『ハッハッハッ、生贄はオマエか?』
黒い巨大な影が迫って来る。エコーのかかった耳障りな声で問いかけてくる。
『だ、誰か!助けてくれ……!』
助けを求めても誰も助けには来ない。助ければ殺されるのだから当たり前だ。
『オマエを助ける奴はいない』
生贄の少年の恐怖心に拍車をかけるような言葉を言い放つ。
『そ、そんな……』
少年は迫って来る黒い影に、ただ怯えた表情をすることしかできなかった。
キィンッ!
夫婦と思われる2人の男女が少年の前に立ち塞がっていた。
『すまない、我が息子よ』
『強く、強く生きるのよ』
そう言い残し、何十倍も巨大な影の方へと駆け出して行った。
『父さん!母さん!』
少年の前には2つの死体。先程怪物に立ち向かった両親のものだ。奮戦虚しくあまりにも強大な力の前に命を散らしたのだ。
グシャッ……
少年の中の何かが壊れる音がした。少年は目の前の黒い影に手を伸ばす。
『……俺を連れて行って?』
黒い影は少し驚いたようだ。先程まで怯えていた少年がする事とは思えなかったのだ。
『……ついて来い』
黒い影はそう言って背を向ける。少年はそれに微笑んだ。そして同族の者達のほうを見て刃より冷たい言葉を発した。
『俺を見捨てたすまない一族なんて
滅んでしまえ』
そう言い残し
少年は黒い影の後を追って姿を消した。
コメント
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これがすまない先生がドールになるきっかけか…流石に裏切られたら憎むよねぇ