日にゃぽ独伊がクリパする話。今回CP要素少なめ。ちなみにパーティに突撃してきそうなアメリカは、ドイツに頼まれたイギリスが頑張って引き止めてます。これがクリスマス休戦ってやつだね(違う)
「Buon Natale!」
真冬の玄関に響く真夏のような元気な声
入ってきたのはその声を体現したような彼、イタリア
勢いよく開いた玄関へ向かい、「Frohe Weihnachten.ドアは優しく開けるものだぞ」と家の主であるドイツが諭した
「イタリアが日本より早いなんて珍しいな、明日は槍でも降るか?」
「頑張って時間通り来たのに失礼なんね!!」
ワーワー騒ぐイタリアを暖かい部屋に連れていってソファに座らせる
賑やかな二人だけの空間で、ドイツは静かに思いを馳せる
それにしても……日本たち、遅いな。あいつが約束の時間に遅れるなんて本当に珍しい。もしかして、事故に巻き込まれてるんじゃ…
だがしかし、そんな心配は直ぐに無くなった
イタリアに続くように鳴ったインターホン
返事をして玄関ドアを開ける
そこには、様子が真反対の2人が佇んでいた
「メリクリ〜!」
「メ、メリークリスマス…です」
挨拶をする陽気なサンタと赤面のサンタ、もとい、にゃぽんと日本
その姿を見て、ドイツと、いつの間にか玄関に来ていたイタリアは、挨拶も忘れて目を丸くする
なんと、二人ともミニスカサンタのコスチュームを纏っていたのだ
「…っねえ!もうこれ着替えていいでしょ!!?」
友人たちに恥ずかしい姿を見られて羞恥が限界突破している日本がにゃぽんに抗議する
「えー似合ってるのにー」
大方、にゃぽんに言いくるめられて着せられたのだろう。それにしても…可愛い
女装する社会人男性の友人に向かってあまり抱くことの無い感情ではないが、可愛いのだから仕方ない
2人の顔は完全に緩みきっていた
「二人ともめっちゃ可愛いんね!」
「ふふ、にゃぽんも日本も似合ってるぞ」
「嬉しくないですよ…」
ほんわかな雰囲気が包む玄関
扉を飾るクリスマスリース
今日はドイツ宅でのクリスマスパーティの開催日、ちなみに発案者はイタリア
多国籍のものが集う彼らの会社ではクリスマスは強制休暇となっている。そのため、普段は会社の住民である日本とドイツも安心して家で過ごせるのである
ご飯やスイーツを持ち寄って食卓を囲み、プレゼントを交換する、ポピュラーなパーティ
けれど、家族同然の友と過ごすクリスマスに、皆心を踊らせているのだ
恥ずかしがる日本を3人で囲って部屋へ連行し、大人しく席に座らせる
どうやら、着替えさせる気は無いようだ
一仕事終えた彼らは、各々大きな荷物を持ってくる
いい匂いのするそれらを開け、用意された皿に盛り付けた
「ioはピッツァとパンドーロ持ってきたんね」
「俺のはシュトレンとヴルストだ。シュトレンはパンドーロと一緒に食後に食べよう」
「イタリアさんのピッツァとドイツさんのソーセージ…!!美味しそう…!」
先程まで羞恥で黙っていた日本が食卓に並ぶ好物達を見て目を輝かせる
その様子に、彼らはご満悦だ
「……なんかセリフがエr」
「にゃぽん」
「すみませんでした」
諌められた失言を咳払いで誤魔化して、何も無かったかのようにタッパーを開ける
「私たちはローストチキンとポテトサラダを持ってきたよ」
ポテトサラダを見て、「ジャガイモがある…!」と密かにテンションの上がるドイツ
その姿を見た日本がクスリと笑った
「ドイツさんがジャガイモ好きだと聞いたので持ってきました」
「俺のために作ってくれたのか、ありがとう」
「チキンって、七面鳥じゃないんね?」
「うちじゃ七面鳥はなかなか手に入んないからねー鶏のも美味しいから食べてみてよ」
「うん!楽しみにしてるんね!」
全ての料理が揃った食卓
グラスに注がれる深く濃いルビー色のワイン
席に着いた皆がそれを手に取る
再び中央に集まったグラスはカンッと小気味いい音を奏でた
「「「「乾杯!」」」」
テーブルに並ぶすっかり空になった皿
美味しい料理を存分に堪能し、皆、満足そうな表情をしている
「「ご馳走様でした!」」
「どれも美味かったな」
「お腹いっぱいでちょっと苦しいんね…」
「あんなハイペースで食べてたらそうなるだろ、デザートあるのに食えるのか?」
「それまでにはお腹減らすから大丈夫なんね!」
本人はそう言っているが、彼は他メンバーの2倍は食べていたはず
この膨れ具合では消化にかなり時間を要しそうだ
そうなると、必然的に空く時間
ならば、と目を合わせた日本兄弟が音頭をとった
「それじゃあデザートの前に…」
「プレゼント交換タイムだー!!!」
「まずはioからなんね!」
真っ先に名乗りを上げたのはイタリア
はいこれ、と渡される大きめの直方体
日本がそれを受け取ると、腕が予想外の重さに引っ張られ体のバランスを崩しそうになった
「うおっ!?なんか、ずっしりして…ますね…」
「うん、だって5kgあるからね」
にゃぽんの分もどうぞと追加で載せられた5kgに呻き声をあげる
「なぜそんなに重い!?ダンベルでも入ってるのか?」
「いいから早く開けてみて!」
ドイツの分も手渡したイタリアが開封を急かす
ちなみにドイツは軽々と受け取っていた、日本はちょっと泣いた
そんな兄を気にもせず、自分の分を手に取ったにゃぽんが丁寧に包装紙を剥がす
現れた中身を確認した後、あ〜、と納得した様子を見せた
「これは…パスタ麺だね」
「ioのお気に入りのやつを持ってきたんね!美味しく食べてほしいんよ」
「ああ、ありがとう」
「ありがとう!これから暫くパスタ生活だねぇ」
「こんないいものをありがとうございます。明日のお昼はペペロンチーノにしましょうか」
お気に入りのものを喜んでもらえたようで、イタリアは機嫌が良さそうにニコニコする
一旦、重いそれを脇に置いて、日本たちはテーブルに置いていた袋から、種類の違う2つの箱を取り出した
「次は僕とにゃぽんからですね」
「これがドイツさんので、こっちがイタリアさんのです」
それぞれに手渡される小さめの箱
「ありがとう(なんね)」と礼を言って、色の違う蓋をそっと外した
「俺のは…アイマスクか」
「ドイツさん目が疲れてそうだったので丁度いいかなと思いまして」
これで一緒に残業頑張りましょうね!!
聞く人によっては鬼畜かと思うセリフ
しかし、幸いにも、自分を思って選んでくれたプレゼントに喜ぶドイツには労いの意としか捉えられなかったようだ
「僕のはスカーフなんね!この柄オシャレ〜」
手に持っているのは、七宝柄のスカーフ
「デザインはにゃぽんセレクトだよー!スカーフにしようって言ったのはお兄ちゃんなんだ〜」
「にゃぽんも日本もセンスがいいんね!早速着けるんね!」
着けていた青いスカーフを外して、真新しいそれをササッと首元で結ぶ
独特なデザインでも彼がつければなんでも似合ってしまうのだから色男は凄いなあ、と日本は思ったのだった
「うん、似合ってるよ」
「いつものもいいが、そちらも似合っている」
「やっぱりイタリアさんはスカーフが似合いますね」
「へへへ、なんか照れるんね」
「最後は俺からだな」
どこからか取り出した大きな紙袋から3つ、中身を取り出す
「お前たちのこと考えながら作ったんだ…良かったら大事にしてほしい」
照れながら差し出したシンプルな袋
軽く柔らかいそれから顔を出したのは、クマのぬいぐるみ
それらは各々に似たデザインで作られている。思ってもみなかった愛らしいプレゼントに皆の心は鷲掴みされていた
「「「かっ、可愛い…!」」」
「これ、ドイツの手作りなんね!?」
「服まで作られててクオリティ高いですね!」
「神ぬい作家がこんな身近にいたとは…!」
「ありがとう(ございます)!」と3人揃った満面の笑み
ドイツは幸せそうに顔を綻ばせた
聖なる夜に響く賑やかな笑い声
親愛なる友と過ごす、幸せに満ちた時間
年に一度の宴はまだまだ続きそうだ。
おまけ
日本とにゃぽんは家が遠いため一足先に帰ることになった。外まで見送ってくれた2人に挨拶をして、踵を返す。しかし、少し歩いたところで、何かを思い出した様子のにゃぽんはドイツとイタリアの元へと駆け寄った
「これ、私からのプレゼント」
こそこそと渡されたのは、分厚い茶色の封筒
表面からもL判サイズの膨らみが見てわかる
なんだこれと思考を始めようとした時、にゃぽんは細い人差し指を口に当て、ニッと笑った
「一人の時に開けて。お兄ちゃんには内緒だからね」
それだけ言って、じゃあねー!と日本の元へ戻っていくにゃぽん
増えた疑問にはてなマークを浮かべる二人
この後にゃぽんへの多大なる感謝をすることになるとは思っていなかったのだった。
どうしてもクリスマスネタのお話を投稿したくて急いで書いたので、短いしヤマもオチもないです(いつもの事か)。日独伊は仲良く幸せにしてればいいんだぁ!!
今年は2ヶ月しか活動していませんでしたが、大変お世話になりました。来年もよろしくお願いします。それでは、良いお年を!
コメント
6件
💬遅れてすいません!今回も神作でした!にゃぽんも私や封筒の中身を想像してニヨニヨが止まりません🤤🤤🤤🤤
いや ~ !!😭😭 💬 遅れました 、すみません .. 😢😢 今回も 素晴らしい 作品でございましたわ !!✨✨ 個人的に1番最後の 封筒の 中身が すごく気になる .. 🫣💕 なんなんだろう 、まぁでも なんとなく 🇯🇵 の あはーんな 何かが入っている気がしなくもない 。
メリークリスマス! これからも応援してます💪🔥 毎回完成度が高くて驚きです……✨️