「明那。怪我大丈夫そう?」
黛は三枝の隣に座る。
黛をみた三枝は唸り声をあげながら頷く。
「んぅ…不破くんは?行った?」
三枝は起き上がりながら黛に聞く。
黛は頷く。
「明那、大丈夫?肋折れたって聞いたけど。」
襖のところから甲斐田が顔を出す。
「甲斐田ー。まあ、なんとかね。それより不破くんと知り合いだったんね。」
甲斐田の顔を見て微笑む三枝。
甲斐田は襖のところから黛の隣に移動して座った。
そして、甲斐田は三枝に不破との出来事を説明する。
それに続いて黛も不破と話した世話になった遊女が行方不明になった話した。
「多分、不破くんは遊女が行方不明になったのは鬼の仕業だと確信してるんだろうね。」
黛は付け加える。
甲斐田は黛に同意する。
甲斐田が調べていた遊女行方不明事件は不破の育った町での出来事であり、不破がそこの資料を読んでいたことを甲斐田は知っていた。
そして、不破を黛の屋敷に運んだ先斗から不破は鬼の話を驚きせずに聞いたことを黛は聞いた。
この世に存在するはずのない鬼の話を聞いて驚かない人はいない。
それでも不破は驚かずに「なるほどねぇ。」などと納得するような反応だった。
黛の屋敷に来る前に甲斐田の資料で鬼の存在は認識していたのだろう。
それだけで鬼の仕業だと確信がついたのかは分からない。
しかし、三枝が実際に鬼と戦っているところを見て不破の考えは確実になったんだろう。
「まあ、これは想像でしかないけど…。」
黛は立ち上がる。
そして、包帯を取って来ると言って廊下に出る。
二人の間には沈黙が通る。
「…明那はどう思う?やっぱり不破さんは復讐のために鬼殺隊に入りたいのかな。」
甲斐田は少し心配そうな顔で三枝を見る。
甲斐田は鬼殺隊の剣士ではない。
普段は鬼の研究に励み、藤の家として隊員を治療する。
知り合いの死が増えてしまうことは甲斐田にとっては辛いことだが、不破の意思も大切なものだと思い複雑な心境なのだろう。
「詳しくは分からないけどね。鬼に対して恨みは感じたよねー。」
三枝が言うには、三枝が鬼の首を切り落としたとき、掠れた視界の中に見えた不破は笑っていたらしい。
初めは何かをあやめることに興味があるのかと思ったが、黛の話を聞いてそれは恨みだったのかと三枝は思った。
「大丈夫だよ、甲斐田。加賀美さんのところでの修業を乗り越えれば、試験では死なないよ。」
三枝は甲斐田の肩を叩く。
叩いた拍子に三枝の体に激痛が走る。
「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ぁぁあぁ!」
三枝は叫びながら布団に倒れる。
「あ、あきなぁぁぁぁぁぁあ!」
甲斐田も続けて叫ぶ。
二人の叫び声は黛のいる離れた廊下まで聞こえた。
「朝っぱらから…元気だなぁ。」
黛は包帯と薬を持って二人のいる部屋まで歩いた。
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気ままに投稿しようと考えていたら結構時間が経っていました。
本当に自分の気分で書いて投稿しますので、ご了承ください。
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