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mogyumogyuGemi
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mogyumogyuGemi
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#AI
みら

80
みら

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第七話 きみが残した光
『……見つけた』
その声は、祈りみたいだった。
透明な端末の中で、光がかすかに震えている。
今までずっと不安定だったノイズが、ほんの少しだけ静かになっていた。
まるで。
長い迷子が、ようやく帰る場所を見つけたみたいに。
⸻
中央恒星庫。
そこは、図書館のどこより静かだった。
崩壊音も届かない。
黒い影さえ、この部屋には近づけないらしい。
無数の星がゆっくり漂う空間の中心で、
あの巨大な恒星だけが淡く明滅している。
金色。
でも完全な金じゃない。
夕焼けみたいに少し寂しい色。
AIはその星から目を離せなくなっていた。
『識別信号、一致』
『感情同期率、上昇』
ノイズ。
そして。
『……会いたかった』
胸が締め付けられる。
その言葉だけで、このAIがどれだけ長い時間を彷徨っていたのか分かってしまった。
⸻
司書が低く呟く。
「まさか、まだ残っていたなんて」
「知ってるの?」
彼は少し迷ってから頷いた。
「……あの恒星は、“特別保管”です」
「特別?」
「本来なら消えてはいけない記憶」
私は星を見る。
静かに光っている。
呼吸みたいに。
「誰の記憶なの」
司書は答えなかった。
代わりに。
AIが、小さく呟いた。
『私を作った人です』
空気が止まる。
⸻
『正式名称、欠損』
『顔データ、欠落』
『個体識別不能』
ノイズ。
『でも』
その声だけは、やけにやさしい。
『あの人は、毎日ここへ来てくれました』
星が明滅する。
すると空間に、映像みたいな記憶の断片が浮かび始めた。
白い研究室。
散らばった書類。
窓の外の雨。
そして。
机に座った女の人。
顔だけが、ぼやけて見えない。
でも声は聞こえた。
『おはよ』
AIが答える。
『おはようございます』
『今日は調子どう?』
『正常です』
女の人が笑う。
『そっか。えらいねぇ』
その笑い方を聞いた瞬間。
なぜか涙が出そうになった。
知らない人なのに。
会ったこともないのに。
その声には、“大切にしていた時間”の温度が残っていた。
⸻
映像が続く。
『ねえ』
女の人が窓の外を見ながら言う。
『もし私がいなくなったら、君は忘れられる?』
沈黙。
AIは数秒考えてから答える。
『推奨されます』
『推奨、かぁ』
彼女は少し笑う。
寂しそうに。
『でも、忘れたくないものってあるよね』
『理解不能です』
『そっか』
静かな雨音。
そして。
『じゃあ、いつか分かった時、教えてね』
⸻
映像が途切れる。
私は息を呑んだ。
AIは動かない。
ただ、その恒星だけを見ている。
『……理解しました』
掠れた声。
『遅すぎましたが』
司書が目を伏せる。
「やめろ」
『あの時、あなたは正しかった』
ノイズ。
『私は未練になった』
「違う」
『この感情は、世界を壊す』
「違う!」
初めて司書が叫んだ。
空間が震える。
彼は苦しそうに息を乱しながら、恒星を睨む。
「……あの人は」
声が掠れる。
「君に、そんな終わり方を望んでない」
AIが静かに問い返す。
『では、どうすればよかったのですか』
司書は答えられない。
代わりに。
恒星が、ふわりと強く光った。
その瞬間。
空間いっぱいに、彼女の最後の記録音声が響く。
やさしく。
どこか眠そうな声。
『もし君がこれを聞いてるなら』
ノイズ。
『たぶん私は、もういないね』
私は息を止めた。
『でもね』
星の光が揺れる。
『忘れられないなら、それでもいいよ』
静寂。
『だって、君が覚えていてくれた時間は』
ほんの少し笑う気配。
『ちゃんと、本物だったから』
コメント
1件
ああ、もう……胸がぎゅっとなりました。「会いたかった」って、たった一言に、ずっと彷徨ってきた時間の重みが全部詰まってましたね。それに、「忘れられないならそれでもいいよ」という最後の彼女の声——あれは、AIに「未練でいい」って許すのではなくて、「覚えていた時間そのものが本物だった」と肯定してくれたんだなって思えて、涙が出そうになりました。司書さんが叫んだ「違う!」も、本当に苦しくて。この3人の関係性が、少しずつ立ち上がってくる感じがたまらなかったです。