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💚サイド
なんとなく、家にいたらもう、ダメになっちゃう気がして。
思いつきで家を飛び出したけれど。
そのあとどうするなんて考えていなかった。
あのあとしばらく走っていた。
お母さんが追いかけてくる様子もなかった。
💚「はぁ…。」
これからどうしよう。
行くあてなんてないし。
家に帰ることもできない。
翔太と涼太の家もお母さんが嗅ぎ回っているだろうし。
🖤「あれ、阿部くん?」
聞き覚えのある声がした。
その方を見ると目黒くんがいた。
🖤「どうしたの?」
💚「…あ。」
なんだか安心して視界が滲んできた。
🖤「えっと、阿部くん?」
💚「あ…。ごめっ…。」
あー。心配させちゃった。
🖤「謝んなくていいよ。大丈夫だから。」
💚「…うぅっ。」
目黒くんが優しく背中をさすってくれた。
しばらく目黒くんの胸を借りて泣いていた。
🖤「えっと、話せる?」
💚「あ、あの…。お願いがあって…。」
こうなった際、頼れるのは目黒くんに頼るしかない。
🖤「うん。」
💚「しばらく、お家に泊めてほしくって…。」
目黒くん。
君が最後の頼り。
🖤サイド
ラウールと別れて家に帰る途中。
いつもの帰り道を歩いていると見覚えのある人がいた。
俺の大好きな人。
でも、ただことではない様子だった。
🖤「あれ、阿部くん?」
するとこちらに気づいたよう。
🖤「どうしたの?」
💚「…あ。」
すると阿部くんは泣き出した。
いつも、大丈夫って抱え込む阿部くんが泣くなんて。
よっぽどのことがあったんだろう。
🖤「えっと、阿部くん?」
どう声をかけたか分からなくて。
💚「あ…。ごめっ…。」
謝んなくて良いのに。
🖤「謝んなくていいよ。大丈夫だから。」
今の、自分にできる精一杯の声かけ。
💚「…うぅっ。」
安心したようで僕の胸の中でしばらく泣いていた。
流石にこのまま、放っておくことはできなくて。
🖤「えっと、話せる?」
💚「あ、あの…。お願いがあって…。」
阿部くんが俺を頼ってくれようとしている。
それが嬉しくて仕方がなかった。
どんなお願いでも受け入れよう。
🖤「うん。」
💚「しばらく、お家に泊めてほしくって…。」
どんな事情があるかは分からないけれど。
🖤「分かった。いいよ。」
どうせ1人の家。
少しでも、阿部くんの役に立ちたい。
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