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❲阿部数彦の視線❳
アイツと出会ったのは数カ月前。
小学校は違うもの。更に、中一と中二の時は別々のクラス。
だから、互い同士の存在を知らなかった。
いや、多分僕だけが知らなかった。だって一年の時は前期級長、後期は副級長。二年では生徒会長、その後期には書記であった。
ゆえに、学年集会や全校集会の時に前まで呼ばれることは、そう少なくは無かったことだ。
ともかく、彼は僕の名と顔を一度や二度は聞いて、見たことがあるはず。
そして僕は、彼のことを一度も聞いても見たことも無かった。
三年生に上がるまでは。
「今から委員会決めです。先に学級委員を決めるか。男子からにしよう。男子で級長に希望する人は手を挙げてください」
これまで何回も手を挙げた。でも、中学生として、この最後の一年をいろんな経験に使うことにしたい。
父さんに話してみた時も、彼は良い考えだと認めてもらった。
そうだね、何にしよう。保健委員とかは仕事がいろいろあって面白そうだ。朝にほとんど活用あるみたいだし。
いいえ、やっぱり考え直したところ、図書委員が一番僕に向いていると思う。なぜなら、放課後で遅い時間までいることですし、それを便利に勉強時間として使えれる。そして、図書委員ということだから図書室にある資料集や雑誌を仕事をしている時に自由使えだ。受験生にとっての一番良い委員会だと思う。
誰もいなかったら、それにしよう。
でも、生活委員の仕事内容も面白い。ポスターやキャンペーン作り。ポスターの場合、自分の言葉で安全を守るために絵や図をまとめてポスターとして仕上げる。キャンペーンは生徒の安全を守るために良い提案を見つけるまで話し合ったり、いろんなアイディアを組み合わせたりする。 どんな活動も全て安全やより良い学校生活を目的としている。
一言で言うと、学級委員のように学校をより良くする委員会だ。
どれにしようかなー。すごく迷う。
「数彦、手を挙げなくっていいのか?」
急に後ろから翼が声をかけてきた。
「え、なんで?」
翼とは一年に出会って、それからすごく仲の良い友人となったと言えるものだ。二年でクラスは違ったが、それを気にせずいつも通り話したり、出かけたりしていた。
翼は偽りの友情では無かった友人内の一人。
今年もまた同じクラスになり、一年のように僕達の首席番号は並例。
僕と翼の性格はほぼ異なるが、彼は結構良い奴ですごく面白い。
「なんでって、こういうもんが好きだろ?」
体を机にちょっとかたよって、翼は僕の耳元に小声で言う。
「今年はやらなくても良いと思っているのだよ」
翼のように、ざわざわしながら彼の質問に答えてあげる。
「えっ!数彦くんは級長やらなくていいの?前期は生徒会は無理でしょ?」
隣の女子が僕と翼の話をきいたみたいで、大きな声で自分の感想を宣言した。
「遠慮しなくていいで、数彦」
他の男子から優しく言われる。
遠慮なんてしていませんよ。ただいろんな経験をしたいだけなのに。
って、あれ?妙にいろんな視線を感じる。なんで?
急に教室がざわつき始めた。
僕が副級長になりたいのかと、書記になりたいとかと、いろんなクラスメイトから、次々ときかれてくる。
僕は一気に全ての質問を答えるように、ただ違う委員会に入る気だと教室に響くために、普段よりも大きい音量で宣言する。
もちろん、笑顔のままと、明るい音声でね。
「やらなくて大丈夫なの数彦?」
チョークを持ちながら心配そうな顔をして、先生は疑問にきいてきた。
近藤先生までか。
どうしたんだ皆?僕が級長でないと寂しいのか?
なんてね。
「大丈夫です。級長は他人に任せます」
さっきよりも大きい笑顔と明るい声で答える。
「会長だった時、辛かったの?」
教室の隅からある女子がきいてきた。質問のはずの言葉は、正真のように聞こえた。
なんでそうなる?なんで勘違いされる?別に違う委員会でも良いでしょ?けどなんで?
「そんなことはありませんよ」
自分の限界よりも大きい笑顔になる。
数秒間、教室は静かさにのみ込まれた。その中にいる近藤先生は何かを考え込んでいるように見える。
「そう。では、級長になりたい人は手を挙げてください」
やっとわかってくれたのか。今年のクラスは前のと比べて理解の鼓動が遅い者ばかりみたいだ。
さっきまであった視線を感じなくなり、痛み始めていたホッペタを楽にするために笑顔を少しだけ小さめる。
「誰もいないですか?」
誰もいない?
級長になりたい男子がいないだと!このクラスには僕以外に向いている人はいないのか?それとも、こんなにも大きな役割を果たす自信がないとか?
あー、そうだよな。すごく頼られるからね。理解できる。けれど、誰もやりたくない?僕のように完璧にできないことが怖いから?
そうであれば、しょうがない。僕みたいな人は存在しないもの。
美しくて、賢く、優しい僕のような人は探しても、探しても、僕しかいないのだ。神の優れものですので他の者には敵わない。
それが怖くてやりたくないの?
僕はすごく優しいからこの仕事を譲っているのですよ?それならありがたく受けるべきでは?
「級長を決めないと進まないですよ」
教室を見回す。ほとんどの男子が下を向いてたり、僕に視線を向けたりしている。
これは、あれだな。 「君がやってくれ」とか「君に任せた」的なものだよな?
しょうがないな。僕を認めるなら、こうするしかない。
神が僕を好かれていることを知っているもの。怖いだろうな。でも怖がらなくていいの。僕、すごく優しいから。
「先生、やっぱりやります」
天井に向かって、接辞良く手を頭より高く、正確に一直線に挙げる。
いろんな経験は後期からで良い。
高校からでも良い。
僕を認める人がいるのだから仕方ない。こんな大きい役割。級長という役割は僕にしか任せられないということなら、断らずとも受けてみせる!そのように考え、胸を張って手を挙げられた。
「阿部数彦に級長を任せても良いと思う人は、手を挙げてください」
教室を見回すと、皆手を挙げていた。
やはり、僕が級長でないと嫌だったんだ。正直ではない人達だな。
「決定はしましたけど、数彦、前でお話をしてくれてもいいかな?」
先生に言われたように前まで起こす。
スピーチなど何も用意していないが、即興をすれば何とかなるだろうし、いろんな単語を並べればいいだけだ。
皆、僕でないとこのクラスは進まない、そんな気がしていたのだよな。
今年のクラスには陰キャが多いみたいで、その中で優等生が大量にいる。よって、そのような人が学級委員、特に級長となれば、優等生であったとしてもまとまらないだけとなり、クラスの皆が困ってしまう。
だからこそ、この僕が変わりにやってあげたのがありがたかっただろうな。
どういたしまして。
「なんだ。やっぱりやりたかったじゃねーかよ。最初から言っとけば良いだろうが。俺らの時間が無駄やったぞ」
は?誰がそんなことを!?
声のした方に速やかに振り向く。そしたら、ある男子と視線を交わす。
一年のように、前期級長となった僕は、毎授業を始める挨拶を任され、僕と一緒に級長となったもう一人は、二年にクラスメイトであった女子。
彼女は毎授業の終わりの挨拶を担当している。それ以外の仕事もあるが、毎回やっている主な役割は授業を始める前の挨拶である。
簡単で楽だと言ったり、思ったりする人が多い。けど、そのような考え方は重大な誤り。なぜなら、級長(学級委員と生徒会役員も含め)という役割は、いろんな生徒達をまとめ。先生にも生徒にも不安を持たせないように行動を起こす者。その上、一番大事なこと。
そういった役割を持った者は、ちゃんとした優等生、しっかり者にしかやれない。これは誰にせよ、納得いくもの。
なぜならば、そのような役割になるには投票があって、どこの学校であろうと、選ばれる者はちゃんとした優等生ばかりなのだ。教えなくたって、皆は自分からそういった人を選ぶ。これが基本。
のはずだが。
ここから数年、父さんによれば、最近の学生達の代表的な役割は、人気者でうるさい者が多くなってきている。僕も同じことを感じる。
女子であればうるさい陽キャだが、ちゃんとする時はしっかりしている者で、男子の場合は、ただうるさい者ばかりだ。そのような者が大きい役割を果たしてしまっているのは、憲法の仕業だろうか。
ともかく、陽キャが選ばれるのは多くなってきた。でも、人との関わりが広い優等生であって選抜をすれば絶対に選ばれるのだ。
それを知っている僕は、最上級特点を毎回取り、誰とも話せ、優しく、運動もでき、教えの上手。
このような人が優等生でなければ、どのような者がそうなのかがさっぱりわからないものよ。
優等生で陽キャ。
そのため、二つの条件に当てはまる。
自慢ではないが、一度も選抜で落ちたことはない。
絶対に学級委員や生徒会役員のような偉い役割でなくたっていいのだが、僕からして中学校というこの三年間はとても大切なものだ。
成績だけが良ければいいだけではない。周りから自分のことを良く言われる必要がある。そうでないと、先生達や校長先生はその生徒にたいし、高校の方々と何を話せば良いのかに困ってしまうからだ。僕はそれを良く知っている。
「賢い」「成績の良い生徒」以外、もっと良い紹介をされたい。
そう思って、一年の頃、級長に希望した。
去年、同じ陸上部の者が女子にモテたいから会長になると、気軽な理由で応募した。
それを知った僕は、彼に人生は全ての者に甘くないと、事実を見せようと僕も応募し、その結果、二年の時に生徒会長となったのだ。
これだけでも周りの人から認められる人で、どんな人からも誇られ、憧れられるようになった。
だから、三年の時には偉い役割ではなくたって良いと思っていたのだが、クラスの皆に認められていたため、やるしかないと思った。
「一心同体」「切磋琢磨」「笑門来福」「協力無限」これ以外、学級目標を思いつけなかった。
今年のクラスは陰キャが多いことではあるが、陽キャの意見が主に強い方だ。そのため、面白そうな目標を選んでみたが・・・・・
二時間考えてもこれしか脳に浮かべなかった。
まぁ、これで十分だろう。僕的にはこういうものは一世選んだりはせんだろうけど、彼らは選ぶだろう。そうだね、次は一つに絞るのか。選びにくいな。
そういえば、彼らの立ち場になったとしてみれば、「協力無限」は漢字をあんま読めん奴でも読めて、目を通しただけで意味がすぐにわかるだろうな。これにするか。
意味も読みも簡単ですし、皆にしっかりきて、投票がたくさん入るだろう。
僕はなんて天才だ!まじで賢い。
二時間掛けて考えていたけど、それも意味ありだ。
「兄さん、起きてる?学校から帰てきた時から部屋に閉じこもっているから様子を見にきたけど」
縞模様のした長袖と長ズボンの寝服で、食器が三つ乗ったお盆を運びながら部屋の中まで入てきたのは妹の姫乃。別の呼び方では、姫。僕だけが彼女をそう呼んでいる。
兄妹同士でのあだ名と言っても良いことだ。なぜなら、「兄さん」と、僕を呼ぶのは姫以外はいない。他の兄妹達もそのような呼び方をするだろうけど、僕を兄さんと呼ぶのは姫だけ。
まーちゃん(弟の数助のあだ名。5歳の時に自分から、抹茶と似たような名が欲しくって「まーちゃん」と呼ぶようにと語った。)は僕のことを「数兄」と呼んでいることですし、「兄さん」と呼んでいるのは姫だけだ。時には彼女も僕のことを「数兄」と呼んでくるが。
だから、「数兄」の場合でも姫とまーちゃんしか僕をそう呼ばない。
他からは呼ばれたくないあだ名、この子達だけが呼んでいい。
他人からの呼ばれ方だけなのに、こんな細いこだわりがあるなんて面白いものだ。
「夜食が出来上がった時に呼んでくるように頼まれたけど、兄さんが寝てるところを邪魔したくなかった。ごめん。それでね、帰てきてから五時間もたって、ちょっとは休めたかなと思って夜食を持ってきたけど、食欲ある?」
姫は話す度に、お盆を手に持ちながらちょっとずつと近づいてくる。
「食べる?」と、勉強机に背を向けている椅子に腰を掛けている僕の顔をのぞくために、お盆と共に姫は少ししゃがみ込んだ。
姫を返事するように笑顔をつくり、彼女の手からお盆を優しく取り出す。
それを机に置き、姫に向かって「ありがとう」と、次に感謝を声に出し、彼女の髪を崩すように撫でてあげる。
姫の頭から手を離すと一瞬だけ、姫が僕の制服に目を通してから、後ろにある机の方に視線を向けたと感じる。その様子も、興味深い猫のように目を見開いていた。
どうした?
僕が食べるのを待っているのか?今日の食事を作ったのは母さんではなく、姫だったりして?だから、僕の感想を聞きたいとか?いや、姫はお盆の方を見ていない。なんだろう?何を見ているんだ?
目だけを動かして、姫の視線を追って勉強机の上にあるものを確認する。
姫が持ってきた食器の乗ったお盆と、さっきまで学級目標を選ぶためにまとめていた紙しかない。
てことは、僕がやっていたことを知りたいのかな?おそらくそうだ。
姫の気持ちは読み取りやすい。何年も飼っている犬のように。
彼女が扉を開こうと手を伸ばしたその時、「学級目標」とたった一言を声に出す。それだけで、姫は手を止めた。
やはり、僕のやっていたことを知りたがっていたのか。
そうだね、彼女の話によれば、自分から僕は寝ていると判断していたみたいだし、それが違うことに気づいて何が僕を部屋に閉じ込められるくらいに夢中にさせていたのかが知りたがったのか。
「気になるでしょ?はい、これ」
最終的に迷っていた五個と、結局選んだものに丸が書かれている、まとまった紙を姫に差し出す。彼女はそれを取り出して読み始めた。
読み終わったみたいなところ、僕の部屋の隅に置いてある百センチ程の椅子を持って、僕が今座っている物の横まで置いて彼女は腰を掛けた。
その椅子は小学校以来使っていない。けど、スペースを取らせてでも捨てないこだわりをする。
時々気分転換で座るからとか、物置台にしているとか、そのような理由ではなく、姫やまーちゃんが座るために置いている。
椅子は子供用のため、姫の身長には小さいけど、まーちゃんにはピッタリ合っている大きさだ。
姫には小さいのに何故そこまでして椅子を使うかと、ある時彼女に説いてみた。その答えは、『思い出』という、一言だった。
中学一年生の技術、課題は『家庭であると便利な木類の物を作ろう!』であった。そして僕の選択は、小学校五年生の妹のために椅子を作ること。訳して、子供用の椅子を作る。
授業回数は総量で八回。最初の授業ではもう、だいたいのアイディアが脳の中に固まっていた。
その一時間だけで下書きを描き終えて、二、三、四回目にはもう作る社業に入いていた。約百センチの高さで、皆と同じ量を使えば何かが足りなくなってしまう。
それが嫌で、先生と相談してまた何枚かのセットを注文した。
合計は確か、4000円ぐらいだった気がする。クラスで一番大きい物を作ったのは僕だった。
五回目にはだいたい終わった。
それ以降はデザイン社業に入った。全ての面を白で塗ってから、背を掛ける椅子の笠木、背板、背貫を水色にした。座には白のままか、背面の様に水色に塗るのかに迷ったが、結局はゴールデン猫やゴールデンへティーバーの毛の様にオレンジ色と塗った。それだけだと寂しいと思った。だから七と最後の授業の八回目には、何かを足すか足さないかと悩んで悩んで、姫が好きな花であるチューリップを座部分に描いた。
家へ持って帰る日になった時、頑張って作った椅子を家に向かう時に壊すのが怖かったから、その日だけ自転車で行かず徒歩で学校へ行き、家へと帰った。
近くを通った人達は可怪しく思ったかもしれなかったが、それでも僕は椅子を両手で持ちながら帰った。
姫は美術部だからだいたい六時に家へ帰てくる。僕は陸上部だけども、その日も今までに何回も起こったように、神が僕に手を貸してくれた。そのため、四時に学校を出ることができたのだ。
椅子を姫の部屋に置いとくか、彼女が家に着いた時に手渡すかと迷った。
数分深く考えた結果、姫の部屋に置いとくことにした。椅子を持ちながら姫の部屋に入り込む。
ベッド上、下や床にいろんな服が散らかしてある。ドア近くの勉強机にはカップラーメンの食べかけやスナックのゴミも多く置いてある。窓近くの本棚の本は適当やはみだしている本などがあった。
なんだこれ?こんなに汚い部屋だったけ?姫のとは思えない。
ほうきを右にチリトリを左手に持ちながら姫の部屋を掃除する。
掃除をしている間、一時間がたったと思っていたけど、携帯電話が現していた時間は17:54。掃除を始めてから六分しかたっていなかった。でも文句は言わない。こんなに綺麗に、可愛く部屋を仕上げられたからな。
「ただいまぁー」
玄関から姫の明るい声が響いてきた。自室で宿題をやっていたが、彼女の声を聞いた瞬間に手を止めて玄関の方まで向かう。
姫はあやしながらも一緒に彼女の部屋まで入った瞬間、姫は短時間立ち竦んだように見えた。
「キャー!なんて可愛い」
部屋のド真ん中に僕が作った椅子を置いていた方まで姫は向かった。
それから姫はその椅子を使うようになった。というわけで、この椅子は多くな思い出を持っている。
まーちゃんが三歳になった時、姫はまーちゃんに椅子を貸し、彼は気に入ったみたいでその椅子に座って寝ていたぐらいだった。
まーちゃんと姫の椅子だと言える物だから、まーちゃんを現すようにたんぽぽを座に足した。
姫は机上にバラされている何枚かの下書きにした紙を一つ一つの文字に目をそっていくのが見えた。その妹を見つめるための確度と高さの差がいつも面白くって、今回もクスクスと笑ってしまう。
「どうした?」
読んでいたと思う紙を持ちながら、机上に表面を触れさせたままで姫は首を傾げた。
ごめん姫。自分でも良くわからないけど面白いの。そんなに気にしなくていいぞ。と、言いながらも、彼女が質問した後、更に爆笑し始めた。
兄妹同士という間、冗談を言い合いながらや話しながら時間を過ごした。
毎週に一度、二人だけの時間を過ごしている。はずだったが、僕が二年生、三年生になった時以来からは結構時間が縮まった。
僕達は後少しで高校生のため、すごく忙しくなった。更に、姫は今年で始めて中学生になったからすごく緊張と心配を感じていると思う。けど、僕達が揃えば、二人きり、それか三人(まーちゃんと共に)であれば心配も悲しみも忘れられる。