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次に訪れたお客様は、年配の夫婦だった。
華は深呼吸を一度して、伝票をしっかりと確認する。
「本日はご利用いただき、誠にありがとうございます。こちらにご署名をお願いいたします」
今度は上下を間違えずに差し出すことができた。
夫婦が微笑んでペンを走らせるのを見届け、華は丁寧にお辞儀をする。
「ありがとうございました。またのご利用を心よりお待ちしております」
緊張で声は少し上ずっていたが、無事にやり遂げた。
お客様が去った後、律が横目でちらりと見て、小さくうなずく。
「……今のは問題ありません」
その一言に、華の胸は大きく弾んだ。