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Homin
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なむたろー。
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以前書いた、短編4にある『手に入らないもの』の続きのつもりでしたが、微妙に設定変わってる……。
パラレルです。
ダンス講師をしている🩷くんと、ヒモの💚ちゃんのお話。気になる人は短編4読んでみてね。
「雨の日ってヤダなあ」
阿部ちゃんが窓のサッシに腰掛けて、曇天の空を見上げている。その物憂げな表情も綺麗で、阿部ちゃんに片想い中の俺は、気づかれないようにそっと息を呑んだ。
阿部ちゃんが我が家に転がり込んできてから9ヶ月が経とうとしている。
阿部ちゃんは相変わらず働くこともせず、家事にもこれといって協力的なわけでもなく、それでいて一緒にいることが幻かと思うほどに生活感がなかった。
阿部ちゃんは、時おり、ふらっと出かけては、帰って来ない日もある。
頼りなげで、それでいて俺の言うことはひとつも聞いてくれなくて、「約束事」は一切受け付けてくれない。そんな阿部ちゃんでも大好きな俺は、何も文句が言えずに、阿部ちゃんとの時間を最も大切にしていた。
たとえば。
仕事休みの外出をやめた。
友達付き合いも絶った。
外食もまったくしなくなった。
阿部ちゃんは、へらり、と笑って言う。
「佐久間は佐久間の好きにしてくれていいよ。俺、自分のことは自分でできるし」
そうは言っても仕事に行く朝には、テーブルの上に千円札を3枚、置いておく。いない間の小遣い代わりに。
帰ってくるといつもそれはきれいになくなっていた。
ーーーー
「雨は雨でいいじゃない。家にのんびりいて、にゃんこと阿部ちゃんと戯れてるのも悪くない」
「……へぇ?」
「阿部ちゃんは、違うの」
阿部ちゃんはじっと俺を見つめて、くすり、と花のように笑う。
「俺のすごくすごく好きな人の話、聞く?」
「え?……あ、うん、聞きたい」
心臓が跳ねた。そしてすぐに別の種類の痛みが胸を襲ってくる。
(阿部ちゃんの好きな人…阿部ちゃんの)
初めて好きな人、と言い切る少し切なそうな顔を苦しく眺める。
「俺のすごーく好きな人はね、低気圧に弱いんだ」
「……うん」
「だから、その子のために天気をチェックするのが俺の日課になっちゃって」
「そうなんだ」
「うん」
「天気をその子に教えてあげるの?」
「教えない」
「……?」
「教えてあげても天気は変わらないし。ただ、そういう日は、いつも会いに行く」
「それは…今も?」
声が震えた。
時々ある、あてどない外出。それは俺の知らない誰かとの約束だったのだろうか。
「今は……会えない」
「どうして?」
「どうしてだろう。俺の中で、片付かないことがあるから…かな」
「そう…」
「それに今は、佐久間といたい」
最後の言葉が胸を衝いて、不覚にも俺は泣きそうになってしまった。 阿部ちゃんが少し目を見開き、サッシの前に座っていた俺を優しく抱き寄せた。それはまるで大地のような温かさだった。天気が悪いのに阿部ちゃんの着ているシャツからはほんのり陽の光の残り香がする。
「阿部ちゃん、阿部ちゃんは…ここにいつまでもいてくれていいから」
「………」
「あべちゃ…」
「佐久間。いい?」
陰った黒目が俺を見下ろす。俺は黙って頷いた。
ーーーー
「んっ…!!はぁ…っ」
阿部ちゃんの質量が俺の中を満たす。苦しさに思わず喘ぐが、阿部ちゃんは関係なく奥へ向かって腰を進めた。
「佐久間。可愛いね」
「阿部ちゃん…キスして…んっ…ふっ」
キスをねだれば、いつも唇ではなくおでこや頬に落ちてくる。今日はその両方が優しく唇に触れた。それでも腰のグラインドは止まらないまま、阿部ちゃんの先端が時々いいところに掠めるから、俺は声を我慢することができなかった。
「ああ!!いやぁ…うぅん!あっ…」
「さく…口閉じて。舌噛む。もっと激しくしたい」
「んっ!!」
下唇を必死に噛むと、予告通り阿部ちゃんの衝動が強くなった。準備のために塗り込めたローションとゴムを嫌う阿部ちゃんの先走りで結合部が容赦なくぴちゃぴちゃと音を立てる。阿部ちゃんは俺の片脚を持ち上げて肩に担ぐようにしてさらに深く繋がった。
(その閉じられた瞳は、ちゃんと俺を見てる?)
ふと、そんなことが気になる。
行為中、阿部ちゃんはいつも目を開けていただろうか。
俺には阿部ちゃんだけで、阿部ちゃんしかいないのに。
この肉体の繋がり。同じ空気を同じ場所で吸っているという頼りない事実以外に、俺たちはちゃんと心でも繋がっているのだろうか。
そんな怖いことをぼんやりとした頭で自分に問いかけ始めるのは不毛だった。
いつもそうしているように、目の前の快楽に溺れよう。
そして俺の身体を捧げて、精一杯の奉仕をしよう。
それが嘘偽りない俺からの阿部ちゃんへの愛だ。
ーーーー
ベランダで、並んで煙草を吸う。
阿部ちゃんはテーブルに置き捨てられた皺しわになった紙煙草を一本取り出し、咥えると、先に吸っていた俺から火を奪い取り、にっこりと笑った。
「煙草はあんまりよくないよ、佐久間。お前、ダンサーなのに」
「阿部ちゃんの所為だよ」
「……確かに笑」
ー悪びれない横顔はやっぱり綺麗だ。
俺を抱くときは、あんなに激しいのに、普段の彼はとてもマイルドで優しかった。そういえば阿部ちゃんが声を荒げるのを俺は聞いたことがない。
阿部ちゃんが、ぽつり、と呟いた。
「佐久間。俺、そろそろ出て行こうか」
「!!やだ!!」
自分でも驚くくらい力強い声が出て、阿部ちゃんの口へ持っていく煙草が止まった。
「やだよ。もう少し…」
「……ん。わかった。もう少し、いる」
こうして、切れそうな糸を俺はいつも繋ぎ止めてしまうのだ。 多分、阿部ちゃんが想定するよりずっと長く、俺は阿部ちゃんを足止めしている。
それは、悲しくも、幸せな日々だった。
コメント
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💙ぴを匂わせてくるあたりが憎いよね💞✨ 書かれてないところの憶測が広がる〜!!すごい……
まきぴよさん、パラレル上手いよね。 せつなくて、ボワ〜と得体の知れない空気感(あ〜上手く現せない💦)好きだわ💖

💚🩷じゃない…けど💚🩷🥺 どんな形でも、それぞれに幸せな未来がきますか?