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雨の日、君との奇跡。

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雨の日、君との奇跡。

1 - プロローグ:雨の日の噴水

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2025年07月08日

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~公園~


奏side


ふわぁ~…


間抜けなあくびをこぼし、私は透明な傘を差し、

父がいる病院へ向かう。


今日は、あいにくの雨。


雨は嫌いではない。父と公園で傘を差し、

雨音を聞いた記憶があるからだ。その時の父は、いつにもまして嬉しそうに、

微笑みをこぼしていた。


そして、父は、私の為に


『雨の日君とみた優しい噴水』という曲をつくってくれた。


そんな懐かしい記憶に、苦笑しながらも、病院につき、

塗れた傘を傘用の袋に入れる。


ガラガラ_と、病室のドアをあける。


「お父さん。来たよ。」


静かに眠る父に、ぽつりと言って椅子に腰掛ける。


「最近、友達の為に、曲をたくさんつくってるんだ。」

「お父さんにも、聞いてほしいから、PCもってきちゃった。」


ぽつりぽつりと、つぶやき、

パソコンを起動させる。何十、何百もの曲が入ったファイルをクリックし、

出来るだけ、小さい音で、音を流し始める。


「今回は、雨の音を表現したんだよ。覚えてる?お父さん」


「あの雨の日、噴水の縁に座って、ただただ雨を聞いてたの」


「その出来事を、この曲に入れたの。暖かい音になったかな?」


もちろん返事はない。だが、沈黙が続かないように、必死で言葉をつなげる。



「雨って、冷たいけど優しいんだよね。」



その言葉に、父の腕はピクッと動いた気がした



「またくるね。」と、微笑み、私は、病室をでた。



      プロローグ:雨の日の噴水

                『完』



雨の日、君との奇跡。

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