テラーノベル
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野良ノ さちを 低浮上
119
129
らう
71
フィオレ
75
私は今日もまた、1人で弾き語りの練習をしていた。弾いているのは、2年前、みんなでバンドをしていた時によく弾いていた所謂十八番の曲だ。4人ともアンノウンが好きだったのでアンノウンの代表曲である「拝啓、人間だったあの頃へ」をよく演奏したものだ。
「はぁ…。」
思わずため息が出た。なんのため息だ?3人が離れても尚醜くギターを続けている自分か?将来自分たちで作った曲を演奏したいと言っていたのに何もしていない自分か?それとも、ギターが好きだというのが本当のことではなく、義務だと思い始めているところか?自分で解を求めるには疑問が多すぎた。そのまま私は逃げるように曲のイントロを弾き始めて無理矢理その思考を霧散させた。
翌日。 私はいつも通り1人だった。いじめられているわけではない。嫌われてもいない。人が近づいてこないのだ。単純に。当たり前前の事だろう。こんな奇妙な女に近づいてくるのは同列の人間かそれ以上に奇妙な人間だ。
移動教室だったので教材と筆入れを持って教室を出る。どんっ、またしても私は人とぶつかってしまった。
「あ、ご、ごめんなさい…!」
またしても情けない声で誤った直後、その子の顔の輪郭が明瞭になった。紘、黒瀬紘だった。最も酷い別れ方をした、バンドの“元”仲間だ。
「……ちっ」
彼女は舌打ちを一つ私にくれただけで他の友達とその場をすぐに去っていった。
私の古傷は、更に膿んだ感覚があった。
コメント
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スユキさん、第2話読ませていただきました……。 主人公のため息に込められた自問自答が、じんと胸に沁みました。特に「ギターが義務だと思い始めている」という一文が痛いくらいリアルで。そんな中での黒瀬さんの舌打ち——あの「ちっ」一つで、過去の関係の重さが一気に迫ってくるようでした。古傷が膿む感覚、すごく伝わりました。続きが気になります。