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気づいた時にはもう遅かった。彼の仕草や表情を見るだけで、私のこの心は跳ねるばかり。
跳ねた心臓は私の気持ちを無視し、簡単に治ろうとはしてくれずにどきどきと音を立てているままだ。
そんな私の状態をつゆ知らず、いつものような可愛らしい笑顔を私に向けてくる。
ああ、胸が痛い。
「キク〜!!」
「わ、フェリシアーノくん」
可愛らしい笑顔でこちらへと走ってくる。後ろからは途中からの付き添いであろうルートさんも歩いてきていた。
彼は私の目の前に着くと、いつものように挨拶のハグをした。
「チャオチャオ!今日もかわいいね〜」
「おはようございます。」
「全く…私に言うべきセリフではないですよ?」
「キクは可愛いからいーの!」
ずきりと奥が痛くなる。彼は生粋のラテン男で、彼にとってはこれも挨拶にかわりはないんだろう。
1人で照れて悩んで、馬鹿みたいだ。
「おはよう。キク」
「ルートさん、おはようございます」
フェリシアーノくんに抱きつかれたまま、ルートさんとも挨拶をする。
挨拶をするついでに、この前の会議のことや、書類について話をした。すると、さっきまでの胸の痛みが嘘のように消え、ルートさんとの会話にするりと集中することができた。
少し前までは、フェリシアーノくんと話すことは癒しになっていたのに、いつのまにか彼とは話せなくなっていたのだ。
最近は、そんな自分を見て見ぬ振りするかのように、いつもルートさんと話してしまっている。
すると、抱きついたままだったフェリシアーノくんが抱きつくのをやめ、話している私たちの邪魔にならないように、とでも言いたいかのように他の方のところへ歩いて行った。
「…っと、珍しいな、フェリシアーノが別のやつのところに行くなんて」
「……ええ、本当に」
またずきりと胸の奥が痛くなった気がした。
とあるホテルの一室。今日の会議も終わったところで、私は1人落ち込んでいた。
「はぁ…」
まぁいつものことと言ってしまったらいつものことだ。勝手にウジウジ悩んで、それでいて彼が何かをすると勝手に胸が痛くなる。
「国、か……」
こんこんとノックの音が部屋に響く。
突然でびっくりしたが、私の部屋に来るのは限られた数名くらいなため、すぐに返事をした。
「はーい、どうされました?」
「キク、部屋入ってもいい?」
前言撤回。彼が来るとは思わなかった。
正直、今彼と対面で話すのは気まずいが、入れるしかない。
ぐるぐると回らない頭で考えながら、必死に声を震えさせないように言った。
「あ、…どうぞ」
がちゃりと扉の開く音がする。
フェリシアーノくんがいつものような笑顔ではなく、少し哀愁を帯びた微笑みで入ってきた。
私はなぜ彼がそんな顔をするのかわからないため、少し戸惑いが隠せていなかっただろう。
すると、フェリシアーノくんがベットに座ったままの私の方へと歩いてきて、突然ぎゅっと私を抱きしめた。
「へっ…!?ちょ、ど、どうされました…?」
「キク……おれのこと、好き?」
心臓がどきりと大きく跳ねた。
その二文字は、何回も私が彼に伝えたいと思っていた文字。それを、彼の方から言ってくるとは思いもしなかった。
心臓がドキドキと鳴っている。彼の温かい体温が私にも移ってくる。
「あ、あの…急にどうしたんです?」
「いいから、好き?」
「も、もちろん好きですよ?」
勿論友達としてという建前で。必死に仮面を作り上げ、彼にバレないようにする。
本当は友達なんかじゃ収まらない。
大丈夫。今までもバレていなかったのだから。
「うそ」
抱きついていたのをやめ、菊の心臓へと優しく手を当てた。
「ドキドキしてる。」
そう言ったフェリシアーノは、目を細め、妖艶に微笑んだ。
そう言われてしまった菊は、目をまんまるにし、顔を赤くさせた。
「へ、…」
「好きなんでしょ、俺のこと」
いままで合わなかった琥珀色の瞳が私の目を貫く。
そして、まるでイタズラが成功した子供のように目を細め、私のかさついた唇へ柔らかな感触を残した。
「好きだよ、キク」
「ほ、本当に私のこと好きなんですか…?」
「好きだよ」
「ほ、ほんとうに…?」
「うん、ほんと」
突然はらり、と私の目から温かな感触がした。
目の前の彼はそんな私にぎょっとし、いつもと変わらない様子であわあわとしだした。
「えっ、え、キク〜!ごめんね、俺、嫌なこと言っちゃった、?」
きゅるんと捨てられた子犬のような可愛い顔でそう言ってくる。
「い、っいえ、…!そう、でっはなく…」
「うれっ、しくて…」
必死に声を上げ、彼にそう伝えた。
彼は余程そう言われたのが嬉しいのか、愛おしそうに目を細めたあと、私のまぶたへと優しくキスをした。
「泣かないで、俺のアモーレ」
「すきっ、すきです…っ!」
「フェリシアーノくんっ…!!」
「うん、俺も」
まだ泣き止むことの知らない私を愛おしそうに見つめながら、唇へと柔らかな感触を残した。
何も考えずに書いたから頭空っぽにしてください
ストーリーとかない
なんなら起承転結すらない