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「…ここはもう時間の問題だな。退去する。」
レジスタンスβの連隊長、JUNは言った。
「あぁ…じいさん達は抜け目がないからな。さっきの突撃でほとんどの仲間はやられただろう。」
それに応えるレジスタンスαの連隊長、同志タツヤ。
「クソッ!こんな事ならもっと人生楽しんでおくんだったな!」
「諦めるなよ、タツヤ。まだゲームオーバーってわけじゃない。
…じきにあの人が帰ってくるんだろ? その日までメッセージを送り続けるんだ。
まだ取り返しがつくあの時代へ・・・」
(通信開始)
[sideA]
議長国代表:「…以上!ここに新・戦時国際法を定めます。」
(大きな拍 手)
少し前の…そう、75年前のこと、
西暦2045年(令和27年)、世界G13 (主要13ヶ国首脳会議)のリーダー達の満場一致により新しい世界の秩序が生まれた。
「C.T.B法」
その発足のきっかけは21世紀初頭、
超印霖(チョウ・インリン)爆殺事件に起因した
中国解放軍の台湾への侵攻からだった。
米欧日豪連合国が台湾友軍として参戦した
第三次世界大戦の開戦からである。
大戦は3年に渡った。
核は最後まで使用されなかったが、
最初の1年間のA Iドローンによる世界都市への正確無比な絨毯爆撃とそれへの報復で、また戦争中期に激しさを極めた双方の肉弾戦が五大陸中で繰り広げられ、世界規模の恐ろしい人口激減が始まった。
やがて闘いは決着も善悪も付かぬまま人類は自滅の道を全力疾走した。
…そして休戦協定が締結された年の世界総人口は20億人を切っていた。
それは大戦前の1/4以下であった。
ーこれはまずい。
先史から続く人類の慣習を見直さなくてはならない。
皆そう思った。しかし結局のところ、民族闘争の様に戦争無くしては解決できない難しい問題もあるのだ。
ーそして先に述べた、戦後初のG13(主要13ヶ国首脳会議)が開かれた際、遂に折衷的軍事協定というものが発案された。
それが、
「C.T.B法」
“from the Cradle To the Battleyard”
“ゆりかごから戦場まで法案“
であった。
戦争という名目の、単に若者を失うだけの人類の愚策を止め、65歳以上の高齢者を戦場に送り込む仕組みにシフトさせる法案である。
第一には若年層と世界総人口の短期間での回復、
第二に急激な社会変化と新しい技術にもスピーディに順応できる社会作り、
そして暗には超高齢化社会における年金受給者の削減の意図が含まれていた。
初見では無謀で無茶な法案に思えたが、既に世界は平時とは呼べない、待った無しの状況であり、人類の未来を本気で考え抜いた末の結論でもあった。
正にこれは自分達の民族、否、人類の根絶を防ぐ苦肉の策なのだっだ。
可決直後はもちろん各国の高齢の政治家とその支持者層からはきわめて強い反発が起きたが、それに対しては世界中の若きトリリオネア(超富裕者)たちが団結し、その強大な財政力と根回し力をもって制圧した。
もちろんルールは絶対であるべきで、
それにはスケープゴート(生贄)が必要だ。
そこで彼等は特殊情報部隊を使って
世界の代表的無法国”North Korea“を
「C.T.B法を軽視し、20代の戦士を育成している。」
とのデマゴーグを流した。
ロシアと中国そしてアメリカは激怒し、一晩に数千発の弾道ミサイルを“ならず者国家”に向けて打ち込んだ。集中攻撃を浴びたPyongyangは地図から消え、kim一族は滅亡した。
この強烈なメッセージによりC.T.B法は僅かな期間で完全な世界の領土問題のニューノーマルになったのだ。
(通信終了まであと1分)
[sideB]
…一体なぜ危険を犯してこんな書記を送るかって?
…実は世界が…人類が消滅するかも知れないんだ。
すでに今の私達では90%の人類の滅亡は避けられない。
…君達が真実を知り、行動する事でのみ未来は変わり、人類は救われる。
…なぜなら今の状況は、なんの危機感も持たない無関心な21世紀の人類の遺産の上に成り立っているから。
ああ…早くしないと。
本当に僕たちだけでは駄目なんだ。
でもまずしっかりと…こうなった経緯を知って欲しい。
(通信終了)
-log-
2136年5月22日
GPS特定できず。