テラーノベル
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マサルが爺さんに連れられて、寂しい路地裏の、気付かずに通り過ぎてしまいそうな細い道にある、その店に着いたのは、もう日のどっぷり暮れた時分だった。
古ぼけた看板に、「記憶屋」と書いてあった。
「さあ、ここじゃよ。
入った入った。」
爺さんがもう閉店後に見えるその古い店のドアを開けると、カウンターに青白い顔をした中年男が立っていた。
「いらっしゃいませ。」
男が言った。
「今日は新しい人を連れて来たんじゃが、ひとつ買い取ってやってくれんかの。」
爺さんはこの店の馴染みらしくそう言った。
「かしこまりました。
初めてのお客様には『失敗の記憶』をお勧めしております。」
男はそう言うと料金表のようなものをマサルに見せた。
それはこんな物だった。
失敗の記憶 百万円
恐怖の記憶 百五十万円
歓喜の記憶 二百万円
悲嘆の記憶 二百五十万円
×××の記憶 一千万円
マサルは狐につままれたような気がして、やはり帰ろうか、と思った。
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七瀬 夢
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おにぎり
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