テラーノベル
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ぶつぶつと文句を言う竜牙さんの大きな手を、俺は逃がさないようにぎゅっと強く握った。
「大丈夫だって、怖くないよ」
「……」
「俺、ちゃんと全部見たいの。竜牙さんが俺を愛してくれてる時の、その全部を。……それでも、やだ?」
上目遣いで、最大級のわがままをぶつけてみる。
竜牙さんはしばらくの間、葛藤するように黙り込んでいたけれど。
たぶん、まだ怖いんだと思う。
自分のコンプレックスが白日の下に晒されることが。
でも。
彼は少しして、長く、深い溜息を吐き出した。
「…萎えたって、途中でやめないよな…?」
「やめないよ」
「絶対に、引かない?」
「引かないって。神に誓うし」
「……ほんとか?後悔しないか?」
「もう、しつこい!」
俺がわざと子供っぽく頬を膨らませると
竜牙さんはようやく観念したみたいに、ふっと柔らかく笑った。
その笑顔を見て、胸の奥がじわーっと熱いもので満たされていく。
好き。本当、大好き。
俺はゆっくりと、竜牙さんの手を引いて立ち上がった。
寝室へと向かう廊下。
繋いだ竜牙さんの手のひらが、少しだけ汗ばんでいることに気づく。
一回りも体格が大きくて
喧嘩も強そうな大人の男が、俺の前でだけ、こんなに初々しく緊張している。
それがもう愛おしくて、たまらなくて。
俺は繋いだ手を、より力強く握り直した。
ベッドの縁に、二人並んで座る。
竜牙さんはまだ少し落ち着かなさそうに、そわそわと視線を動かしていた。
俺はそんな竜牙さんの額に、慈しむように軽くキスを落とした。
「……そんなに緊張しなくていいよ。竜牙さん」
「してない」
「嘘。耳、また真っ赤になってる」
俺が笑いながら指摘すると、竜牙さんはついに観念したように大きく溜息を吐いた。
それから。
オレンジ色の暖色の電気が、部屋を明るく照らしたまま────
竜牙さんはゆっくりと、逃げない覚悟を決めるように、俺を真っ直ぐに見つめ返した。
その、剥き出しの瞳を見た瞬間
俺は胸がいっぱいになって言葉を失った。
ああ、この人。
あんなに怖くて、あんなに隠したかったはずなのに。
俺に嫌われるのが何よりも恐ろしかったはずなのに。
それでも、俺が望むからって
こうして自分を晒してくれようとしている。
俺のために、勇気を出して頑張ってくれてるんだ。
だったら、俺もちゃんと、その勇気に応えなきゃ。
「……竜牙さん」
「ん?」
「竜牙さん、世界で一番、かっこいいよ」
「……っ、え…」
「マジで。その辺のモデルとか俳優より、今の竜牙さんが一番かっこいい。俺の自慢の彼氏」
照れ隠しみたいに眉を寄せて
「かっこいいって……かっこよくて、いいのか」
と呻く竜牙さんに、俺は笑いながら思い切り抱きついた。
「だから、もっと自信持ってよ。俺、竜牙さんのことめちゃくちゃ好きなんだからさ」
カウンター越しに見つめていたあの背中も、不器用な優しさも、そして今日見せてくれた脆い素顔も。
全部、俺が一生かけて愛し抜いてやる。
俺がそう宣言するように力を込めて抱きつくと
竜牙さんはようやく、深く深く安心したような吐息を漏らし
俺を包み込むように、その大きな腕を力強く回してくれた。
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#ざまぁ