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二人でショッピングモールの中を回っていると、翔くんが気になる服を見かけたみたいだからその店に入った。
「これ、絶対俺似合うと思うんですよね〜」
翔くんは気になったであろう服を持って嬉しそうにそう言う。
これは絶対似合う。
「そうだね。絶対可愛いよ」
「ちょっと試着してきます」
「うん」
翔くんが試着室に入ってしばらくすると、翔くんが試着室から出てくる。
「どうです?可愛くないですか?」
可愛い。いや、可愛すぎる。
俺は思わず見惚れてしまう。
「…ぱい?せんぱ〜い」
そう聞こえた後、目の前で翔くんの手が振られる。
俺はハッとする。
「あっ、ごめんっ。いいと思うよ。めっちゃ可愛い」
思った事をそのまま口にすると、翔くんは嬉しそうに言う。
「じゃあ、もうこれに決めちゃいます!」
「いいの?ほかの店も見てみたら?」
「大丈夫です!これ、気に入ったんで」
「そう。ならいいけど」
そして俺は服を購入し、店を出た。
少し歩くと、翔くんが言う。
「せっかくなんでこのままここで遊びません?」
「それ賛成」
そしてその後、色んな店を回っていると、俺は尿意を感じてしまい、翔くんに言う。
「トイレ行きたくなっちゃった。行ってもいいかな?」
「はい。俺、大丈夫なんでここで待ってます」
「分かった。すぐ行ってくるから、待ってて」
俺はそう言ってトイレに行く。トイレを済ませて翔くんの元へ戻ろうとすると、翔くんの前に男性が立っているのが見えた。俺は不思議に思いながら翔くんの元へ向かう。
翔くんに話しかけようとした時、男性の手が翔くんの肩に触れた。その瞬間、自然と言葉が出る。
「何してるんですか?」
俺の言葉を聞いて男性は振り向く。
「あれ。お友達かな」
俺はイライラしていた。翔くんに触ったのが許せなくて。
俺は翔くんに近寄り、肩を掴んで自分の身体の方へ引き寄せる。
「この子、僕の連れなんですよ。だから、ちょっかい出すのやめてもらっていいですか?」
翔くんにこれ以上、触って欲しくなくて。
「あー、分かったよ。悪かったな」
そう言って男性は立ち去っていく。
その様子を見て、安心した俺は翔くんの顔を覗き込む。
「翔くん、大丈夫だった?」
「大丈夫ですっ」
翔くんは目を逸らしてそう言い、俺から離れた。
翔くんが目が合わせてくれない。やっと目が合ったと思ったら、すぐに目を逸らされてしまう。
このまま一緒に居るのはなんとなく良くない気がして。
「…今日はもう帰ろっか。服も無事見つかったし」
「えっ…そ、そうですね」
翔くんは目を逸らしたまま、そう言った。
そんな翔くんと解散して俺は帰り道を一人で歩く。
今日の事を思い出して、ため息をつく。
心臓がぎゅっと苦しくなる。この感じは小学生の頃、将人を好きだった時とよく似ている。
俺は翔くんの事、好きになってしまったのかもしれない。
そんな気持ちに見て見ぬふりをして、俺は家に帰った。
文化祭当日。女装・男装コンテストが始まり、会場がワーワーと盛り上がる。数人が出た後、翔くんがステージに出る。ランウェイを歩き、立ち止まった後、投げキッスをした。
「キャー!」
「めっちゃ可愛くない?」
「後で写真撮って貰おうかな」
そんな声が聞こえてくる。俺は心がモヤッとした。
俺は翔くんをじっと俺を見つめる。
翔くんが可愛いのは俺だけが知ってれば良かったのに。
ついそう思ってしまった。
コンテストが終わると、翔くんが俺の元へ駆けてくる。
「俺、この格好のままで回りますね。コンテストに出た人だけの特権なんで」
翔くんはそう言ってニヤッと笑った。
まだその格好でいるんだ。もう他の人に見て欲しくないのに。
「そう。いいんじゃない?行こ」
俺はそう言って歩き出す。少しイライラしていた。
道行く人達の声がやたら耳に入る。
「あの子、コンテストに出てた子だよね」
「めっちゃ可愛いんだけど。女だったら告ってるわ〜」
心がずっとモヤモヤしている。
そんな気持ちを無視して廊下を歩いていると、女子生徒が翔くんの前に立つ。
「あの、コンテスト出てた方ですよね?」
「はい!出てましたよ」
「正直、コンテスト出てた子の中で1番可愛いです!」
「え〜?そうですか?照れちゃうな〜」
翔くんは照れた顔でそう言う。
その照れた顔も、他の人には見せたくなかったのに。
「それでその…良かったら一緒に写真撮ってくれませんか?」
「いいですよ」
「ありがとうございます!」
そして翔くん達は数枚写真を撮った。
写真はよく、翔くんと遊んだ時に撮っていた。
俺の方が翔くんとの写真をたくさん持っている。なんて勝手に心の中でマウントを取ってしまった。
「ありがとうございました!」
そう言いながら女子生徒達は去っていく。
やっと終わった。
そう思ったのに、横から他の生徒が寄ってくる。
「俺もいいかな?」
「いいですよ〜」
数枚写真を撮った後、男子生徒が言う。
「ちなみにこれって、SNSとかに乗せてもいいかな?」
「あー…別にいいですけど」
SNS。そんなのに乗せたらもっと翔くんの可愛いがバレてしまう。
そう思っていると、男子生徒が嬉しそうに言う。
「やった〜。じゃあ、匂わせみたいな感じで乗せちゃお〜」
「SNSに乗せるのはやめてくれないかな?」
無意識にそう言っていた。
「え〜、なんで?」
「特定とかされたら怖いでしょ。それで翔が事件に巻き込まれたりしたら、責任取れるの?」
「分かったよ。SNSには乗せないから」
「ありがとう」
俺がそう言うと、男子生徒は立ち去る。
「すみません。俺の事なのに、危険とかそういうの考えてなくて」
「大丈夫だよ。翔くん、ほんと可愛いから気をつけなきゃダメだよ」
本当は危険だなんて、そんな理由じゃないのに。
ただ俺が可愛い翔くんを他の人に見せたくなくて、翔くんが匂わせなんかに使われるのが嫌だっただけだ。
そして気づいたら翔くんの頭を撫でていた。
「あっ、ごめん」
俺は慌てて翔くんの頭から手を離す。
「いやっ。全然大丈夫です」
「いこっか」
俺はそう言って逃げるように歩き出した。
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コメント
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やばい、早くこの二人くっついてほしいですー!!!!! しかも、なに!?!?愛斗くんめっちゃタラシすぎん!?惚れます、ってか惚れてます!!主さん!!こんな素敵な作品を生み出してくださりありがとうございます(←いきなりどうした)引き続き頑張ってください!!!!