おかしな夢を見はじめて、8日がたった。
目を覚め、天井を見てみると、またいつもの病院の天井だ。
黒岩竜一は今日で退院することになっていた。
ベッドから起き上がり窓の外を見てみると、
病院の中にある桜の木の横で木下真里がこっちを見ていた。
「あれは木下真里??おーーい」
手を振ると、木下真里は背を向け走り出した。
竜一は気になり病院を抜け出した。
木下真里を追いかけるがすぐに彼女を見失ってしまった。
「あれ…どこいったんだ?」
周りを見渡すがどこにも彼女の姿はなかった。
病院の方から先生達がやってきて、竜一は病室へ戻ることになり、これからの生活のことについて説明をうけた。
まだ頭にある包帯は外すことができないと言われ、2日に一回ぐらい交換しにきたほうがいいと告げられた。
左目はもう一生治らないみたいで、ずっと右目で生活するしかない。
「高橋れなは無事だろうか…」
白井拓馬とは一緒に脱出したが、高橋れなが脱出するところは見ていないので心配だ。
竜一は病院の公衆電話で高橋れなの家に電話することにした。
「プルルルル…ガチャ」
「もしもし」
電話の相手は高橋れなだった。無事に脱出することができたみたいで竜一は安心した。
彼女に自分も白井拓馬も無事だったことを伝えた。
高橋れなも電話越しだが安心してくれたみたいだった。
だがこの恐怖の夢はまだ終わらないことはみんなわかっている。
竜一はこの終わらない夢をどうにかして終止符を打てないか考えていた。
「なにか方法はないのだろうか…」
その頃…中野さきと村田友香は…
「ねぇ!さっきれなから電話かかってきたんだけど」
中野さきは、高橋れなから電話で本当に夢を見たことを聞いて、そのことを村田友香にも伝えてあげた。
村田友香はまったく興味を持っていなかった。
「まあ、私なら余裕でしょ」
中野さきはクールでかっこいいお姉さんのような女性だった。だが怖いのが嫌いというギャップがある。
それが更に彼女の魅力を引き出していた。
「怪物なんて怖くないね。私にかかればイチコロよ」
余裕そうな中野さきを見て、村田友香はため息を吐いた。
「あなた達2人がもし死んだら私も死ぬから」
村田友香は何事にも興味はないが、唯一大事にしていることは、高橋れなと、中野さき2人の存在だった。
村田友香にとって2人は子供の頃からの友達だった。
村田友香が何事にも興味を示さなくなったのはいつからだろうかと思い出すが、すぐには思い出せなかった。
「絶対に死んじゃだめだからね」
その頃…羽賀りょうは…
「おらぁぁぁ!!」
羽賀りょうは藍沢叶と相川はるとが死んだことに怒り満ちていた。
羽賀りょうはクラスメイトと仲が良い人はいないので夢のことや怪物のことはまったく知らなかった。
他校の不良6人ほどに囲まれ、羽賀りょう1人で喧嘩していた。以前は相川はるとと共に上の学年の不良等を倒しまくっていたが、今は羽賀りょう1人だ。
そこを狙ってくるのか他校の不良も今までの仕返しのため、羽賀りょうをよく襲うようになった。
だが、羽賀りょうの強さは別格だった。
どんなに大勢に囲まれようが、たった1人で勝ってしまうのだ。
「雑魚が何人集まろうが、俺には勝てねぇよ」
拳を握りしめ、相手の腹に一撃を与える。
「ぐぁぁっ」
他校の不良が声を上げる。だが羽賀りょうは止まらなかった。相手が死ぬまで殴り続けた。
だがそんなことをしても相川はるとと藍沢叶は戻ってこないことは羽賀りょうはわかっていた。
殴るのをやめ、雄叫びをあげた
「お前ら全員殺してやるよぉぉぉおおお!!」
倒れて気絶している他校の不良をまた更に殴り続けた。
壊れ、頭のネジが飛んだのか、他校の不良が人の姿かわからないほどに殴り続け、6人全員を殺してしまった。
「はぁ、はぁ、はぁ、はぁ、足りねぇな…」
その頃…白井拓馬は…
怪物とコミュニケーションを取ることに成功したことが嬉しくなって興奮が止まらない。
さっきまであんなに怯えていたというのに。
「やはりあの怪物は知能を持っている!」
あの怪物のことがもっと知りたいという欲求に、またあの夢を見たいと思い、すぐさま二度寝するが、気づくと夕方になっていた。
「夢…見れなかった…くそぉぉぉぉぉおおおお」
白井拓馬は二度寝したことにより、夜寝ることができなくなってしまった。
そして夜になり…
竜一は家に帰ってきた。
次は誰が夢の世界へ来るのか気になるが、
わかったところでどうにもならないので、寝ることにした。
「次も…みんな脱出できるといいな…」
竜一はお布団に入り、深呼吸する。
「一体…なんでこんなことになったんだろう…」
いろいろと考えるがまだ原因はわからない。
そしてゆっくりと眠りに落ちていった
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