コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
その言葉にイヤな汗をかく。 私の実家を知っている人はいないハズ。 でも聞いたことのある声。 一回深呼吸をしてから、ゆっくり振り返る。 何も知らない顔をして。
「何ですか?それ?」
苦笑いで言いながら相手を見る。
(えっ!?結城先生!!親しみを込めたのかな?)
「結城先生、さようなら。」
ミラは爽やかにその場をさろうした。
が、失敗した。
「何シレーっと帰ろうとしてるの?」
結城がニコニコしながら腕を掴んだ。
「お嬢様だろ?ケイゴの。知ってるよ。 あいつのヒミツも、君のご実家の事情も。」
ミラは身構える。
「ケイゴ、ここの卒業生だろ。あいつが高一のとき、 俺が副担だったんだ。俺は新卒だったから年も近くて、 良く構ってやったよ。」
結城は懐かしそうに笑う。
(いくら仲が良かったにしても、 ウチの家業がばれるヘマをケイゴがするとは思えない。)
「あんなことが起きるなんてな。」
「何かあったんですか?」
「あれだよ。ス⚫︎ーカー事件。」
(えっ!?何それ!!)
「マジで知らないの⁉︎」
「…知りません。」
「あー。あいつ昔からミラちゃんに対しては カッコつけだったからなぁ。」
結城は妙に納得した顔で話す。
「高一の半ばくらいだったかな。 ケイゴは入学当初からモテモテでさぁ、 クラスの女子からも大人気で。 でもその中にヤバい女がいたんだ。 最初は物が無くなったり、 壊されたりするだけだった。 でもだんだんエスカレートして、 あとをつけられるようになって。 撒くように注意してたみたいだけど、 何回かされるうちに家がバレて。 その家に出入るする人が強面だったから噂が立ったんだ。」
ミラは何かを考えるような表情で聞いている。
「ねぇ、ケイゴが大怪我して帰ってきた日無かった?」
「……いえ、記憶にありません。」
「そう。…そいつに切り付けられたんだよ。」
ミラの目が見開かれる。
「本当に知らないのか。 まぁミラちゃんは小学 生だったから、 心配かけたく無かったのかもね。 包丁で 刺 されたんだ。」
(何かドラマの話みたい。現実味が無い。)
「まぁ犯人は女であいつは男だからな。 傷口も浅くて、力の差でねじ伏せて捕まえたんだけどね。 あんな傷を負って犯人逮捕とか、どんだけだよー。」
そんなことを呟きながら、結城は続ける。
「その事件でケイゴの家のことが調査されて 家業が分かったんだ。」
(ミラはマズいというような顔を一瞬する。)
「でも、あいつの人間性と家業は関係無いからな。 まぁ、何が言いたいかと言うと、俺は味方だよと。」
ミラは少しびっくりした様子だ。
「君のじゃなく、ケイゴのね。」
結城も満足そうに笑っている。
「じゃ、また明日な!」
「はい。さようなら。」