テラーノベル
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「れん、おーい、れん」
悪夢にうなされ、苦しい息に喘いでいると、肩を優しく叩く感触と、愛しい人の声がした。
「ん……しょうた…くん?」
「蓮。どうかしたか?」
枕元の読書灯だけ点けて、心配そうに俺を覗き込む翔太くんの顔。暗がりの中、白く澄んだ肌が美しく照らされている。薄い唇は引き結ばれ、その口は、俺の名を繰り返し優しく呼んでくれていた。
俺は、翔太くんの細い腰に腕を回して、強く抱きしめた。
「れん?」
「ごめん、少し、こうさせて…?」
初め、固かった身体の力が少しずつ抜けて、おとなしく抱きしめられながら翔太くんが頭を撫でてくれる。
怖い夢を見た。
水の中で、息ができなくなる夢。
水面に浮上しようにも、重い身体は遅々として進まなくて、そのまま溺れかける恐怖に襲われた。
もう誰にも会えなくなると思った時。
仕事仲間や友人や家族や、次々と浮かんでは消えていく見知った顔の最後に愛しい人の顔が浮かんだ。
「もう二度と逢えないかと……思った」
「………此処にいるよ」
「うん」
翔太くんの小さな手が、俺の背中をぽんぽんと叩く。聞き分けのない子供をあやすみたいに、優しく。翔太くんの柔らかな声が、耳に心地よく響く。大好きな声が俺を安心させようと慰めてくれている。
「俺、翔太くんが好き」
「俺も蓮が好きだよ」
翔太くんの匂いが、俺を安心させてくれる。翔太くんの体温が、少し小さな身体の感触が、たまらなく愛おしい。
この人を、失くしたくない、絶対に。
悪夢を見て、俺は揺るがない愛情に温めてもらっているのを知った。
コメント
13件
めめなべぇ…最高すぎます‼️なべさん、ツンデレじゃない!?そこがいい!!