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「軽い脳震盪を起こしていましたが、今は意識は回復しています。脳の検査も異常はありませんでした。フェンスにぶつかった時にできた深い傷が何ヶ所かあって処置しましたが、出血はそこまでひどくはなく、輸血も必要ありませんでした」
脳震盪……
それで意識がなくなったんだ。
とにかく脳に異常がなくて安心した。
「先生、ありがとうございました。鳳条さんは入院になりますよね?」
私の代わりに店長が聞いてくれた。
「そうですね。傷が完全に塞がるまでは数日間入院してもらいますので、無理をせずに安静になさって下さい。あとは、看護師から話を聞いて下さい。では失礼します」
「先生、本当に本当にありがとうございました。主人のこと……どうぞよろしくお願い致します。ありがとうございました」
私は、先生の背中に向かって、ずっとずっとお礼を言いながら頭を下げ続けた。
「琴音ちゃんの想いが伝わったね。希望が現実になった。本当に良かったね」
綾井店長は、私の肩をポンポンと優しく叩いた。
「ありがとうございました。店長がいてくれたから何とか取り乱さずにすみました。本当に感謝しています」
「僕は何も。琴音ちゃんが旦那さんのことを本気で愛してるのが良くわかったよ。君たち2人の絆の強さを見た気がする。そうだ、すぐに青山さんに連絡するね」
私は流れる涙を拭って、うなづいた。
しばらくして龍聖君の麻酔が切れ、私達は部屋に入ることを許された。
「僕は待合室で待ってるから。行っておいで」
「店長……すみません、待ってもらうのは申し訳ないので、私はタクシーで帰ります。店長は店に戻って下さい。後日、改めて龍聖君とお礼をさせていただきます」
「お礼なんていいよ、気にしないで。そうだね、旦那さんとゆっくり話してくるといいよ。今日はもう店には戻らなくていいから」