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あめ猫
3,650
セブンに抱かれながら。
クールキッドの目は、
どこか“別の場所”を見ている。
「とじこめられてる」
ぎゅっと、しがみつく。
でもそれは、
安心じゃない。
恐怖からの、しがみつき。
「……ちがう」
セブンが、低く言う。
「閉じ込めてない」
「守ってるだけだ」
だが。
クールキッドは首を振る。
強く。
「ちがう!!」
初めての、はっきりした拒絶。
セブンの体が、わずかに揺れる。
「……さっきまで、あったのに」
「ともだち、いたのに」
声が、震える。
「……なんで、きえたの」
その問いに、
答えはある。
でも。
それは、今のクールキッドには届かない。
セブンは、ただ抱きしめる。
離さない。
「……ぼくの、ばしょ」
クールキッドが、ぽつりと言う。
「もう、もどれない」
その言葉の意味に、
セブンの胸が、わずかに軋む。
クールキッドは、震えている。
セブンの腕の中で。
その震えは、
喪失と、
恐怖。
そして——
少しの、空白。
そのとき。
玄関のドアが、勢いよく開く。
「——セブン!!」
エリオットの声。
息が上がっている。
その足が、止まる。
リビングの光景を見て。
セブンが、クールキッドを抱きしめている。
でも。
様子が、おかしい。
「……どうした」
近づく。
クールキッドの肩が、小さく震えている。
「……お兄ちゃん」
顔を上げる。
目が、赤い。
でも——
少しだけ、距離がある。
さっきのまま。
「……」
エリオットが黙って2人を見る。
セブンが、低く言う。
「遮断した」
短く。
それだけ。
エリオットの目が細くなる。
「……あいつを?」
「ああ」
「完全に?」
一瞬の沈黙。
「……のはずだ」
その“のはず”に、
エリオットの表情が変わる。
「何した」
責める声じゃない。
でも、強い。
セブンは視線を逸らさない。
「全部切った」
「接続も、経路も、痕跡も」
「二度と入れないようにした」
エリオットは、クールキッドを見る。
その小さな体。
震え。
呼吸の浅さ。
「……それで、これか?」
静かに言う。
セブンの眉が、わずかに動く。
「仕方ないだろ」
低く返す。
「放っておいたら、あいつに持ってかれる」
「だから切った」
正論。
でも——
「それ、“全部”だろ」
エリオットが言う。
一歩、近づく。
「クールキッドにとっての“中”ごと、切ってないか?」
セブンの目が揺れる。
ほんの一瞬。
「……違う」
否定。
でも、弱い。
クールキッドが、小さく呟く。
「……くらい」
二人の視線が、落ちる。
「……なにもない」
エリオットの顔が、歪む。
「……ほら」
小さく、吐き出す。
「“敵”だけじゃなかったんだよ」
セブンの手に、力が入る。
「……あれは敵だ」
「違う」
即答。
ぶつかる。
「少なくとも、あいつにとっては違う」
クールキッドが、びくっとする。
その言葉に、反応する。
「……ともだち」
小さく。
かすれた声。
セブンの胸が、締まる。
「違う」
強く言う。
「違う、それは——」
言い切る前に。
クールキッドが、顔を上げる。
はっきりと。
「……なんで」
震えた声。
でも、逃げてない。
「なんで、きめるの」
空気が、止まる。
セブンの言葉が、詰まる。
クールキッドの目は、まっすぐだ。
怖いのに。
それでも、見ている。
「……ぼくの、なのに」
その一言。
完全な“意思”。
エリオットは、ゆっくり息を吐く。
そして。
しゃがむ。
クールキッドと、同じ高さに。
「……怖いか」
静かに聞く。
クールキッドは、少しだけ迷って。
うなずく。
エリオットは、ゆっくり答える。
「そっか」
それだけ。
セブンが、何か言おうとする。
でも。
エリオットが、手で止める。
「今は言うな」
低く。
「聞く番だ」
セブンの動きが止まる。
クールキッドは、少しだけエリオットの方を見る。
「ぼく……」
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