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引き続きレイミ=アーキハクトです。私の証明を無事に済ませることは出来ました。また私の言葉としてお姉さまの健在も伝えています。その上でお姉さまからの依頼を果たさねばなりません。

公爵家にも利はありますが、果たして協力してくれるか否かは、これからの話で決まります。

「それで、本題は?」

「今現在私達はある貴族に目を付けられています。撃退することは簡単なのですが、その後を考えると少しばかり厄介なことになりまして」

「話しぶりから察するに、うちの派閥の貴族ね?」

「はい、ガズウット男爵です」

「ガズウット男爵……」

カナリア様は眉を潜めました。本来ならばポーカーフェイスが最適なのでしょうが、私が身内であることから肩の力を抜いている様子。此方としても腹芸は苦手なので助かります。

「現在お姉さまはシェルドハーフェンである組織を立ち上げています。その名は『暁』」

「『暁』……最近名前を聞くわね。まさか、そこの首領がシャーリィなのかしら?傀儡ではなく?」

「はい、お姉さま自身が一から立ち上げて今に至ります」

「母親が規格外なら娘も規格外ね。となれば、帝都で有名な『黄昏』産の農作物もシャーリィの手によるもの」

暁と黄昏の町の繋がりはご存知の様子。ならば話が早い。

「はい、その通りです。お姉さまは真相を知り復讐を果たすために着々と力を蓄えています。これまでも様々な強敵を相手にして来ましたが、全て退けました」

「そこでガズウット男爵が関係してくるのね?」

「はい、ガズウット男爵は『ターラン商会』を通じて『黄昏』の農作物を独占。転売することで不当な利益を得ていました。しかしながら、『暁』と『ターラン商会』が決別すると物が手に入らなくなります。そこで傘下の組織を動かして抗争を誘発しましたが、私達が勝利しました」

「当てが外れたわけね。続けて」

「はい。痺れを切らせたガズウット男爵は、スタンピードからの復興と支援を名目に領邦軍を動員、『黄昏』の占拠を目論んでいます」

私が話を進めると、カナリア様は苦々しい表情を浮かべました。

「領邦軍を動かした?そんな話は聞いていないわよ。しかも黄昏はシェルドハーフェンの一部。あの辺りは南部閥。ガウェイン辺境伯の土地じゃないっ!」

貴族は私兵である領邦軍を自由に動かせますが、派閥の長に届け出るのが一般的です。場合によっては貴族同士の利害関係にも影響を与える可能性がありますから、それは当たり前の事です。

そしてガズウット男爵はレンゲン公爵家に断りを入れていない。独断で他の派閥の土地に派兵したようなものです。

シェルドハーフェンならば何処も関与しないと考えたのでしょうが、貴族は面子が大事。シェルドハーフェン周辺を治めているのは南部罰に属するガウェイン辺境伯。

そこへ支援や保護を名目に派兵するとなれば、当然問題となります。

「そもそも、帝都での転売も聞いていないわ。うちの方針として状況が落ち着くまで帝都方面に手を出すなと通達したのよ」

「此方が証拠になります。お納めください」

ラメルさん達が集めた不正の数々の証拠を記した書類の束をお渡しします。ラメルさん曰く、集めるのは簡単だったとの事。

『ターラン商会』帝都支部長を抱え込み、領邦軍や自分の身分を利用して好き勝手やっている小悪党ですね。証拠隠滅も疎かだとか。

「使わせて貰うわ。それで?私に何をして欲しいの?今すぐガズウット男爵に釘を刺しましょうか?」

「それも魅力的ですが……少しお待ちを」

私は水晶を取り出しました。交渉は私が進めても問題ありませんが、やはりお姉さまのお力を借りたく思いました。

「それは?綺麗な水晶ね」

「秘密の道具です。魔法を使えないと利用できませんよ?」

「それは残念ね、何を見せてくれるのかしら?」

「お待ちを」

私は水晶に魔力を込めて、お姉さまを思い浮かべます。するとすぐに反応がありました。水晶にお姉さまが映し出されます。うん、いつものように満面の笑みですね。

『レイミ、ごきげんよう』

「お姉さま、ごきげんよう。無事にカナリア様とお話をすることが出来ています」

『それは何よりです。流石レイミですね』

カナリア様が唖然としていますね。

「まさか……シャーリィ……貴女なの……?」

お姉さまがカナリア様の方を向きました。あっ、無表情になった。

『ご無沙汰しております、カナリア様。いや、カナリアお姉様とお呼びするべきでしょうか?』

「驚いた……これも魔法なの?」

「はい、お姉さまは『黄昏』にいらっしゃいます。お姉さま、少しお力を借りたく」

私は簡潔に今の話をお姉さまに伝えました。その間カナリア様はその様な道具だと理解されたようで、落ち着いてお話をされています。

ううむ、未知への適応力が高いのは血筋なのでしょうか。

『ふむ、ガズウット男爵へ釘を刺していただけますか』

「ええ、領邦軍を退かせるように警告するわ。それが望みじゃないの?」

『カナリアお姉様、警告だけで満足されるのですか?』

「……何のこと?」

お姉さまの言葉にカナリア様も眉を潜めました。確かに警告していただければガズウット男爵は手を引くでしょう。が、彼はお姉さまと敵対してしまった。

『ハッキリ言います。男爵は私の大切なものに手を出しました。つまり、私の敵です。であるならば、生かしておく理由がありません』

「始末すると?」

『カナリアお姉様、彼はお姉様を蔑ろにしたのです。レンゲン公爵家の顔に泥を塗ったようなものです。許せますか?』

「許せないわ。貴女達の調べだと、私が女だから侮ってるって噂もあるみたいね?益々許せないわ」

『お変わり無いようで安心しました。今は静観して、ガズウット男爵の領邦軍が私達に攻撃するのを待ってください』

「大丈夫なの?貴女達を見殺しにしたなんて事になったら、ヴィーラお姉様に顔向け出来ないわ」

『ご安心を、領邦軍など敵ではありませんレイミ、東方ではどの様な言葉を使うのでしょうか?』

「鎧袖一触です」

『それです。私達には勝利の確信があります。そうなれば、ガズウット男爵は地領への侵攻と軍事行動、二つの罪状がプラスされます』

「それだけあれば、爵位を剥奪するのも簡単ね」

『はい、そうすればガズウット男爵はただの人になります。後はお任せを』

「貴女達は貴族の面倒事を避けられて、私は派閥に巣食う害虫を駆除できる。そう言うことね」

『その上で、お姉様には黄昏の庇護をお願いしたいのです』

「なんですって?」

お姉さまの口から飛び出した言葉にカナリア様は驚きを露にします。

本当の目的はレンゲン公爵家の後ろ楯を得ることですからね。

『既にガウェイン辺境伯とは話が付いています。今後もガズウット男爵のような貴族が現れる可能性は高い。なら、信頼できる方を後ろ楯にするのはおかしな話では無いでしょう?』

「どうやって辺境伯と話を付けたのか気になるけれど、何を考えているのかしら?貴女達の後ろ楯になることに不満は無いけれど、飛び地の統治は難しいのよ?名目だけと言っても代官を置く必要があるし、ガズウット男爵の暴走後のどさくさに紛れて、とか難癖を付けられるわ」

『はい、後ろ楯については後々で構いません。今は後ろ楯になってくださる意思があると確認したかっただけですから』

ふむ、お姉さまのお考えが読めない。いや、今に始まったことではありませんが。

暗黒街のお嬢様~全てを失った伯爵令嬢は復讐を果たすため裏社会で最強の組織を作り上げる~

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