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午前4時。
案内された部屋は豪華で、すごく綺麗な部屋だったけど……
「ん”ー…なんか眠れないんだよなぁ」
そう言ってベランダから町を見下ろしていた。
「もう起きたの?」
「あ、万次郎様」
先日からこの人の嫁になった。
どこかのおとぎ話で読んだ「織田信長」みたいな人だ。
「すごいだろ、この町」
「ええ、とっても」
彼も町を見下ろす。
その横顔は、何かを隠しているような…怖がっているような、そんな顔だった。
「この町はな、俺の兄さんがここまで発展させてきたんだ」
「万次郎様の…お兄様が、ですか?」
「あぁ」
「お兄様は…とても、人を引っ張っていく力とかカリスマ性のある方だったんですね」
「はは、その通りだよ。超能力者か?そこまで分かるなんて」
「だって、万次郎様のお兄様ですもの。それに、ここまで発展させることができるなんて」
「あと、一応超能力ですからね」
「あはは、そうだったな…」
この人の兄だったら、きっと国民自ら着いてきたんだろうな。
「俺も…そんな風になれるかな、?」
「きっと、いや、絶対なれますよ!俺も側で力になれるように頑張りますので!」
「千冬にも、ずーっと側にいてもらうつもりだからな!あと…」
「俺の前だけでは俺じゃなくて『私』って言ってほしい、なんか…特別感あるし」
「なんですかそれ…。ふふっ、でも…『私』もあなたの前では私って言いたいです」
「!ありがとう、これからもよろしくな…千冬」
「こちらこそ…よろしくです」
そう言って二人は、まだ朝日が登らない空の下で抱きあった。
「…ん、んぅ、」
気がつくと、まだ見慣れない天蓋付きのベットで寝ていた。
「あれ…俺、そのまま寝ちゃった……?」
「あ、起きたんだ。おはよう!千冬、あの後寝ちゃったんだよ」
「万次郎様、おはようございます。申し訳ございません、今起きるので…」
重い瞼を擦りながら、ムクリと起き上がる。
「別に、そんなメイドみたいに敬語使わなくていいのに……」
「いえ、私はこれが使いやすいし…あと、万次郎様に敬語を使わないなんてそんな無礼な事出来ませんし」
敬語を使わない…いわゆるタメ語、と言うやつだろうか。
いつかに母に言われた記憶が蘇る。
『いい?千冬、もしあなたに殿方が出来たときは必ず敬語を使って無礼の無いようにね』
『かしこまりました、母上』
なんて会話が脳裏に浮かぶ。
「そっかぁ、まっ千冬がそれでいいなら俺もそれでいいけどね!」
「ふふっ、ありがとうございます」
「じゃあそろそろ、ご飯食べに行こっか」
「はい!そうですね」
ミルクティーにふわふわオムレツ、それにヨーグルトと小さいケーキやスコーンが乗ったケーキスタンドが用意してあり、とても美味しそうだ。
「わぁ…!」
「美味しそうでしょ、これうちの自慢のシェフが作ったんだ」
「そうなんですね!私にはシェフとかそんな人雇えないぐらい切り詰めた環境で生きてきたので…こんなに豪華な料理、初めて見たんですよ」
自分はずっと身分を隠してきた存在で、実際は姫と名乗りながら城でなんて暮らしたことなかった。
それに、自慢のシェフとか召使いだとかそんな人いなくて。
町でのんびり暮らしていたんだから。
「そっか、じゃあこれから美味しい料理沢山食べて!」
「ありがとうございます!」