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***



「あれ、まだ終わってない?」


パソコンの画面に集中していた真衣香の足もとにひざ掛けが落ちた。

それを拾おうとして、視界に入った手。

そして、聞こえた声。


誰なのかを認識した途端、真衣香の心が、ぱぁっと明るくなった。


「坪井くん!」


恐らく満面の笑みを浮かべていたのだろう。 真衣香の顔をパチパチと数度瞬きして眺める。

そして、拾ってくれた膝掛けを真衣香の太ももに置いて。


ニコッと、整った笑顔を見せてくれた。


「俺の方が早く終わったねー」


画面の時計を見る。

もう、18時になっていた。


「わ、ごめんね、あれから仕事が増えて」

「いーよ。 待っててもいい?」


言いながら坪井は真衣香の隣、八木の席に座る。

重そうなカバンがゴトン、とデスクに置かれた。


「パソコン持って帰ってるの?」

「俺? うん、明日は直行だから」

「そっかぁ、重そう。 大変だね」


黒く大きなショルダーバッグをまじまじ見ていると、坪井が「あれ?」と小さく疑問の声を出した。


「んー? ちょっと待って、それうちのデータじゃん。 何してるの、立花」


ガラガラと座ったままイスと共に身体が密着される。 腕に、ちょうどネクタイがあたる。


ネイビーの生地にグレーのストライプ。

そういえば、ネクタイをジッと眺めたのなんか初めてだ。

今日着ているチャコールのスーツによく似合ってるな、カッコいいな。 真衣香の頭の中は、坪井を意識し始めてからすっかりと煩悩まみれになってしまったようで。


そんなのとばかりを考えてしまう。

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