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テラーノベルの小説コンテスト 第4回テノコン 2025年1月10日〜3月31日まで
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村の奥の温泉というのが幸いしているが、温泉に浸かっている時から邪悪な気配を感じていた。その気配に気づいているのは、おれとフィーサだけだ。


フィーサが初めてやる気を出し、自ら前に出てくれることになった。神剣である彼女はあらゆる魔法を無効にしてカウンターを発することが出来る。


「フィーサ、大丈夫なんですかね~?」

「ウニャ。フィーサ、強い! シーニャ、前に出る時アックの前」

「わ、わたしもアック様の前に立って、盾になりますよ~!」

「ウニャ! シーニャの方が強いのだ。強いったら、強いのだ!!」


――全く、結局二人の仲は悪いままか。温泉の効果を得られたことで彼女たちはそれぞれで力を高めた。そのせいでルティとシーニャは以前のような犬猿の仲に戻ってしまった。計り知れない強さを得られたようだが、その強さはまだ何とも言えない。


「イスティさま。炎耐性があるのは、イスティさまとドワーフ小娘だけだよね?」

「そうだな。シーニャだけは熱に耐えられないな」

「……ウ、ウニャ」

「あ、いや、シーニャが悪いんじゃないんだぞ? よ、よしよし……」

「フニャゥ」


耐性に関しては個人差があるということで、すぐにシーニャの頭を撫でた。気を取り直し、フィーサを先頭に町への一本道を進むことに。


町の全景は不明。だが、町というよりは都市のような奥行きを感じる。問題はそれでは無く、町の手前に立ち塞がっている竜の存在だ。


「イスティさま! 邪悪な存在はすでに気付いているよ。下がって!!」

「――む!?」

「な、何だかとっても危ない風がくる気がしますよ!? どうすれば~どうすれば!?」


村の人は町に向かった冒険者が戻って来ないと言っていたが、全て奴にやられたのでは?


それくらい危険な気配を感じる。ルティも何かに気付いているようだが、恐らくその攻撃は炎のブレス。かなりの勢いで息を吸い込んでいるようで、辺りには猛烈な風が吹き荒れている。


「グォアァッ!!」


どうやらブレス攻撃の準備が整ったようだ。炎耐性があるおれとルティとでシーニャの前に立ち、攻撃に備える。さらにフィーサがおれたちの前に立ち、両腕をまるで鋼鉄の盾のように変化させた。


「炎のブレスだからイスティさまには不向きなの! わたしに任せて」

「魔法じゃないからか?」

「うん! 全て弾いてから反撃に移るけど、切り刻んでいいよね?」

「思いきりやっていいぞ!」

「りょ~かい!!」


神族国家で印を授けられた時、おれはすでに魔法に限定しない炎属性を極めている。耐性も含まれているが、フィーサにはそのことを後で教えてやらねばならない。


「はえぇぇ~、フィーサがすごいですよ!」

「――だな。人化であれだけの強さを示すなんて、しかも見たことが無い動きだ」

「見えないのだ、見えないのだ~! フィーサが何なのだ!?」

「フィーサがとんでもなく強いぞ。腕を自在に変形させて炎のブレスを弾きまくりだ!」


フィーサの強さを知ればシーニャも驚いてしまうかもしれないな。


「シーニャ、すでに知っているのだ。フィーサはアックに隠していたのだ。ウニャ」


そうかと思えばすでに知っていたらしい。


「そうだったのか? なるほど。潜在スキルは相当なものだな」


フィーサが相手にしている竜はどうやら赤竜のようで、炎のブレスには自信があるようだ。しかしブレス攻撃以外の動きは実に緩慢なもの。その証拠にフィーサの刻み攻撃に対応出来ていない。


「ゴァァッ……」


そろそろとどめを刺すようだな。あの程度の竜にやられるようでは、確かに町に入ることも出来ずに村にも戻れない。


「イスティさま~! 全て吸収していい~?」

「――何だって?」

Sランクパーティーから追放されたけど、ガチャ【レア確定】スキルが覚醒したので 、好き勝手に生きます!

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