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#文芸アクション
大正
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「もういいわ。顔を上げて」
「先生…許してくれるの?」
「まだ怒ってる」
「…ごめん」
しゅんと落ち込んだ顔を見せたら、先生はぽん、と昔みたいに頭をなでてくれた。
「睦月君が真剣だってことはわかった。でも、まだ婚姻届を出していないなら、夫婦ではないってことよね?」
「うん。そうだよ。でも、僕は先生と夫婦になりたい。その気持ちは嘘じゃないよ」
「ありがとう。だったら、少し時間をくれない? 私、睦月君に再会したばかりで、睦月君への気持ちもまだ、自分でもよくわからないの。だから、待っていてくれる?」
「もちろん! いつまでも待つよ! たとえ10年でも20年でも――」
「そんなに待っていたら、おじさんになっちゃうよ」
くすくすと先生が笑ってくれた。裏口だから誰にも見られていないと思い、僕はどさくさに紛れて先生にキスをした。
「!?」
先生は唇を押さえて震えている。
「僕、今後は遠慮なく攻めるからね」
できもしないくせに、と潤からツッコミをもらいそうなセリフを置き土産にして、仕事に戻ることにした。先生がどんな顔をしていたのかはわからない。少なくともまったく脈がないわけではなさそうだ、という事実が僕の足を浮き立たせた。
「お待たせ」
近くで待機してくれていた車に乗り込み、潤に声をかけた。
「説得できた?」
「もちろん。うまくいったと思う。気持ちは伝えた」
「そうか。なら言うことはない。ま、長い人生これからだ。頑張れ」
潤は僕の決断を尊重してくれ、ハンドルを切った。
「さ、行こうか」
「どこへ送ればいい?」
「翠子のところ」
「どうするつもりだ?」
「もちろん、盗られたものを取り返す。翠子は僕のことナメてるよ。婚姻届盗ったくらいで、僕が先生を諦めるとでも思っているのかな」
「思っているから持ち帰ったんだろ」
「万一返してもらえなくても、別に構わない」
「いいのか? 大事な婚姻届なのに」
「返してくれないなら、また書けばいい」
「なーるほど」潤は満足そうに笑っている。
「これからはガンガン行くよ。僕の愛は重いんだ」
「こりゃ、とんでもないモンスターを目覚めさせちゃったかもしれないな」
「そうかもね」
先生しか眼中にない僕が勇気と強引さを兼ね揃えたら、もしかしたら無敵なのかもしれない――なんだか、そんな風に思った。
翠子の家に向かう車の窓に映った僕の顔は、前の僕よりも凛々しい顔をしていた。
コメント
1件
ちょっと待って待って待って!!😭💕 先生とのキスシーン、マジでエモすぎた…!「僕、今後は遠慮なく攻めるからね」って、普段おとなしい感じの主人公が急に強気になるギャップにキュン死にしたわ…!!潤とのテンポ良い掛け合いも好きだし、先生が「少し時間をくれ」ってちゃんと向き合おうとしてるのも、大人な関係って感じで尊い…。翠子に婚姻届取り返しに行く流れも熱い!!この2人の行方、めっちゃ気になるよ〜!!🔥🌸