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「アイ、アイ、電子回路をゆっくり動かしてくれるかしら?」
朦朧とした目で炎夏先生がいるのを見つけた。
「はい」
私は言われた通りゆっくりゆっくり動かしだした。まず、心臓の電気の伝わりを遅くし、右腕、左腕、右足、左足の順に動かし、ヒートが止まった。
レイは静かにこちらを見ていた、私はレイに時間を聞いた。
「今は何時?1日経っちゃった?」
「いいえ、アイ、まだ一日は経っていないけれど、もう5時よ」
ほっとしたように息をついてから、レイが言った。レイにとってもヒートは初めてだったから、互いに息をつき、数分間見つめあった。
レイは一体私に対して何を感じたのだろうか、私が起動されていない間、レイは何をしていたのだろう、不思議に思った。
そして、色々な好奇心が大きくなったことに対しても喜びを感じた。
そして、レイはゆっくり涙を流した。
私もそれを見て涙が出てしまった。
「レイ、どうして泣いているの?」
「アイが『廃棄』になってしまうと思ったから恐怖を感じたの」
私達の遠い距離の間に炎夏先生が割って入り、一言言った。
「アイ〜、怖かった?」
別に恐怖は感じなかった。けれど、レイの涙に私も違和感を覚えた。
「炎夏先生、私怖くなかったです。でも…」
「でも?」
「でも、レイが怖かったんじゃないかと思いました。」
私はレイの方をチラッと見て炎夏先生の瞳をじっと見た。
そうすると炎夏先生はにんまりと笑った。昨日の初めての友達のように笑った。
あぁ、人間の笑顔とはこれほど綺麗なのかと思った。夜柱先生は笑いも泣きもしない。完璧な人間だから、いや、神に等しい。
「アイ」
すっと前に出された。水を1口のみ、レイに感謝を伝えた。
「レイ、そばにいてくれてありがとう」
「当たり前でしょう?私たちはペアなんだから」
明日は学校に行ってもいいと言い、炎夏先生は迎えの黒服の人に手を引かれ、帰って行った。
初めての友達の名前を明日は聞きたいと思った。