華は制服の裾をぎゅっと握りしめた。
叱られたことよりも、「やろうとはしている」と認められたことが、胸の奥に残っている。
――誰かにそんなふうに言われたのは、いつ以来だろう。
「……はい。次は、絶対に気をつけます」
小さく、けれどはっきりと答える。
律は無表情のまま、軽くうなずいただけだった。
それでも、華の心には確かな火が灯っていた。
(律さんに、ちゃんと認めてもらいたい)
その思いが、彼女を再びカウンターへと立たせた。
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