やっと更新できました泣。
突発的に書いたメイドの日もありがとうございました。
♡とかコメントとか本当にうれしいです。
今回センシティブにするか迷ったんだけど大丈夫かなあ、、不安。
今回、かなり不穏なほうに進んでますが大丈夫ですか、?さのじんさん。というか佐野さん。
ハピエンにできるかどうかはあなたたちに懸かってるからね。
3年ともなれば受験生、ほとんどの授業が選択科目で移動教室である。
急いで戻った教室にはまだ同じ科目を取っている友人が数人残っていて、合流できた。
「あれ、勇斗」
「勇斗いたのかよ!先行ったのかと思って置いてくとこだったわ」
「どこ行ってたん、トイレ?」
「いや、まあ、ちょっとね」
荷物を準備しながら応える。
「珍しいな、勇斗が教室から出てんの」
「んね、いつも出不精のくせに」
「まあまあ、いろいろあんのよ、俺にも」
そのとき。
「あっ」
きーんこーんかーんこーん
またチャイムが鳴った。
いまのが授業開始だから、これじゃ完全に遅刻だ。
みんなで廊下を駆け出した。
「くっそ、間に合わなかった」
「お前のせいだぞ、勇斗!」
「っは、俺?!別にお前らが先行けばよかっただけじゃん」
「俺らが勇斗を置いてくわけねえだろっ☆」
「うわきも」
走りながらウィンクと撃ち抜くような仕草をしてきて、さすがにキモすぎて絶句する。
え、まって、どうしよう。
仁人にも俺がこんなふうに見えてたら。
足が止まって、小さくなっていく背中が見える。
そうだよ、だって仁人にとって俺は恋愛対象でもなんでもないし、俺にとってのこいつらみたいなもんかもしれない。
そんなただの友だちに好意向けられても、気持ち悪いだけだよな……やばい。
いや、仁人は俺やこいつじゃないし俺やこいつも仁人じゃないんだから、仁人がどう思うかなんてわからない。
もしかしたら、万が一、億が一くらいには仁人も俺のことすきかもしれないんだし……。
マイナスなことばっか考えててもダメだよな、。
自惚れてるくらいが丁度いい、はず、。
さっきも走ったし、この気持ちを抱えてがんばれる気がしなくて、走るのは辞めた。
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部活が終わる頃にはすっかり日も落ちて、家に着いても夕食と風呂を済ませると、もう勉強できるような時間はない。
そんな生活も高体連で終わりだと思うと、寂しいような感じもする。
自分のベッドに寝転がってすぐ、スマホとにらめっこ。
朝から更新のなかったトークルームを開いて、メッセージの送信をチキってる。
内容はもう決めてある。
なんなら午前にはもう決めてたけど、なかなか踏ん切りがつかなくて遅れずにいた。
重いかなとか興味ないかなとか色々考えながら最終的に決まったのがこれ。
『朝読んでた本ってなに?』
仁人が興味がない話はしたくないから、とりあえず仁人のことについて。
で、やっぱ「すきな色は?」とか「すきな食べ物は?」とかそういう無難な質問はつまんないと思われそうだし。
でも逆にプライベートなこと訊くのもまだ早いし。
あと、ちゃんと仁人のこと見てたよ、興味ありますよっていうアピールにもなるじゃん。
それで辿り着いたのがこれなんだけど………どう、?
ま、いっか、うん、送っちゃえっ。
家という守られた空間にいるからか、昼とは打って変わって謎の自信に背中を押される。
送信ボタンを押して、スマホを放ってベッドに倒れ込む。
俺ってサッカーやってるしうるさいからチャラいって思われがちなんだけど、意外と本読んだりすんのよ。
だから同じ本読んでみちゃったりとかもできるじゃん、そしたらまた話題広がるのもよさそうだし。
すると数分もしないうちにスマホが震えて、すぐに画面を開く。
『太宰治の人間失格です。愛読書なんです。』
ガッチガチに敬語の文章。
喋るときはタメ口がんばってくれてるみたいだし、そもそもメッセージのやり取りに慣れてないんだろうな。
朝のスタンプの感じから、慣れない手つきで返信してくれたのかな、とか想像したら死ぬほどかわいい。
そっか、人間失格、かあ。
概要は当然知っているけど、読んだことはない。
現代小説しか読んだことがなく、近代小説はなんとなく言葉とかが難しいイメージがあって、有名作と知っていながらも避けてきていたのだ。
『俺も読んでみようかな』
そう返すと、すぐに
『あれは俺みたいな根暗が読むものであって、佐野さんみたいなキラキラした人には似合わないです。』
と来た。
俺からすると、むしろ仁人の花が開くような笑顔のほうが、ああいう堕落の物語とは結びつかないから、意外な返答だ。
その仕草と容姿の可愛らしさから無意識に純粋無垢な天女なんじゃないかと思っていたが、人間の穢い部分や性的な部分を知っていると解って、なんだ、刺さった、みたいな。
恋愛感情の多くを占めていた高嶺の華への憧れは、性欲へとかたちを変えてのしかかってきた。
その途端に、仁人もいまこの瞬間に俺のことを考えてトークルームに向き合っているんだ、というのが妙に生々しく感じた。
こんなこと、いつもやり取りするほかの人には思ったことないのに。
離れた場所にいる仁人に対する支配欲とも征服欲とも言えぬ情欲が満たされて、どくん、と自分が興奮したのがわかる。
目を閉じても思い浮かぶのは、やはり仁人だった。
あの華奢な肢体がどう乱れるのか、あの可憐な顔がどう歪むのか。
想像してしまう。
男子高校生の性への正直さといったら困ったものだった。
自分の仁人への気持ちは、こんな穢らわしいものじゃなかったはずなのに。
昨日、名前を囁かれたことを思い出して。
泣きながら、喘ぎながら、掠れた声で呼ばれたらどうだろう。
どんな声で、どんな表情で、どんなふうに、快楽を表現するんだろう。
未経験の身体に耐性などあるはずがなく、本能に従うままに、下着を下ろして既にカウパーに濡れた硬いそれを握る。
仁人のナカを想像して触ると、淫らに鳴いて身じろぐ姿が頭に浮かぶ。
「ん……、っはぁ…」
開かれた華奢な脚を撫で、臍の横にキスを落として奥を穿つと、高い喘ぎ声を響かせて腰を大きく反る。
えろい。かわいい。こんな乱れた姿、俺にしか見せないでほしい。
お門違いな独占欲が顔を覗かせて、乱暴に腰を振った。
涙目で懇願するようにこちらの様子を伺う、その表情にまた興奮する。
「っは、じんとっ」
来る、と思って本能的に最奥を突くが、当然なにかを貫くこともできず。
辛うじて宛てたティッシュは半分ほどしか受け止めることができなかったらしい。
「クソっ」
寝間着に零したそれを拭う虚しさに、自分がしてしまったことを思い知らされて頭痛がする。
まだ友だちにも満たないような関係なのに、仁人は俺を信じて友だちになろうとしてくれているのに、俺は頭の中でこんな欲をぶつけて。
気持ち悪い。
自分に幻滅して、後悔と罪悪感に苛まれる。
俺が求めていたのは純愛ではなく肉欲だったのかもしれない。
こんな本心を抱えているなんて、仁人に嫌われるのも時間の問題だ。
もうなにを考えるのも辛くて、逃げるように眠りについた。
コメント
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色んなさのじん読んでたけどやっぱりのーんさんのが1番好きかも、続きが気になりすぎます!!!!!
最近忙し過ぎるから癒しが欲しいのでハピエンがいいー😭佐野さん頼んだ!!!😭