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高校2年生の頃、
俺と“あの人“はまだ苗字で呼ぶどころか関わりもなかった。
“あの人“はいつも一人でいて、その上常にポーカーフェイスのせいで誰も近づかなかった。
周りは“あの人“を“鉄の男“と呼んだ。
「緑川~?」
国語の先生が俺を呼んだ。
俺は毎年夏のコンテストに出ている、
コンテストというのも作品だ。
イラストコンテストと物語だ。
幻想的な世界が好きで、よくそれを描いていた
職員室に向かおうと階段を降りていると後ろの方から“あの人“、“鉄の男“が声をかけてきた。
「ねぇッ、緑川、、、さん?」
驚いた、鉄の男が声をかけてくるなんて。
鉄の男が次になにか話す前に職員室にいる先生が声をかけてくる。
「緑川?」
「ぁ、えっと、すぐ行きます。」
職員室で作ったコンテストの内容を見せることになっていた。
今回のコンテストの内容は“詩“だった。
先生は俺が書いた詩を読み上げた。
鉄の男にそれを聞かれていて、俺は止めようとしたが、この先生はきっと、何を言っても気にしないだろう。
だから、地獄のような羞恥心の時間が続いた。
「うん、最高だ。今回は最優秀賞だな!」
と満面の笑顔でそういう先生。
まぁ、良かったならいいけど、鉄の男は瞼を閉じ興味がなさそう。
まぁ用が終わったならさっさと戻ろう。
そう思い階段へ足を進めると、
「あのさ、!」
「、、、はいッ」
黙っていた鉄の男が声をかけてくる、
このこと、クラス中にいう気だろうか?
「、、、このことさ、みんなには」
「言わないよ。」
「隠したいんでしょ?」
意思は筒抜けなのか、見透かすようにそういう。
「ぇ、でも」
「そもそも言う相手なんかいないよ。 」
そう冷たい顔をする。
だけど俺からしたらかなりの弱味を握られたのと同じだ。
5時間目、
彼は授業にいなかった。
体調が悪いとかそんなふうには見えなかったからきっとサボりだろう。
俺にはできないことだ、
授業が30分ほど過ぎた頃、
扉があき、鉄の男が入ってくる、
俺の机になにかの紙を投げ捨て、席に着く。
なに、、、と疑心を抱きながら見ると、なにかのアドレス、鉄の男がスマホを指すのでバレないようにスマホを出し、メッセージアプリでアドレスを調べるとアドレス先は鉄の男。
追加してすぐにとある音楽ファイルが届く。
鉄の男が耳を指すので聞け、ということなのだろう、と思い、先生が板書してる間にワイヤレスイヤホンを出し、片耳つけ、耳を隠すように手を耳元に当て、肘を立て聞いた。
すると聞き覚えのある文面で鉄の男がアカペラで歌っていた。
それは非常に心に刺さり、感動を与える歌声で惹かれた。
授業が終わり、終礼後、鉄の男は何も言わずに去っていった。
俺はクラスの奴らと他愛もない話をしていた。
すると通知がなり
“別館、部室棟に来て“と送れていた。
そこは今となっては廃部になったが、文化部の部室だったが、今は使っていない。
図書館的な感じで沢山の本もあり、誰も使わないので、先生が、俺のコンテスト作品を作成するためだけにその部室棟の鍵と一緒に使用許可を出してくれた。
わざわざそこを指定するなんて、、、。