テラーノベル

テラーノベル

テレビCM放送中!!
テラーノベル(Teller Novel)

タイトル、作家名、タグで検索

ストーリーを書く

シェアするシェアする
報告する

〘 藐 視 点 〙






壁の向こうで、れるちの泣き声が小刻みに震え、


こえくんの低めの優しい声がそれを包み込むように響く。



今日も眠れなかった。


毎日、薬に頼らなければ寝れない日々。


さすがに毎日薬を飲むわけにはいかないから


1週間で3日くらいは眠れずに起きてる。


病院には行ってないけど、不眠症あたりだと自覚している。



兄弟には、不眠症のことを言ってない。


俺は次男だから、兄はこえくんだけ。


弟に頼るのも申し訳なくて、こえくんはれるちのお世話で忙しいから。


迷惑はかけられない。



夜のれるちのお世話をしてあげられたら、こえくんが少し楽になるかもしれない。


でも、否定されるのが怖くて話せない。


兄弟すら信用できていない自分に腹が立つ。



……前はもっと、なんでも話せたのに。


こえくんと笑い合った夜が、ふと頭をよぎる。


いつからこんなに距離ができたんだろう。



目の奥が熱くなる。


息をするだけで胸がつまる。


壁越しに聞こえるれるちの泣き声が、心をえぐるようだ。



藐 ⌒ 俺 、 こ こ に い る の か な ……



自分が存在しているのかすらわからない。


ここにいる意味はあるのか、ということが頭をよぎる。


誰かの役にも立てないし、必要ともされてない。



部屋で1人、時間の流れに身をゆだねる。


息をする以外、何もしていない自分に気づく。


夜はまだまだ終わらず、静けさだけが延々と続いていく。



時刻は午前4時。


こえくんはきっと寝ている。



朝のご飯や大体の準備はこえくんがやってくれるので、俺はなにもすることがない。


手伝いなどはできるが、兄弟全体が最近気まずい。


俺が話しかけることなどできなくて、なにもできない。



…ほんとに俺、いらないんじゃないかって、苦笑いながら泣いてしまった。



ただ〃泣くことしかできない俺は


どうするのがいいんだろうな…。



……でも、このままじゃきっと壊れる。


俺も…、兄弟も。



なにかしなきゃと 胸が焦げつくように痛い。


息を吸うのも、吐くのも重い。


震える手を握りしめ、何もできない自分に苛立つ。


そんな俺を置いて、 朝日は無情にのぼっていく。


部屋を満たす光が眩しすぎて、俺の存在の薄さを、さらに実感させる。

す れ ち が い の シ ェ ア ハ ウ ス

作品ページ作品ページ
次の話を読む

この作品はいかがでしたか?

510

コメント

0

👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!

チャット小説はテラーノベルアプリをインストール
テラーノベルのスクリーンショット
テラーノベル

電車の中でも寝る前のベッドの中でもサクサク快適に。
もっと読みたい!がどんどんみつかる。
「読んで」「書いて」毎日が楽しくなる小説アプリをダウンロードしよう。

Apple StoreGoogle Play Store
本棚

ホーム

本棚

検索

ストーリーを書く
本棚

通知

本棚

本棚