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鳥のさえずりがかすかに聞こえる、静かな朝。ほんのりとしたぬくもりに包まれて、ゆっくりと目を開ける
🌸『…ん…』
横を見ると、寝ぼけた表情の実弥がすぐそばに。
いつの間にか腕の中に抱き込まれていたことに気づいて、ドキッとする
🌸(…え、近…目の前に胸板は心臓に悪い!)
〇〇が動こうとすると、実弥がぼそっと呟く
実弥「…動くなァ…」
🌸『えっ…』
実弥「せっかく静かに寝れてたのに…目ェ覚めちまったじゃねェか…」
掠れた低音。まぶたはまた閉じられ、眠たそうな声が頭上から聞こえる
🌸『ご、ごめんなさい…』
すると、実弥の腕がほんの少しだけ、きゅっと強くなる
実弥「…お前が隣にいると、…落ち着くなァ」
🌸『えっ…』
〇〇はぽつりとこぼされたその言葉に、胸がぎゅっとなる
🌸(それって……)
実弥「…勘違いすんなよ。情けねぇ話だが…たまには、こういう朝でもいいかって、思っただけだ」
🌸『…私は、毎日でも嬉しいですよ。』
そっと微笑んで、目を閉じる。
隣から聞こえる小さな寝息に、思わずこっちも頬がゆるむ
🌸『…おはようございます、実弥さん』
そしてまた、静かな温もりの中で──ふたりだけの朝が始まる
🌸『……そろそろ起きます?』
寝返りを打とうとしたら、バサッと掛け布団がずれて、お互いの顔がはっきり見える
目が合う──その瞬間
実弥「ッ…!」
実弥がパッと視線を逸らして、頬にじわっと赤みが差す
実弥「な、なんだよ…ジロジロ見んな…」
🌸『えっ!?ち、違います!先にこっち見てたのは実弥さんです!』
実弥「いや、見とれてたとかじゃねェし…!そもそも……」
ごにょごにょと言葉を濁して、喉仏が上下する。落ち着かない手元。耳まで赤い実弥
🌸『…全部口から出てますよ』
と〇〇は小さく笑う
実弥「……こんな近ぇ距離、久々だから……なんか…落ち着かねぇだけだァ」
🌸『…ふふっ。実弥さんでも、照れるんですね』
実弥「うるせェな…お前が昔よりも女になってんのが悪ぃんだろ…」
🌸『えっ…!』
言った直後、自分で「あっ」って顔する実弥
実弥「…くそっ、忘れろォ。今のナシだ」
🌸『…ふふっ。ナシって言われても…なんか嬉しいです』
実弥「……調子乗んなよォ。…また赤くなるだろうがァ……っ」
そう言いながらも、顔真っ赤にして布団かぶる実弥
🌸(あ、逃げた……かわいい…)
🌸『あ、寝癖ついてる…』
実弥の部屋の端で、布団から抜け出して鏡を見ながら自分の髪を手ぐしで直している
ぼさっとした前髪を直しながら、何気なく鏡越しに実弥の方を見ると──
実弥「……」
座布団に腰かけて報告書を片手にしていたはずの実弥が、こっちをじっと見ている
🌸『……実弥さん?』
声をかけても返事がない。まるで何かを考え込むように
実弥「……お前さ、」
🌸『はい?』
実弥「……なんか……綺麗になったな」
🌸『へ…?』
一瞬時が止まる
実弥「いや、別に他意はねェけど……昔はガキっぽかったのに……今は、なんつーか……女って感じすんだよ。見てて心配になるっつーか……」
実弥は顔を背けながら、報告書で口元を隠す
🌸『……』
胸がドクンと高鳴る
🌸『……そ、それって……褒めてくれてるんですか?』
実弥「ちげぇとは言ってねぇだろォ…バカ……」
(顔の赤みを隠しきれず、報告書をめくる手が若干震えてる)
🌸『……ありがとう、ございます』
〇〇は恥ずかしさをごまかすように、微笑みながら髪を耳にかける
実弥「……っ」
🌸『?』
実弥「……それ、やめろォ」
🌸「えっ…!どれですか?」
実弥「……もう知らねぇ。作戦かよ……お前……」
そう言って報告書で顔を完全に隠す実弥
🌸(??? …変な実弥さん)