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(帰郷千衣沙)「おはようございます」
(花郷千衣葉)「おはようございます」
(帰郷千衣沙)「ご飯を食べ終わったら」
(帰郷千衣沙)「病院に行きます。」
(花郷千衣葉)「ええ、そうね」
(帰郷千衣沙)「準備は大丈夫ですか?」
(花郷千衣葉)「ええ、持ち物も持ったし」
(花郷千衣葉)「行きましょう。」
(花郷千衣葉)「……」
(帰郷千衣沙)「大丈夫ですか?」
(花郷千衣葉)「大丈夫。」
(花郷千衣葉)「病院に着いたし」
(花郷千衣葉)「あなたは?」
(帰郷千衣沙)「付き添います。」
(花郷千衣葉)「そう、ありがとう」
(医者)「……これは……」
(医者)「すぐ、入院ですね」
(帰郷千衣沙)「え?」
(医者)「思ったより病が進行してしまっている。余命は残り6ヶ月です。」
(花郷千衣葉)「……分かりました。」
(医者)「今から入院の手続きをします」
(帰郷千衣沙)「……分かりました。」
(帰郷千衣沙)「……千衣葉さん」
(帰郷千衣沙)「滝沢さんに連絡した」
(花郷千衣葉)「そう、ありがとう」
(帰郷千衣沙)「……」
(花郷千衣葉)「この頃、少し、無理にしたそうね。その代償かしらね。」
(帰郷千衣沙)「このことは……」
(花郷千衣葉)「……病気のことは言わないで欲しい。貧血で少しの間だけ入院するって」
(帰郷千衣沙)「……分かりました。」
(帰郷千衣沙)「……お大事に」
(花郷千衣葉)「ええ、ありがとう」
私に生きる時間は少し減らされた。
残り時間が少ない。
あの人たちには言えないままでいる。
いつかは言わないといけない。
でも、言えない。勇気が出ない。
……
せめて願うことなら
デビューをしたあの人たちの姿を見たい。
それだけは……生きてこの目で……
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