〜注意事項〜
・一話参照
・この物語は続きです
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shpがciを思い出してから、shpはciに付きっきりになった。
それもそのはず、shpはciと前世で1番仲が良かったからである。
だが、ciは夜になるとzmの部屋に行く。
寝る時、zmの隣が1番安心するそうだ。
shpは複雑そうな顔をしていたのは、気のせいではない。
「ci〜。」
「あ、しょぴっ!!」
名を呼ぶと、急いでこちらに走ってくる。
手を広げて待っていれば、そこにすっぽりとハマってくれた。
「んー、遊ぶかぁ。」
「んぇ、しょぴ、しょるいは??」
「やったわ。何処ぞの無能とはちゃうんでね。」
何処ぞの無能こと、utは喫煙所でタバコを吸っていた。
それをshpとciは遠目に眺めて、くすくすと笑う。
「ゲームして遊ぼーぜ。」
「おれ、まけるだけやん。」
「まあまあ。」
「てかげんしてや〜っ。」
「絶対嫌や。」
「けち!」
ぷう、と頬をふくらませるciを見ながら、抱っこをして歩く。
すると、途中でrbとrpとすれ違った。
「…shpくん、ちょっと話があんねんけど。」
「え?あ、はい。」
ciを抱っこしたまま着いていくと、手の平を向けられた。
「その子供はダメや。shpくんだけ。」
「子供はzmさんの所に行ってくださーい。」
rpはshpの背中をぐいぐい押した。
下ろされたciは、shpに手を振って走っていってしまった。
「なんすか、」
「shpくん、なんであの子供と馴れ合っててん。」
「なんでって…友達やから。」
はあ、とrbがため息を着く。
shpはちらちらとciが消えていった方向を見ていた。
「友達は選べよ。」
「…は??なんでそんなこと言われなきゃいけないんすか。」
「あのな、子供は非効率や。今はお外でゆったりしときゃええねん。わざわざ構って、大人の、ましてやshpくんみたいな偉い人を邪魔するやつなんて要らへんねん。」
rbはしっしっと手を動かした。
「shpさん、あの子供、保護施設の残りって聞きました。もう売って軍資金にしちゃった方が…、」
ベチンッ!!!
「rp何言ってんの!?!?」
走ってきてrpの頬を思いっきりビンタしたのは、shoだった。
「お前!!そんな最低なやつやったか!?!?ちゃうやろ!?なんでそんな事言うの!?」
「あぇ…、shoさん、!?」
「このやろッ…てめぇ、rbコラァ!!」
「はぁ、!?」
rbの頭を拳で挟み、ぐりぐりと動かす。
「いてててっ!!」
「このこのこの〜!!!」
ワチャワチャしている2人を見ていたshpは、ふうと息をついてrpの肩に手を置いた。
「rp、お前が見てきたのは何や??」
「見てきたもの、??先輩たちの背中、とか??」
「そう、その背中、つまりは憧れるものはいくつあった??」
「いくつって…14、ですけど。」
「14。1つずつ言ってみ。」
そう言われたrpは、戸惑いながら口を開いた。
「まず、カリスマ性のあるgrさんでしょ。
仲間を大切にしているtnさんと、仲間のために動けるosさん。
動物から人間までを愛せるhtさんに、どんなことも前向きに考えれるsnさん。
一人でも強気で居られるniさん、仲間との友情はなによりも強いut先生。
笑い声で人を明るくできるknさん、正義感のあるzmさんに、全力楽しめるshoさん。
怖くても挫けないrbさんに、落ち着いて行動できるshpさん。
知識が武器でいれるemさん、それに…。」
そこで、口が止まる。
「…、どんな時も笑顔の…、、?」
はくはく、と空気の音が聞こえる。
「憧れを忘れちゃアカンよな。」
shpが微笑む。
それから、静かな声で呟いた。
「どんな時も笑顔の、ci、やろ??」
「…ci、??」
数回、口に刻んでいるとハッとしたようにshpを見つめた。
「…憧れるか??」
「……っ、はい!!俺の憧れです、!!」
その会話を聞いていたrbが、ぽかん、とまだ分からずその場に座っていた。
「…なぁ、rbぉ。」
「…なに、sho??」
「おれ、ペペロンチーノ食べたいなあ。」
「急にどうしたん…??」
分かっていないrbに、がくんっと首を落とす。
「だーかーらーっ!ペペロン、ちーのっ!!!!!食べたいなぁ??」
「ぺぺろん…ちーの、??ちぃ、の、」
「rbはどー思う??」
shoがにやりと笑う。
「ciに、あい、たい。」
「せやろ??」
バシッと背中を叩き、shoはrbとrpの手を取る。
「会いに行こーぜ!そんで、ちゃんと謝ろーな!!」
「…おれ、なんてことしてたんやっ、」
「…おれもです、」
「ciは優しいよ。」
しゅん、と落ち込む2人の背中をshpがぽんぽんと叩いた。
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「ぞぉむっ!!」
「ん??」
訓練が終わり、水を飲んでいるzmに駆け寄る。
「どしたん??暇してんの??shpは??」
「しょぴ、ろぼろによばれちゃった。」
「そぉか。んっしょ!!」
zmはciを抱っこして、また水を飲む。
「…おれ、ぞむにみつけてもらえんかったら、いまごろ、どーなってんだろね。」
「そんなん気にせんでええやろ。今、こうなってるんやしぃ??」
水を飲み干したzmは遠くのゴミ箱にひょいっとペットボトルを投げた。
ガコンッと音を立てて、ペットボトルが入る。
「おー…すごいっ、!!」
「ciもやる??」
「う、うんっ。」
そこら辺から、石ころを持ったzmはciに渡した。
ciは狙いを定めて、ひょいっと投げた。
それはゴミ箱にぶつかって、地面に落ちた。
「んぁー…っ、むずかしいっ、!」
「台パンする!?」
「しーなーいっ!!」
zmが今度は石を持ち、また投げた。
石はゴミ箱めがけて…
ゴチンッ。
「い"ったぁ!!!!!」
shoの腕にぶつかった。
「ごめんshoッ…ぶふッ、!!」
「んふふッ、しゃおろ、だじょぶ、??くふふッ。」
「もー!!」
shoの後ろにはrbとrpが立っていた。
(その後ろにはshpがいる)
2人に気づいたciは、笑うのを止めて、zmの肩に顔を埋めた。
「あ、あのッ…ciさん。」
「ci、話がしたいんや。」
そんな声を聞いて、ciは二人を見た。
「…なんで忘れてたんやろ、すまん!!」
「ごめんなさいッ!!」
2人が頭を下げる。
「ろぼろ、れぱ…、おれのこと、わかったの、?」
「ああ、ciや。お前は傷つきやすいのに…俺はあんなこと、」
「俺の憧れです…、忘れててほんと最低ですけど、」
ciは嬉しそうに笑って、zmを見上げた。
「ぞ、ぞむっ。」
「ん??ああ、任せろ!!」
zmはciをrbに抱っこさせた。
rpはキラキラと目を輝かせている。
「んへへ、だっこで、ゆるすっ」
「ほんま??そんなら、何年間も抱っこしてたろか!!」
「それはキツイですって!!」
rpは、早く早くと腕を広げている。
嫌だ、とrbは舌をべーっと出す。
「はーやーくーっ!!」
「rbはーやーくーっ」
shoが混ざり、rpとshoで駄々をこねる。
「お、お前ら精神年齢低すぎやろッ!!」
「ろぼろぉー…、なでてくれないの、?」
「撫でますッ!!!!!!!!!!」
rpはciを抱っこして、わしゃわしゃッと頭を撫でた。
取られてしまったrbは悔しそうにrpを睨む。
「ふっふっふ〜、背が小さいrbさんは危なっかしいですよ〜!!ねっ、ciさん!!」
「…、ん、ぅ。」
眠たそうに目を擦るciに、rpははわはわと慌てる。
「…、んん、れぱ、もぉっ、と。」
頭に乗っている手を止めていると、ciの小さな手で、動かされた。
憧れの先輩が、可愛い子供になっているだなんて。
rpは嬉しそうに顔を歪めて、わしゃわしゃと頭を撫でた。
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「ぞむ…、??」
「あ、すまん。僕utやで。zmは訓練で2時間くらいおらんから、僕が見るように言われてん。」
「うつせぇせ…、だぁこ、」
「ん、おいで。」
ciはどうやら1時間、zmが訓練に出かけてから30分ほど寝ていたらしい。
ベッドに座っていたutはそのまま、ciを抱っこした。
「やっぱ、zmが安心するか??」
「うん…、でも、うつせぇせも、やさしぃ。」
「優しかねぇよ。僕、ciに酷いことしてもうた。」
「でも、あやまってくれたし…だっこも、してくれる。」
「そ、それは…。」
「うつせぇせ、こんど、ごはんいきたい。」
「ええな〜。shpも誘おうか。」
「うんっ。」
んへへ、と笑うciを撫でる。
少しゆさゆさ、と揺らせば嬉しそうに目を細める。
ciは、だいぶここの居心地が良くなってきたと感じるだろう。
そして、utは考えた。
(あと、思い出してない人は…。)
gr、os、ht、sn、ni…。
それに、tnである。
utはハッとした。
ciは昔、tnが1番安心する人間だったと、言っていたっけ。
彼とは同郷であったし、ciを勧誘したのも、tnだった。
そんなtnが思い出していないのは、ciにとってとても辛いことに違いない。
utは自分の腕の中のciを見た。
ふわふわの水色髪に、蜂蜜のような目。
でも、昔とは違って細く、小さい。
tnはきっと、前世でこのciを見たことがあるのだろうがね。
utの視線に気がついて、ciが見上げる。
わしゃわしゃ、と撫でるしか無かった。
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「しゃーおろっ。ぼーる!!」
暇で中庭を歩いていると、ciがボールを持って駆け寄ってきた。
「まぁたドッチボール??えーよっ!!」
「しょぴとね、えっと、しっまもよんだっ。」
「そーなん、じゃあ待ってよか。」
「うんっ、うんっ。」
shoはciを肩車して、ボールを蹴った。
「…なぁ、答えたくなかったらええんやけど。」
「うんっ。」
「ciって、ここ来るまでは、どこに居たん??」
「…いろいろぉ。いろんな、ほごしせつ、いったよ。」
「…そうか、偉かったなお前は。」
「なにが、?」
「俺らに会ってくれたやん。そんな、辛い状況やったら俺生きていけんよ。」
「…いきたくても、しにたくても、そんなのきめるけんりが、まず、おれにはなかったよ。」
そう、小さく言ったがknがやってきてshoには届かなかった。
「遅れてすまーんッ!!!!!!!!」
「やろか!!2対2にする??」
「いや、kn対3人でやりましょ。」
shpがボールを持つ。
shoはciを下ろし、ぐるぐると肩を回した。
「よっしゃ!!勝つぞー!!」
「ええー!?!?俺不利すぎるやろ!!!」
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「俺不利すぎるやろ!!!」
knの大きな声がテラスに響く。
osはうーん、と紅茶を1口飲んだ。
「…子供なのに、なんで皆受け入れるんやろぉ。」
クッキーをさくっ、と食べる。
「子供、嫌いめぅ。」
つんつん、と頭をこちらに向けて寝ているhtを突く。
「htも嫌い??」
「…ぅー、ん。」
「…こども、ねぇ。」
osは飴をひとつ手に取った。
オレンジ味の、甘いヤツだ。
子供は、何も分からずいけない事をする。
それも、反省は半分しかできない。
そんな奴なんて、いらないだろう。
いや、いるけれど、ここにはいらない。
osは飴を箱に戻し、紅茶を飲んだ。
「あの子見ると、オレンジジュースが無性に飲みたくなるめぅ。」
中庭から遠いテラスにいても、knらの声は届く。
「…昔も、オレンジジュースを沢山飲んでた時期があった気がするなぁ。あれ、何時だったかな、夢なのかもなぁ。」
「…ふがッ、うぇ、??なんか言ったか、os??」
htが起きて、目を擦りながらこちらを見る。
「htは、オレンジジュース飲みたくなった時期、あるめぅ??」
「オレンジジュース…??俺は、綿あめが食べたいなあ、って思ってた時期があったよ。まあ、綿あめは高価だし、滅多に手に入らないけど。」
確か、綿あめを食べれたんだ。
あれはどうしてだったか。
綿あめは1部の国でしか作られていないし、仲が良くないと貰えないはず。
osが外交で仲良くなった記憶はない。
だとしたらどうして?
「誰か、外交官が仲良くなって貰ってきたんだよね。ほんと感謝しかないよ。誰だか、忘れちゃったけど。」
htがクッキーを口に入れる。
さくさく、と軽い音が鳴る。
「…、なぁ、zm。俺らは、何かを忘れてるの、??」
osの呟きは、knの悲鳴で掻き消された。
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へたへた、と手を振って一生懸命に前の走る子供がいた。
osはポケットからオレンジ味の雨を取りだした。
この、モヤモヤを無くすためには恐らく彼と接する必要があると考えたからだ。
「そこの子供〜。」
「…んぇ、??あっ、お、おすまっ、!!」
振り返り、こちらに気がつくと今度はこちらに走ってきた。
「な、なぁにっ、」
osは、ふと思った。
自分はこの子に名を名乗ったか、と。
例えzmらに教えられていたとて、顔で分かるものなのだろうか。
「…これあげるめう。」
飴を差し出すと、両手でしっかりと受け取った。
「あ、あめ…??なにあじっ、?」
「オレンジ味。君の瞳そっくり。」
と、瞳を見ながら言う。
そうかなぁ、なんて言いながら飴を口に入れた。
「あまいっ!」
「んふふ、せやろぉ??」
osは傍にしゃがんで、膨らんだ頬を見つめた。
「…、ほんま、綺麗な瞳めぅ。見覚えのあるような気もする、俺がこんな琥珀みたいな綺麗な瞳を見ていたら、忘れるはずがない。」
「…わすれてる、よ。」
「…え、??」
子供は、悲しそうに俯いた。
「おれのこと、わすれてる、」
そんな時、後ろからぐいっと体重を掛けられた。
「やっほ、あれ??子供もいる。」
「ht!!急に来るとびっくりするめぅ。」
「ごめんごめん。」
「ひと、らん、あのっ…、あ、の。」
「zmはどうしたの??呼ぼうか。」
「ぅ、ぁ…わ、わたあめっ!!」
子供はしゃがんだhtを見て、大きな声で言った。
「え、??綿あめ??」
「わたあめ…、すきだよね、ひとら、」
「好き…だけど。」
「おれ、あげたよ、ひとらに。」
htは目をぱちぱち、と見開いた。
「え、??」
「きゅーこくに、がいこう、いったとき…もらってきた、じゃん、」
「…Q国、外交、君が、??」
「お、おれ…ち、ちぃの。」
震えながら、そう言った。
osは口を開いて硬直してしまった。
htは少し考えたあと、え?と言葉を漏らした。
「…おぼえて、ないよね、、」
「ci〜!!」
shpがこちらに走ってきた。
それからciを抱っこした。
ひぐひぐ、と泣き出してしまったらしい。
「イジメてたんすか…。」
「いやいやっ、イジメるわけないでしょ!?」
「しょぴ…、っ、ひぐッ、」
「ci…、大丈夫やで。」
shpは腕の中で丸くなるciを撫でていた。
この光景、身体の大きさは違う気がするけれど。
「…shpとciは、ほんま仲ええなあ、」
「osさん、!!」
「…ッ!!」
その一言で、ようやく2人はハッとしたらしい。
「ci…、ciッ!!!!!!!」
「おすまっ…、ひとらッ、!」
osはciを抱きしめた。
htも泣いているciを撫で始めた。
「なんで俺ッ…ごめんね、ci、!!」
「ひとらぁ…っ、」
「自慢の外交官を、忘れるなんて…ほんとごめん、」
「おすま…、っ」
抱き合ってわんわん泣く3人を、shpは微笑んで眺めていた。
いつの間にかやってきたknが、shpの頭を鷲掴みにするかのように頭を撫でた。
shpは暴言を叫んで、knに殴り掛かり、それは全体を巻き込む大きな内ゲバへと発展したらしい。
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ピッピー。ピッピー。
zmの部屋で、emから借りた本を読んでいたciは、音の方へ目を向けた。
zmの通信機器が震えている。
本に栞を挟み、通信機器を手に取る。
ni
と、画面に表示されていた。
ciはボタンをぽちっと押す。
『こちらni。現在xx国滞在中どうぞ。』
「…!!にいさっ!」
久しぶりに聞いたniの声にciは飛び跳ねた。
『…ん??子供??ああ、そういえばtnが言ってたな。君が、その子供かな。』
「…うんっ、でもねっ!!」
『イタズラはやめなさい。今すぐ通信機器をzmに渡して。ごめんけどね、子供と話はできない。今は仕事中なんやで。大人にちょっかいかけるくらいなら、出ていきなさい。国民の、おばあさん達の元へ。』
「…にいさ、おれ、ちぃの、」
『早く渡しなさい。』
ciの傍にzmはいない。
扉を開けて廊下を眺めると、遠くにutを発見した。
「…ぁ、う、うつせぇせっ、!」
「んー??通信機器??って、あー!」
utは通信機器を受け取り、声を上げる。
「niさん!!ようやく連絡よこしてきた!!」
『あれ、ut??久しいな、所でその子供はどうするつもり??』
「え??あー…niさん、覚えてへんの??ほら、ciやで。」
utは足元で不安そうに見上げているciを抱き上げる。
『ci…??知らんよ。んでさ、話なんだけど…。』
「niさんさ、昔ずっと文通してたよね。」
『…はあ??、まあ、確かにしてたよ。誰か、人懐っこい子がずーっと手紙寄越してたわ。』
ciは頬を微かに赤く染める。
「なぁなぁ、手紙の内容教えてぇや〜。そいつ、俺らに内緒でniさんと文通しててんよ。」
ciが慌てて手をぶんぶん振る。
「だめっ!!だぁめぇっ!」
『…幹部の皆様はいつも光り輝き、背中が遠くて逞しいです、とか??まあ、大体君らの褒め言葉と愚痴。俺はそんときにいる国の名物を教えてたりしたわ。』
「へぇ〜。そうなんやciぉ??」
「…んばかっ!!」
ciはポカポカutを叩く。
「ばかっばかっ、おとなげない!!」
「あははっ、ciくんかわええのう〜??」
「…っ、ほんまさいやくぅ、」
『……。』
声がしなくなる。
思い出しただろうか?
と、utも様子を伺う。
『…俺は今xx国にいる。手紙、待ってるからな。また文通しよう。』
そう言ってぶつり、と通信が切れる。
ciは、嬉しそうに口角を上げていた。
「ciくんは前世俺らのこと褒めてくれてたんや??ツンデレっちゅーやつ??」
という、utの一言で拗ねて走って逃げてしまったが。
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「…、ろぉろ」
「ん??」
監視室で、カメラを確認していたrbの元にciが走ってきた。
それから椅子をよじ登り、rbの膝に座った。
「どうしたん??」
「おふろ、はいりたい、」
「俺と??zmとか、shp…。」
「ふたりとも、しごとしてる、」
よく見ると、ciはパジャマを手に持っていた。
rbは立ち上がってciと手を繋ぐ。
「行こか。俺もちょうど休憩しようと思っててん。」
「うんっ。」
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「ろぉろ、みてみて。ねこー。」
泡で猫耳を作ったciはにこにこ笑ってrbに見せた。
「なんやそれ〜、んふふ、誰に教わったん??」
「しょぴ〜。」
「だろうな〜!」
ケラケラと笑いながら、シャワーで流す。
水滴が着くと、水色髪は宝石のようにキラキラと光る。
湯気に包まれ、蜂蜜の瞳がとろん、とほんわかな色に変わる。
お風呂に浸かって、水を掛け合っていると扉が開いた。
「やっほーrb〜!!来ちゃったよ!!」
snが笑顔でこちらに歩いてきた。
ciはsnを見ると、慌ててrbの後ろに隠れた。
「わざわざ時間合わせてきたやろ。」
「んふ、なんの事かな〜。」
snはシャワーで洗い始めた。
ciはrbの背中に隠れながらsnを見ていた。
snは気づいていないようだ。
「そういえばさ、rbってもう受け入れたんやね。」
「なにを??」
「あの子供。皆受け入れたんやろ??」
「せやね。snは??」
ciを撫でて、安心させながら問う。
「俺は別にどっちでもええかな。邪魔さえしなければね。戦争とかで巻き込まれて死んでも、それは自業自得。仕方ないし、どーでもええ。」
洗い終えたsnが風呂に浸かる。
「それに、あの子の髪色俺とそっくりやからさ。好きか嫌いかだったら好きやで。」
その言葉を聞くとciがsnに顔を出した。
「あ、子供いたの??めっちゃ綺麗な髪色やね〜。」
ciの頭を撫でながら、うーんと唸る。
「昔、こういう子おった気がするんよなぁ。確か、あの子1番最初に死んでまったっけ。」
「…しんぺ、おれ、ちぃ、の。」
「名前知ってたの??なんだ可愛いじゃん。あー、でもごめんね。今はrb狙っててさ。」
「狙うな。」
rbがsnをベシンッと叩く。
すると、ciは慌ててrbとsnを交互に見た。
そんな、慌ただしい瞳を、snは見た。
「…ci、君は綺麗な瞳の色してるなぁ。俺も、そんな色が良かったわぁ。」
「…!しんぺ、」
「記憶喪失なんやろか、すまんなci。可愛い可愛い後輩を忘れるなんて、」
snは自分の頭を掻きながらciを見た。
「ci、よぉ帰ってきたな。昔は、助けられなくってごめん。そんで今も、傷つけたな。」
「しんぺぇっ…、!!」
思わず裸で抱きつこうとするciに、snはタオルを巻く。
「危険やぞ〜。危うく添い寝になる所だったよ??」
snはrbにもタオルを渡した。
「…ありがとうな、思い出させてくれて。」
そう言って、風呂場を出ていった。
rbとciが出た頃にはもういなかった。
だが、ciのパジャマの上に子供用の絆創膏セットが置かれており紙切れに
「医務室へ手伝いしにおいでね」
と書かれていた。
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「ぞむ、ねむぃ…。」
「よぉし、おいで。」
目を擦るciを抱っこする。
ベッドに寝かせようとするが、服を掴まれてzmの胸から離れようとしない。
「ci??」
「ぞむ…、ぞ、むぅ、」
「どうしたん??怖いことあった??」
ciは最近不安になることが多いらしい。
夜になると、必ず誰かに抱っこを強請ってベッドで寝ようとしない。
寝たとて、起きてしまう。
「…とぉとぉ、」
「tn…??」
「とぉとぉに、あいたい…っ、とんっ、とぉ…。」
ああなるほど。
zmはciを抱っこして、歩き出した。
ciは前世、1番信頼していたのはtnだった。
そんなtnが覚えていない、という状況が怖くて仕方ないのだろう。
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書記長室をノックする。
そこに、彼はいた。
tnは目の下にクマを作ってペンを持っていた。
「どした…??うわ、子供は立ち入り禁止やぞ。」
しっしっ、と手を払う。
それを見てciが唇を噛んでいた。
「なぁ、tn。お前が1番信頼してんのって誰??」
「はぁ??急になんやねん。…まあ、強いて言えば、grさんやろ。」
「…へえ。」
「なんや。」
ciがぐいっと、zmの服を引っ張る。
「かえる、かえろぉ…、??ごめ、ん、ごめんね、」
そんなciにイラッときて、zmはtnの机に座った。
「お、おい…お前。」
「あーあー、昔の詐欺師、どこいったんやろなー…。」
「…はあ??」
「詐欺師、逃げちゃったんかなー。」
「詐欺師??捕まえろよ。んなもん。」
「昔はtnが捕まえてくれたなー。ん??ああ、tnめっっちゃgrに駄々こねてその詐欺師幹部にしたよなー。」
tnの目線がciへ向く。
「信頼していて尊敬している総統様に、暴言吐いてめっちゃめちゃに駄々こねて詐欺師を勧誘してたなー。あの詐欺師、軍学校卒業してないのになー。」
「…、」
「tn、そういうやつ嫌いなのに??子供も、だから嫌いなんやろ??なーのーにっ!あの詐欺師は勧誘してたなー。」
「…、さぎ、し。」
tnが立ち上がる。
「tn、自分で勧誘しといて、放ったらかしなんて可哀想ー。そんな子は俺が貰っちゃおっかなー。」
tnがciの頭に手を置いた。
「…俺は、お前に酷い事をしたんやろか、」
「…っ、とぉ、とんっ、ひぐッ」
「…役に立たないって言うお前を、いらないっていう皆を、あんなに駄々こねて暴言吐いて、喧嘩にまで発展させて勧誘したのは俺や。」
zmはそっとciをtnに渡す。
tnの胸に抱きつくciに、微笑んでしまう。
「昔の俺は、今のzmみたいやな。矛盾してるな、俺。阿呆やわ…書記長阿呆すぎるわ、この国終わっとるなあ。」
「とんっ…とんっ、おれ、おれぇッ、」
「…すまん、zm。席外してくれるか、?」
「おん。ええよ。」
書記長室を出る。
夜の廊下は肌寒いが、今は少し暖かく感じる。
きっと、気のせいではないだろう。
まだまだ続きます。
いいね1000を目標に!!!
1話の視聴数300突破しました✨️
ありがとうございます!!!!!!!
─────────────おまけ。
がちゃり、と閉まった扉を確認する。
zmから降りて、床に立つciはtnの目線より遥か下。
昔はtnより高かったのに。
tnはしゃがんで、目線を合わせる。
そうしようと思ったが、しゃがむと胸にciが飛び込んできた。
抱っこか?抱っこなのか?
tnはそっと腕を背中に、お尻に動かし、ゆっくりと抱き上げる。
ぎゅう、ぎゅうう、と少し苦しいくらいに抱きついてきた。
「ci。首絞まるわ。」
「んぁ…ご、ごめん、」
ちらちらとこちらを見るci。
この様子から、tnは自分がどれほど彼を悲しませ、苦しませ、寂しくしたのかが嫌という程実感した。
「ci、なんでお前はWr国に居なかったん??」
「…うまれたんは、ここだよ、でもね、すてられちゃったの。」
「……、そぉか。昔は俺とciで同郷やったのに。俺もここ生まれやで。」
tnが頭を撫でると、少し首を伸ばして手のひらに頭を押し付けてくる。
「俺が、早くお前を見つけていられたら。」
こんな事にはならなかったはずだ、とtnが呟く。
ciはふるふる、と首を振った。
振れば、髪の毛がtnの頬に触れた。
「んっん、きっと、さいしょからわすれてるよ。おれのこと、おぼえてないよ。」
「…、そんなこと、言わんでよ、」
tnは誰よりもciを忘れていたことが悲しかった。
否、悔しかった。
tnは確かにgrを信頼していた。
でもそれは総統だからであった。
本来、気が許せていたのはciであり、ciが落ち着く存在であった。
そんな彼も、きっとtnと同じようにtnを信頼していただろう。
なのに、tnは今世彼を忘れていた。
彼はtnを覚えていた。まだ、信頼しようとしていた。
そんな彼を突き放してしまったのだ。
挙句の果てに、zmを今は信頼している。
それが悔しくて悔しくて仕方なかった。
「とんとん。」
「どうした??」
「きょう、いっしょにねたい。だぁめ、??」
「…ええよ、でも書類終わらせて…」
「やだ、いまねたい。おれこども。」
ベッドを指さしてふん、と鼻を鳴らす。
「子供を理由にするなよ、ずるいなぁ〜。」
くすくす笑ってベッドに近寄る。
おっと忘れていた。
その前に扉を開けてzmに声をかけた。
「すまん、今夜借りるわ。」
「ええよ。ciおやすみ。」
「おやすみ、ぞむ。」
扉を閉じ、ベッドに寝転がる。
ciが壁側で、tnはその隣だ。
枕は1つしかないので、腕を貸してやることにした。
「ん、おやすみな、ci。」
「とんとん、ねてよ、??あさまで、おれが、おきるまで…となり、いて、…。」
tnの腕に頭を乗せて、tnの腹に埋まるように眠ったci。
そんなciの背中を一定のリズムでぽんぽんと叩く。
さて、寝たことだし書類でも…。
「…くぁ〜、、っ。」
子供は体温が高く暖かい。
ciの背中で動いていたtnの手は、静かにこてん、とciを包み込むように落ちたのだった。
コメント
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感動すぎません…??