王様ゲーム

⛄️王様だ～れだっ？

おいマジかよ。そんなバブルの時代の遺物みたいな遊び、未だにやるやつとかいんのかよ。

俺は異様に盛り上がるみんなを幾分醒めた目つきで見ていた。

でもこれも付き合いだと思えば、やるしかないか。

🩷俺だーーーーーーー！！！

真横にいた佐久間が叫ぶ。

耳が痛い。相変わらずうるさい。

🧡お、ええなあ。俺、王様したかったわー

康二は酔って顔が赤くなっている。

今日は無礼講だとか言って、メンバーで目黒の誕生日を祝う飲み会をしていた。

何かにかこつけて集まりたい連中なのだ。

ちなみに、それについては何の異論もない。

9人でいるのは純粋に楽しいし。

🤍はいはい早く。王様俺もやりたいから、佐久間くん、さっさと命令してよ

🩷まあ、そう焦るな

💜じらせるねぇ

あ。ダメだ。佐久間も酔ってる。

目つきが普通じゃない。佐久間は酔うとキス魔になるからな…。

今日、俺はまったく飲んでないので、それは良かったのか、悪かったのか。

でも酔いが醒めて、醜態を晒した後で恥ずかしい思いをするくらいなら、理性は保っていたい。

ちらりと照の方を見る。

💙は？飲んでるの、あいつ？

手元にはかなり強い酒が空いたらしいグラスが一つ…いや二つ？

隣りに舘が座っているから同じペースで飲んでるのかもしれない。

照もそこまで弱い方ではないが、酔うとやべーんだよな。

常日頃から酒には気をつけろとあれほど言ってるのに何考えてんだ。

阿部ちゃんの顔は青ざめている。あっちはあっちで別の意味でやばそう。目黒が気にかけて介抱しているようだ。

🩷決まりました……

佐久間が閉じていた目をかっと見開き、立ち上がる。

🩷７番と８番がキーーーース！！！！！

…王道かよ。

でも、そんな命令でも俺とグロッキーな阿部ちゃん以外はバカみたいに盛り上がっている。

いい大人がキスくらいで…って…ん？７番と８番…って

💙俺じゃねーか！！

🖤あ、俺８番だわ

ほぼ同時に俺と目黒が言った。

湧き起こるやかましい歓声。

キース、キース、キースの大合唱。

個室とは言え、うるさすぎるし、みんなうざすぎる…。

いやいやいやいや、キスとかまずいって。

絶対にできないって……！！！

💙いや、無理。ほんとに無理

🧡しょっぴーノリ悪いで？

🤍絵的には悪くない組み合わせだね

💜さっとやれさっと！男らしく！！

❤️まあ、ただの遊びなんだし

🩷王の命令は絶対なのだふははははははははは！！！！

どこの大魔王だよお前は。俺は佐久間を睨みつける。

💙やばいんだって、それだけは断る！

🖤あんまり拒否されると俺も傷つくな…

いや、お前ら何も知らんからマジで。

💙やめろっっっ！！！！

悪ノリしたドラマ班に全身羽交い絞めにされて、俺はもう逃げられない。

💜目黒！いけっっっ！！！

🖤おす！

体育会系みたいなノリで、目黒の顔が近づいて来る。

🖤しょっぴー、ごめんね？

チュッ。

俺は、目黒にキスをされた。

目黒の唇は柔らかかった…とか、そんなんじゃなくて、いや、とても紳士的なキスではあったけれども！

あー。終わった……。

俺はこの後起きることをかなり正確に想像していたと思う。

---

メンバーと一旦別れた後、秒で呼び出された照に、近くのホテルに連れ込まれた。

今夜は帰って明日の仕事に備えてしっかり寝たかったのに、これじゃもう帰れない。

照はそんな俺のことなどお構いなしにずっと怒っている。

怒るとしつこいのがこの男の特徴なのだ。

💛ねえ、さっきの何？

💙何と言われましても

💛避けようと思えば避けれたよね？？

💙見てたよな？逃げられる状況じゃなかったろ

💛言い訳は聞きたくない

💙言い訳じゃな…んっっ

俺は照に強引にキスされる。

ねっとりとした、しつこいキス。目黒の10倍は熱いキス。

💛ねえ、今、目黒と比べた？

💙……比べてない

心読めるのかこいつは。

正直ドン引きしたぞ。

💛翔太は誰と付き合ってるんだっけ？

💙照…です

💛俺にヤキモチ焼かせてどうするつもり？

💙だからあれは不可抗力で…

💛黙れ

こうなったら照はもう止められない。

全身筋肉でできた、自慢のマッスルボディだ。力じゃ敵わないし、こうなったらとことん愛を確かめたくなる性格なのは知ってる。

……だから王様ゲームなんて嫌だったのに。

おまけに今夜の照は素面ではない。

酔ってると二割増しに元気になるんだ、照は。

💙佐久間の野郎、覚えてろよ…

💛今度は佐久間かよ

💙ちが…

両手をベッドに固く縫い付けられて、もう抵抗はできない。

それに抵抗したらもっと大変なことになる。

ここは照に身を委ねるしかない。

俺は観念して目を瞑った。

照は俺の、耳、頬、額、首すじ、鎖骨、肩、腋、ありとあらゆるところにキスを落としていく。

そのたびに甘い息が漏れてしまう。

恥ずかしいけど、絶妙な気持ち良さには抗えない。

💛翔太、好きだよ

💙……ん

💛今夜は寝かさない…

💙いいよ、朝まで付き合う…んっ…はぁっ

💛翔太は誰のことが好きなの？

💙ひか…ああんっ

💛ちゃんと言って？

💙ひ…かるっ…んっ

言えなくしているのは、照だろ。

突っ込みたくなるがもう言葉が出ない。

頭がぼうっとするくらいの快感に満たされてしまう。

照は優しいので、前戯も丁寧だ。もっと荒々しくてもいいのに、とこっちがじれったくなるほど。

俺は少しずつ上り詰めていき、ある時点でどうしようもなく照が欲しくなる。

繋がって、ひとつになりたい。

💙もう、いいから、ひかる…っ…来て…

💛ん…っ…入れる…よ

照の逞しい身体を感じる。熱を感じる。

少しだけ息が酒臭くて、俺も酔っ払いそうだ。

いや、もう言ってしまえば照に酔ってるんだけど。

💛翔太、翔太、翔太…っ

下から見上げる照の、腰を振りながら切なげに我慢している顔が愛しい。

だんだんと汗ばんでいく、照の背中が好きで、腕を回す。

もちろん、俺もイキそうになってる。

💙一緒に…

💛翔太、いく…

---

翌朝。

ホテルで目を覚ました俺は、ベッドから出ようとして、ぎゅっと抱きしめられた。

💙起きてたのか

💛んー、起きてたぁ

振り返ると、照がふにゃっと笑っている。

笑うと目がなくなってしまうようなその表情を見せる時だけは年下だなと思う。

💙おはよう

💛ん、おはよ

💙もう起きようか

💛んー、もうちょっと翔太を抱きしめてたい

俺たちは朝のキスを交わして、つかの間のうたた寝を楽しむことにした。

おわり