テラーノベル
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夢だったのかもしれないけれど。
「…おはよう。」
なんとなく繰り返す一言。
返す気のない挨拶。
もう、辞めようとも思わなくなっている。
誰にともなく呟いてしまうのは、誰からか声が返ってくるのを期待しているから。
そんなことくらい、分かっているのに。
ベッドから起き上がる。
顔を洗う。
鏡とにらめっこする。
歯を磨く。
髪をとかす。
トーストを焼く。
水を飲む。
朝食を済ませる。
着替える。
当たり前の毎日を、今日も続ける。
とても普通のことで、変わらない日常で、ただの生活。
そのごく平凡な幸せに、穴が空いてしまったのは何故だろう。
「おはよう。」
「今日寒いね。」
「何食べようか。」
「今日の予定は?」
「気をつけてね。」
「いってらっしゃい。」
いつもあったはずのナニカが無いような感覚。
それでも問題なく動いている毎日への違和感。
分からない。
そんなことまで考えられなくなっている。
これは疲れか、はたまた別の影響か。
分からない。
頭が痛い。
「大丈夫?」
「仕事やっとくから。」
「無理しないで。」
「少しは休んでよ。」
「相談してね。」
誰なのか分からない。
知らない。
思い出せない。
声ばかりが、頭に反響する。
顔も、何もかも、分からない。
知らない人。
「抱え込まないで。」
「ずっと一緒だから。」
「大丈夫だから。」
「やめてよ。」
「そんなに薬飲まないでよ。」
「腕ぼろぼろにしないでよ。」
「勝手にどっかいかないでよ。」
「死なないでよ。」
なんで、
そんなに干渉してくるのか分からない。
なんで、
そんなに心配してくるのか分からない。
なんで、
知らない人なのに、そんなに優しいのか分からない。
夢なんだ。
たぶん。
知らないから。
分からないから。
現実じゃないんだ。
じゃなきゃ、
あんな人のこと、
知っているはずが、
「ねえ、ひとりにしないでよ。」
知らない声。
ずっと頭の中で響いている、知らない声。
それに、
よく似ていたのは、
「…夢?」
久しぶりに見る夢だった。
相変わらず、何も分からなかった。
「…あれ、」
懐かしい声だった。
もう、
逢えないのに、
涙が滲んでいた。
甘い香りが漂っていた。
「好きだった、気がする。」
口に出した言葉の答えは、もう分からない。
それでも、
合っているのだろう。
夢だったのかもしれないけれど。
貴方がいたその温もりは消えない。
End。
テンプレ二作目です。
何故か今回もタイトルは15文字です。
今回も一応BL,GL,TL,NLを含めた恋愛もの想定で書きました。
文章がわかりにくいと思いますが、わかりにくい分勝手に解釈してもらって構いません。
この作品も主人公(一人称)の主語を一切使っていません。
なので色々な展開や話が想像できると思うのでぜひ貴方の推しやオリキャラでテンプレを使ってみてください。
この作品のみ、盗作・参考を許可します。
使う際は一言コメントしてください。
内容を変えても構いません。
文章の変更もOKです。
使いたい部分だけ使っても大丈夫です。
私の書いた小さな世界が、貴方の世界の片隅に在ることを願います。
余談ですが、人の五感の中で一番最初に忘れてしまうのは声だそうです。
今回の作品では、忘れないようにするあまり、他のことを思い出せなくなってしまった感じですね。
声じゃなくてもいいんですけど顔が思い出せないのが良いところだと思います(適当)。
「プルーストのマドレーヌ」という言葉があり、記憶を呼び覚ますきっかけを指します。
人の五感の中で一番忘れにくいのが匂いらしく、匂いで何かを思い出したりすることは多いそうです。
大切にしたい記憶は、思い出せるようにしておきましょう。
皆様が大切なことを忘れませんように。
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