テラーノベル
アプリでサクサク楽しめる
コメント
0件
👏 最初のコメントを書いて作者に喜んでもらおう!
看護師が部屋を出ていった後、静まり返った病室に、𓏸𓏸と涼ちゃんだけが残った。
𓏸𓏸はすぐ隣の椅子に座って、
何も言えずに涼ちゃんの背中を見つめていた。
さっきまで普通に振る舞っていたはずの涼ちゃんが、
実はずっと、自分でも気づかない孤独の中で沈んでいたことを知って、
胸の奥がぎゅっと苦しくなった。
「……なんで、そんなに死にたいの」
𓏸𓏸は声に出せず、
その言葉だけがぐるぐると頭の中に渦巻いていた。
どうして、自分じゃその理由がわからないんだろう。
どうして涼ちゃんは、ここにいてくれないんだろう。
何度も一緒に笑った日々を思い出しては、
自分の無力さが重く心にのしかかる。
涼ちゃんの横顔は、小さく震えているように見えた。
でもどんなに問いかけてみても、
涼ちゃんは何も語ってくれなかった。
ただ、二人の間に悲しみと答えのない沈黙だけが流れ続けていた。