨日のお前の『大丈夫』は何を指してた?
頭の中に一瞬浮かんだ言葉
まさか‥‥
『終わらせたい』‥‥?