翔太3歳
亮平8歳
二人の目の前には火のついた色とりどりの蝋燭が8つ刺さったケーキがあって、白いクリームに赤いイチゴが等間隔に並べられている。
亮平は本当は最近覚えて大好きになったチーズケーキが食べたかったのだけれど、弟の翔太がショートケーキが好きなので譲った。
さきほどから翔太は、大きな瞳を輝かせ、蝋燭に照らされてきらきら煌めく赤いイチゴを、イチゴと同じくらいにほっぺたを赤く染めて見守っている。
💙「うわあぁぁぁ………」
翔太が赤くなったほっぺたを膨らませて、勢いで蝋燭の火を消そうとして、慌てたお母さんにたしなめられた。
「こら。翔太はもうお誕生日終わったでしょ」
💙「うゅ……」
💚「いいよ、翔太。いっしょにふーっしよう?」
翔太が生まれたばかりの頃、何かと翔太のために我慢しなくてはいけないことが多くて、亮平は一時元気をなくしたこともあったけれど、最近はすっかり優しいお兄ちゃんになった。
面倒見よく、5歳下の弟を可愛がる。翔太もそれに応えて、すっかりお兄ちゃん子になってしまった。近頃は、父や母の言うことより、亮平の言うことをよくきく。父も母も目尻を下げて、この仲良しの兄弟を見つめていた。
💚「いい?翔太。せーの」
💚💙「ふーーーっ」
ケーキの上に灯された灯りは、二人の吐く息で一斉に消えた。
部屋が真っ暗になり、翔太は、亮平の頬にキスする。
💙「おめれとー!!」
翔太の唇は、温かくて、柔らかくて、ほんのり甘い香りがした。
💚「ありがとう、お父さん、お母さん」
二人から渡されたプレゼントを笑顔で受け取り、次は翔太の番。母に教えてもらって、特別なプレゼントを用意していた。
💙「あい。これぇ…」
照れ臭いのか、母親の後ろにすっぽり隠れて、可愛い白い腕だけが見える。手の先に握っているのは、グリーンのリボンでくるくる巻かれた画用紙。ラッピングは母に手伝ってもらった。
💚「ありがとう」
亮平は笑顔で画用紙を受け取ると、開く。
中には、二人の男の子が手を笑顔で繋いでいる絵だという。母の説明に、絵があまり得意ではない翔太が一生懸命に描いたのが伝わり、亮平の胸は温かくなった。
💚「翔太、おいで」
💙「あい!!!」
保育園で習った通り、手を挙げて元気よく返事をすると、翔太は亮平の胸に突進した。思わずよろけてしまいそうになるが、なんとか抱き止める。
微笑ましく、なんとも可愛らしい二人。
亮平は翔太を大事にしていたし、翔太も亮平のことが大好きだ。
この二人を見ていると、仕事を頑張る力も漲ってくる。
父も母も、この特別な日は幾度も笑顔でお互いを見合うのでした。
コメント
13件
しょっぴー可愛すぎます(*´艸`*) あべなべ最&高💚💙
可愛すぎる🤦🏻♀️🤦🏻♀️🤦🏻♀️💚💙
あべなべ最高です💚💙